「上方修正は出たけれど、この株価はもう織り込み済みなのか?」——10月8日引け後に発表されたローツェ(6323)の中間決算を見て、そう感じた方も多いのではないでしょうか。
見出しの「営業利益530億円へ上方修正」だけを追っても、どこまでが一過性でどこからが構造的な変化なのかは見えてきません。
この記事では、決算短信・決算説明資料の一次データから、①受注が前年同期の3.2倍に急増した中身、②下期計画を受注残でどこまで裏付けられるか、③修正後予想ベースのバリュエーションを数字で整理し、7軸レーティングを付け直しました。
読み終える頃には、今回の決算で「何が変わり、何が変わっていないか」がはっきりするはずです。
※2026年10月8日更新:中間決算(2026年3〜8月)と通期予想の上方修正を反映して全面改稿しました。レーティング基準をv2.2に改定しています(バリュエーションを合計点から分離し、価格判定A〜Eとして別に表示)。6月4日版の46/70点(旧基準)とは単純に比較できません。株価は2026年10月8日終値の4,434円を基準にしています。
結論:受注が業績を先導する局面へ。ただ株価は「品質相応」
- 上期は過去最高を更新:売上高797億円(前年同期比+21.5%)、営業利益231億円(同+42.4%)。Q2単独(6〜8月)の営業利益率は30.3%で、前年同期の23.9%から大きく上がった。
- 受注は前年同期の3.2倍:半導体関連装置のQ2受注高は785億円。受注残は1,038億円(同2.3倍)。北米のメモリメーカーからソータ・ストッカの受注が急増し、中国の装置メーカー向けEFEMも増えた。
- 通期予想を上方修正:売上高1,800億円(期初1,590億円)、営業利益531億円(同381億円)、EPS 217.84円。期末配当は20円から28円に増配。
- 下期計画は受注残でほぼ裏付けあり:下期の売上計画1,003億円に対し、全社の受注残は1,115億円(カバー率111%)。焦点は、受注を売上にできる生産能力と部材の調達に移った。
- 訴訟リスクが解消:川崎重工業との米国特許訴訟は8月3日に和解した。和解金21.6億円を特別損失に計上。
- バリュエーション:修正後EPSでPER 20.4倍(終値ベース)。決算後のPTSでは4,937円(終値比+約11%)がつき、PERは22.7倍。DCFとPERのレンジ(約3,700〜5,450円)のほぼ中央にあり、価格判定はC(適正)。
2027年2月期 中間決算の詳細
| 項目(百万円) | 26/2期 上期 | 27/2期 上期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 65,602 | 79,733 | +21.5% |
| 売上総利益 | 26,269 | 34,371 | +30.8% |
| 売上総利益率 | 40.0% | 43.1% | +3.1pt |
| 販管費 | 10,055 | 11,274 | +12.1% |
| 営業利益 | 16,214 | 23,096 | +42.4% |
| 営業利益率 | 24.7% | 29.0% | +4.3pt |
| 経常利益 | 14,572 | 24,538 | +68.4% |
| 特別損失(うち訴訟和解金) | 3 | 2,172(2,158) | — |
| 親会社株主に帰属する中間純利益 | 10,872 | 15,839 | +45.7% |
| EPS(円) | 62.13 | 91.33 | +47.0% |
| 期中平均レート(円/USD) | 149 | 158 | 円安 |
売上総利益率が3.1pt上がり、販管費の伸び(+12.1%)は売上の伸び(+21.5%)より小さく抑えられました。この2つが重なって営業利益は4割増えています。経常利益の伸び(+68.4%)が営業利益より大きいのは、前年同期の為替差損23.7億円が、今期は為替差益15.9億円に変わったためです。この差は本業の実力ではありません。
四半期の推移:2四半期連続で最高売上
| 四半期(百万円) | 25/2Q | 25/3Q | 25/4Q | 26/1Q | 26/2Q |
|---|---|---|---|---|---|
| 半導体関連装置 売上 | 26,420 | 24,893 | 26,800 | 30,239 | 36,898 |
| 半導体関連装置 受注 | 24,699 | 22,958 | 34,004 | 42,030 | 78,509 |
| 半導体関連装置 受注残 | 45,192 | 43,258 | 50,461 | 62,253 | 103,863 |
| 全社 営業利益 | — | — | — | 10,230 | 12,866 |
※会社資料は「FY’26」を27/2期の意味で使っています。上の表は27/2期を「26/◯Q」と表記しています。出典:決算説明資料。全社営業利益のQ2は上期累計からQ1を差し引いて算出。
Q2の半導体関連装置のBook-to-Bill(受注÷売上)は2.13倍です。受注は3四半期続けて過去最高を更新しました。受注残1,038億円は、Q2売上の約2.8四半期分にあたります。会社の説明では、北米のメモリメーカーからのウエハソータ・N2パージウエハストッカの受注急増と、中国の装置メーカー向けEFEMの受注増が牽引しました。
Q2の営業利益(128.7億円)は前四半期より26.4億円増えました。会社の要因分析では、売上増で+21.2億円、為替で+1.7億円、残りの約3.5億円は販管費などの増減によるものです。2024年に連結化したNanoverse社の上期累計の負担は、人件費10.1億円・のれん償却14.9億円などで、合計約25億円が営業利益を押し下げています。同社の評価装置は顧客のもとで評価が続いており、会社は今期中の売上計上をめざして交渉中としています。
地域別・顧客別:米国が首位に
| 地域(上期・百万円) | 売上高 | 構成比 |
|---|---|---|
| 米国 | 23,901 | 30.0% |
| 中国 | 20,902 | 26.2% |
| 台湾 | 19,406 | 24.3% |
| 日本 | 4,827 | 6.1% |
| 韓国 | 3,971 | 5.0% |
| その他 | 6,723 | 8.4% |
主要顧客では、Applied Materials向けが173億円(構成比21.7%、前年同期16.0%)に伸びました。TSMC向けは116億円(14.6%、同18.1%)でほぼ横ばいです。6月時点の記事では「TSMC主導の回復」を軸に据えていましたが、今回の決算で成長エンジンは装置メーカー経由の需要と北米メモリへ広がりました。顧客が分散したことは、リスク耐性の面でも前向きな変化です。
上方修正の中身:下期は受注残で裏付けられるか
| 通期予想(百万円) | 期初予想 | 修正後 | 増減率 | 上期実績 | 下期計画(逆算) | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 159,021 | 180,007 | +13.2% | 79,733 | 100,273 | 44.3% |
| 半導体関連装置 | 132,480 | 152,970 | +15.5% | 67,138 | 85,832 | 43.9% |
| 部品・修理他 | 10,636 | 14,579 | +37.1% | 6,977 | 7,601 | 47.9% |
| FPD関連装置 | 10,090 | 7,349 | △27.2% | 3,936 | 3,412 | 53.6% |
| 営業利益 | 38,112 | 53,078 | +39.3% | 23,096 | 29,981 | 43.5% |
| 経常利益 | 38,241 | 54,889 | +43.5% | 24,538 | 30,350 | 44.7% |
| 純利益 | 27,809 | 37,779 | +35.9% | 15,839 | 21,939 | 41.9% |
| EPS(円) | 159.62 | 217.84 | +36.5% | 91.33 | — | — |
| 年間配当(円) | 20 | 28 | +8円 | — | — | — |
上期の進捗率は44%で、数字だけ見ると下期偏重の計画です。下期の売上計画1,003億円は上期の1.26倍、営業利益300億円は上期の1.30倍にあたり、下期の営業利益率は29.9%の想定です。
ただ、全社の受注残1,115億円は下期売上計画の111%に達します。半導体関連装置だけで見ても、受注残1,038億円は下期計画858億円の121%です。需要面の裏付けは十分で、論点は「売れるか」から「作れるか・部材を確保できるか」に移りました。会社自身も調達リスクとして、メモリ価格の高止まり、部品の長納期化、部材の先行手配競争の過熱を挙げています。なお、想定為替レートは158円/USDで、上期実績と同じ水準に置かれています。
生産能力の増強:ベトナム新工場を前倒し
- ベトナム:採用を加速し、8月に賃上げを実施。倉庫を外部の貸し工場に移し、空いた場所をクリーンルーム化して組立フロアを広げる。新工場は2028年Q1稼働の予定を2027年Q4に前倒し。全期完成後の床面積は、組立が既存の5.2倍(60,000㎡)、部品製造が3.9倍(53,200㎡)。
- 中国(上海臨港):既存工場を2シフト勤務に移行。近隣に新建屋を借りて工場を広げ、2027年春から稼働する予定。
キャッシュフローと財政状態
| 項目(百万円) | 26/2期末 | 27/2期 上期末 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 現金及び預金 | 74,341 | 86,378 | +12,036 |
| 棚卸資産(合計) | 45,482 | 51,352 | +5,870 |
| うち原材料及び貯蔵品 | 26,642 | 32,541 | +5,899 |
| 借入金(短期+長期) | 23,781 | 31,554 | +7,772 |
| 訴訟損失引当金 | 7,429 | — | △7,429 |
| 自己資本 | 130,228 | 146,587 | +16,359 |
| 自己資本比率 | 66.0% | 67.2% | +1.2pt |
| ネットキャッシュ(現預金−借入金) | 50,560 | 54,824 | +4,264 |
上期の営業CFは87億円で、営業利益231億円に比べると小さく見えます。主な理由は2つです。1つは、受注急増に備えた原材料の先行手配(+59億円)。もう1つは、前期末に計上した訴訟損失引当金74億円が和解で取り崩されたことです。引当金の取崩しと今期の和解金21.6億円を合わせると、和解に伴う支出は約96億円と推計されます(和解金額は非開示のため、引当金と特別損失からの推計)。これを除いた実質の営業CFは180億円台と試算でき、利益の質に大きな問題はないと見ています。借入金を78億円増やしたのは運転資金のためで、ネットキャッシュは548億円と前期末より増えています。
事業環境:AI投資の主役がメモリへ広がる
- 装置市場全体:SEMIの年央予測(2026年7月)では、2026年の世界半導体製造装置販売額は1,659億ドル(前年比+23.2%)。用途別ではDRAMが+39.0%と最も高い伸びで、2027年も+27.4%を見込む。
- 日本製装置:SEAJ(2026年7月)は2026年度の日本製半導体製造装置販売高を6兆5,502億円(+26.0%)、2027年度を7兆4,017億円(+13.0%)と予測している。
- TSMC:2026年の設備投資ガイダンスを520〜560億ドルから600〜640億ドルに引き上げた(7月のQ2決算時)。Q3決算は10月15日。
- メモリ:SK hynixは2026年の設備投資を過去最高の45兆ウォン超に引き上げた。Micronは2027年度の設備投資を従来計画から積み増し、米アイダホ新工場で2027年央の初期出荷をめざしている。
ローツェが説明した「北米メモリメーカーからのソータ・ストッカ受注急増」は、こうした米国でのメモリ工場立ち上げのタイミングと符合します。ただし、顧客名は開示されていません。特定企業とは断定できない点に注意が必要です。新しい工場が立ち上がる局面では、ウエハ在庫を保管するストッカや、仕分けに使うソータが装置本体より先に必要になります。そのため、こうした受注は設備投資サイクルの先行指標として読むことができます。
中国向け26%と輸出規制
上期の中国向け売上は209億円(構成比26%)で、中国の装置メーカー向けEFEMの受注も増えています。米国では対中規制を同盟国にも広げる「MATCH法」(H.R.8170)が2026年4月に下院外交委員会を通過しました(本会議での採決状況は未確認)。現時点でEFEMが規制対象だとは確認できていません。ただ、中国の装置メーカー向けの比率が上がるほど、規制範囲が広がったときの影響は大きくなります。
バリュエーション:修正後EPSで再計算
| 指標 | 数値 | 前提 |
|---|---|---|
| 株価 | 4,434円 | 2026/10/8終値(PTS 4,937円・19:37時点) |
| 時価総額 | 約7,822億円 | 発行済1億7,640万株 |
| 予想PER | 20.4倍(PTSベース22.7倍) | 修正後EPS 217.84円 |
| PBR | 5.25倍 | 中間期末BPS 約845円(推計) |
| EV/EBITDA | 約12倍(推計) | EBITDA約596億円=営業利益+減価償却+のれん償却(推計) |
| 配当利回り | 0.63% | 予想DPS 28円 |
| 信用倍率 | 30.32倍 | 2026/10/2申込 |
| 直近高値・安値 | 5,199円(7/1)/3,020円(4/8) | 日足ベース |
DCF法(3シナリオ)
前提は次のとおりです。27/2期の会社予想(売上1,800億円・営業利益率29.5%)を起点に、5年間の明示期間を置きました。法人税率は28%、運転資本は増収額の15%、減価償却は年35億円としています。設備投資はベトナム新工場の建設を織り込み、28/2期150億円、29/2期250億円、その後は50〜80億円です。ネットキャッシュ548億円を加算し、自己株を除く1億7,343万株で割りました。いずれも独自の推計です。
確率をブル25%・ベース50%・ベア25%と置いた加重平均は約3,780円です。DCFは、ピーク近辺の利益率がいずれ下がる前提を置いているため、保守的な数字になります。ターミナルバリューが企業価値の約8割を占めるので、WACCを1%動かすだけで理論株価は大きく変わります。
マルチプル法(シクリカルを考慮)
| 手法 | 前提 | 理論株価 | 終値比 |
|---|---|---|---|
| 今期EPS × セクターPER | 217.84円 × 25倍 | ¥5,446 | +22.8% |
| ミッドサイクルEPS × セクターPER | 約175円(25/2〜28/2期の平均・推計)× 25倍 | ¥4,375 | -1.3% |
| DCF 確率加重 | 上記3シナリオ | ¥3,780 | -14.7% |
セクターPERの25倍は、SCREEN HD(26.2倍)とダイフク(24.6倍)の水準を参考にしました。アドバンテスト(44.8倍)やレーザーテック(46.4倍)のような高PER銘柄は使っていません。理論株価のレンジは約3,700〜5,450円で、終値4,434円はその中央付近にあります。PTSの4,937円でも、上端までは10%ほどの距離です。ピーク利益にPERを掛けた値だけで割安と判断するのは避け、価格判定はC(適正)としました。
東証上場 類似銘柄比較(2026年10月8日終値)
| 銘柄 | コード | 終値 | 予想PER | PBR | 時価総額 | 次回決算 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ローツェ | 6323 | 4,434円 | 20.4倍 | 5.25倍 | 0.78兆円 | 10/8発表済 |
| 東京エレクトロン | 8035 | 12,190円 | — | 13.0倍 | 28.5兆円 | 10/30 |
| ディスコ | 6146 | 61,140円 | — | 11.4倍 | 6.6兆円 | 10/22 |
| SCREEN HD | 7735 | 15,910円 | 26.2倍 | 6.1倍 | 3.0兆円 | 10/30 |
| アドバンテスト | 6857 | 40,930円 | 44.8倍 | 28.3倍 | 30.0兆円 | 10/28 |
| レーザーテック | 6920 | 46,610円 | 46.4倍 | 16.9倍 | 4.4兆円 | — |
| ダイフク | 6383 | 5,716円 | 24.6倍 | 4.2倍 | 2.2兆円 | 11/11 |
※予想PERは株探の会社予想ベース。「—」は会社予想が出ておらず算出されていないもの。ローツェのPBRは中間期末BPSからの推計。
ローツェは、比較した装置株の中で予想PERが最も低い水準にあります。一方でPBRは5倍台と低くありません。これは株価の割安さというより、ROE(上期の年率換算で約23%、推計)の高さを映した数字です。時価総額が1兆円に満たない中型株であることも、他の大型装置株との違いです。
カタリストカレンダー(今後3ヶ月)
| 時期 | イベント | 影響度 | 織り込み度 |
|---|---|---|---|
| 10月9日 | 決算・上方修正を受けた通常取引での初反応(PTSは+約11%) | ★★★★★ | 一部(PTSで先行) |
| 10月15日 | TSMC Q3決算(2027年の設備投資の示唆) | ★★★★☆ | 一部 |
| 10月22日〜30日 | ディスコ・アドバンテスト・東京エレクトロン・SCREENの決算(装置需要の横比較) | ★★★☆☆ | 一部 |
| 11月下旬 | SEAJ 10月分の日本製装置販売高 | ★★☆☆☆ | 未織込 |
| 12月(予定) | SEMICON Japan/SEMIの年末装置市場予測 | ★★★☆☆ | 未織込 |
| 2027年1月上旬(予定) | 27/2期 第3四半期決算(受注の持続性と生産・出荷の進捗) | ★★★★★ | 未織込 |
次の焦点は、Q2の受注785億円が一時的な大口の積み上がりなのか、続く流れなのかです。第3四半期決算で受注高が500億円台以上を保てるかが、ひとつの目安になります。
7軸レーティング(v2.2)— 評価根拠
| 評価軸 | スコア | 根拠(数値) |
|---|---|---|
| ①成長性 | 9/10 | 24/2期から27/2期(会社予想)の売上CAGRは24.5%。今期の増収率は+39.8%。先行指標の受注高は前年同期の3.2倍。M&Aによる増収の寄与はほぼなし(Nanoverseは売上計上前) |
| ②収益性 | 8/10 | Q2の営業利益率30.3%、上期ROE(年率換算・推計)約23%。従業員は4,466名(前年同期比−1.0%)で、一人当たり営業利益(年率換算)は約1,030万円(+43%)。増員なしで増収を吸収している。平均年収と労働分配率は半期では開示がなくN/A。ディスコ・レーザーテックよりは利益率が低い |
| ③収益の質 | 6/10 | 持分法はなし、非支配株主利益は0.75億円と軽微。一方で為替差益15.9億円、和解金21.6億円、Nanoverseののれん償却14.9億円と一過性・特殊要因が多い。営業CF÷営業利益は0.38倍(和解支払い・在庫積み増しを除いた実質値は約0.8倍、推計) |
| ④競争優位性 | 8/10 | EFEM・搬送ロボットで世界上位。売上総利益率は+3.1ptで43.1%に上がり、価格への転嫁力がある。装置メーカーとエンドユーザーの両方にチャネルを持つ |
| ⑤需給ポジション | 3/10 | 3ヶ月前(7月上旬)の5,000円前後から終値4,434円と約1割下落。半導体装置の主力大型株に対して劣後。信用倍率は30倍台と買い残に偏っている |
| ⑥カタリスト | 7/10 | 3ヶ月以内に日付の決まった材料(TSMC決算、同業の決算、SEMICON Japan)がある。今回の上方修正はPTSで一部織り込み済み。上抜け素地は2/6で調整なし |
| ⑦リスク耐性 | 7/10 | 自己資本比率67.2%、ネットキャッシュ548億円。特許訴訟の和解で係争リスクが解消。最大顧客AMATは21.7%で30%未満。ただ中国向け26%と、部材調達の逼迫が残る |
品質スコア:48/70 — ★★★★☆ / 価格判定:C(適正)
上抜け素地チェック(6項目)
| # | 項目 | 判定 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 1 | 売買代金の増加 | — | 直近1ヶ月と3ヶ月の平均売買代金の比は未確認 |
| 2 | 上値のしこりが薄い | × | 直近高値5,199円まで終値から約17%(PTS価格からは約5%)。7月の高値圏には大商いの価格帯がある |
| 3 | 信用買い残の重石が軽い | × | 信用倍率30.32倍 |
| 4 | 踏み上げ余地 | × | 売り残は11万株台と小さい |
| 5 | 浮動株が少ない | ○ | 創業者が約35%を保有 |
| 6 | 未織り込みの材料 | ○ | 第3四半期の受注動向、ベトナム工場前倒しの進捗 |
該当は2/6のため、⑥カタリストの点数は調整していません。浮動株が少ないことは、好材料でも悪材料でも値動きが大きくなりやすいという意味です。有利な条件を示すものではありません。
テーマ適合度:AI半導体・先端パッケージング(27/40・やや高い)
ここでは「AI向け先端ロジック・HBMなどの半導体増産と、チップレット化に伴う先端パッケージング投資」をテーマと定義します。認定に使ったのは、政策の裏付け、技術の非連続性、第三者によるTAM推計、大手による資金投入の4点です。
| 軸 | 点 | 根拠 |
|---|---|---|
| ①量的寄与 | 7 | 売上の84%が半導体関連装置。ただしAI向けの比率は開示されておらず、20〜50%程度と推計 |
| ②純度 | 8 | 半導体関連が主業で、時価総額は約0.8兆円の中型株。テーマが失速したときは下落も大きくなりやすい |
| ③サイクル位置 | 5 | AI半導体はテーマとして成熟しており、大型の装置株は大きく上昇済み。当社株も7月の高値から一度調整している |
| ④希少性 | 7 | EFEM・ソータで少数の有力プレーヤーの一角。Tape Frame Sorter・PLP EFEMで先端パッケージングにも参入 |
テーマへの適合度は、株価が上がることを意味しません。本項目は、テーマが材料視されたときに株価に効きやすい構造かどうかを観察したものです。資本イベント素地(TOB/MBO)は1/10(創業家の保有のみ)、国策アライン度は到達経路が確認できず「低い」のため、どちらも詳細は省略しました。
解釈:品質★4 × 価格C
受注・利益率・財務・訴訟解消のどれを見ても、事業の質は6月時点より明らかに良くなりました。一方で、株価はすでに修正後EPSの20倍前後で、PTSでは上方修正の一部が先に織り込まれています。「品質相応の価格」というのが現時点の整理です。優良企業であることと、割安であることは別の問題です。今後の評価を分けるのは、受注が高い水準で続くか、そして生産能力と部材の確保で受注を売上に変えられるかの2点です。
6月時点からの変化まとめ
| 項目 | 6月4日版 | 10月8日版 |
|---|---|---|
| 株価 | 4,216円 | 4,434円(PTS 4,937円) |
| 27/2期 営業利益予想 | 381億円 | 531億円(+39%) |
| 27/2期 EPS予想 | 159.62円 | 217.84円 |
| 予想PER | 26.4倍 | 20.4倍 |
| 年間配当予想 | 20円 | 28円 |
| 特許訴訟 | 引当金74億円を計上・係争中 | 8/3に和解・終結 |
| 成長の主役 | TSMC向け | AMAT・北米メモリ・中国装置メーカーへ分散 |
| レーティング | ★★★★☆ 46/70(旧基準) | ★★★★☆ 48/70・価格C(v2.2) |
半導体関連のほかの銘柄分析は半導体銘柄リサーチ一覧にまとめています。
出典:ローツェ「2027年2月期 第2四半期(中間期)決算短信」「同 決算説明資料」「通期連結業績予想の修正及び配当予想の修正に関するお知らせ」(いずれも2026年10月8日)。株価・信用残は株探(2026年10月8日)。SEMI 年央装置市場予測(2026年7月14日)、SEAJ 需要予測(2026年7月2日)。
免責事項・ディスクレーマー
本記事は半導体企業に関する調査分析の情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。DCF試算・マルチプル比較・レーティングは独自の前提条件に基づく推計であり、実際の企業価値や将来の株価を保証するものではありません。半導体産業は景気循環・技術変化・地政学リスク等により業績が大幅に変動する可能性があります。投資判断はご自身の責任において、十分な情報収集と専門家への相談のうえで行ってください。
本記事の情報は2026年10月8日時点の公開情報に基づいています。筆者は本記事で言及した銘柄のポジションを保有している可能性があります。