単結晶とレーザの専業メーカー株式会社オキサイド(東証グロース・6521)は、2026年10月15日12時に2027年2月期の中間決算と通期業績予想の上方修正を発表しました。上期(3〜8月)の売上高は4,935百万円(前年同期比+18.9%)、営業利益は641百万円(前年同期は189百万円の赤字)。会社の上期予想(営業利益259百万円)を382百万円上回りました。
通期予想は、売上高9,828→10,323百万円(+5.0%)、営業利益933→1,367百万円(+46.5%)に引き上げられました。けん引役は半導体事業(ウエハ欠陥検査装置向けの単結晶・深紫外レーザ)で、上期売上は前年同期比+70%。一方、PET装置向けのヘルスケア事業は、原材料高を受けた主要顧客との取引条件の協議が続き、下期の売上予想を大きく下げています。株価は発表当日の10月15日に3,180円(−6.33%)で引け、夜間取引(PTS)では3,259.5円まで戻しました。2026年5月の上場来高値7,420円からは約57%下の水準です。
本記事では、①今期の伸び(事業別)、②上期決算の中身(利益率の改善と特別損益)、③データセンター向けファラデー回転子への約23億円の設備投資、④市場規模と当社のシェア、⑤株価(今期予想PER約28倍・EV/EBITDA約20倍)の評価を一次情報で整理し、強気材料と弱気材料を同じ分量で並べます。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。
1. 総合評価サマリー
テーマ適合 28/40(やや高い) / 国策アライン 6/10(やや高い) / 資本イベント素地 該当なし
上抜け素地 1/6(⑥カタリストに −1 調整) / 計画信頼度:中 / ゲームチェンジャー判定:○ 漸進的な改善(深紫外の一部単結晶は◎に近い)
- 今期の伸び:半導体事業の売上は5,002→7,241百万円(+44.8%)の計画。全社の営業利益は543→1,367百万円(約2.5倍)、営業利益率は13.2%と、2028年2月期の中期目標(12%)を1年前倒しで上回る見込み。
- 弱点:ヘルスケア事業は1,997→1,219百万円(−39%)。4Q(12〜2月)の計画は59百万円まで落ちる。
- 投資:データセンター向けファラデー回転子の増産に、8月に1,455百万円、10月14日に841百万円の追加投資を決定。今期の設備投資は約30億円弱+追加分。
- 財務:有利子負債約70.6億円、現預金19.2億円。会社が重視するネット有利子負債/EBITDAは3.7倍→2.6倍に改善。
2. 今期の伸び|前期→上期→通期修正計画(事業別)
| 百万円 | 2026年2月期 実績 |
2027年2月期 上期実績 |
前年同期比 | 2027年2月期 当初計画 |
修正計画 | 前期比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 10,040 | 4,935 | +18.9% | 9,828 | 10,323 | +2.8% |
| 半導体 | 5,002 | 3,259 | +69.9% | 6,402 | 7,241 | +44.8% |
| ヘルスケア | 1,997 | 874 | −24.7% | 1,851 | 1,219 | −39.0% |
| 新領域(※Raicol含む前期) | 3,040 | 800 | −25.4% | 1,575 | 1,864 | −38.7% |
| 営業利益 | 543 | 641 | 黒字転換 | 933 | 1,367 | +151.9% |
| 営業利益率 | 5.4% | 13.0% | +17.6pt | 9.5% | 13.2% | +7.8pt |
| EBITDA(マージン) | — | 969(19.6%) | +705 | 1,681(17.1%) | 2,076(20.1%) | — |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | −538 | 571 | 黒字転換 | 597 | 1,328 | 黒字転換 |
| 1株当たり利益 | −46.99円 | 49.24円 | — | 52.14円 | 114.50円 | — |
出典:2027年2月期中間決算短信・決算補足説明資料・通期連結業績予想の修正(2026年10月15日)、事業計画及び成長可能性に関する事項(2026年5月28日)。前期の新領域にはRaicol社(2026年1月売却)の売上が含まれる。無配の予想。
読み方:全社売上の伸びは+2.8%にとどまりますが、これはRaicol社の売却(新領域)とヘルスケアの減収が半導体の大幅増収を打ち消しているためです。株価にとって本命は、売上の7割を占める半導体事業の+44.8%と、営業利益率の改善です。半導体の上期受注高は上期として過去最高の3,456百万円、受注残高は3,390百万円でした。
四半期の配分:下期の営業利益は726百万円
| 百万円 | 1Q実績 | 2Q実績 | 3Q修正予想 | 4Q修正予想 | 通期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,192 | 2,743 | 2,598 | 2,790 | 10,323 |
| 半導体 | 1,576 | 1,683 | 1,820 | 2,160 | 7,241 |
| ヘルスケア | 326 | 548 | 285 | 59 | 1,219 |
| 新領域 | 289 | 511 | 493 | 570 | 1,864 |
| 営業利益 | 199 | 442 | 271 | 455 | 1,367 |
| 営業利益率 | 9.1% | 16.1% | 10.4% | 16.3% | 13.2% |
上期の営業利益の進捗率は46.9%(会社の上期予想ベースでは当初の進捗想定を大きく上回る水準)。下期は半導体が四半期ごとに伸びる一方、ヘルスケアは4Qに59百万円まで落ちる計画です。会社は「受注確度の高い案件をもとに見直した」と説明しており、ヘルスケアの協議がまとまれば下期の上積み余地、まとまらなければ顧客喪失のリスクという両面があります(推察)。
3. 上期決算の中身
粗利率の改善と販管費の減少
売上総利益率は31.7%→39.2%に上がり、販管費は1,507→1,291百万円に減りました(Raicol社の連結除外の影響を含む)。研究開発費は706→509百万円で、会社は「量産化に伴い一部費用が製造コストに振り替わった」と説明しています(7月の質疑応答)。EBITDAマージンは6.3%→19.6%です。
純利益を押し上げた特別損益
| 項目(上期) | 百万円 | 中身 |
|---|---|---|
| 固定資産受贈益 | +160 | Raicol社売却の際に合意した単結晶育成炉の無償譲受(3Qにさらに120百万円、通期280百万円の見込み) |
| 補助金収入 | +96 | 子会社オキサイドパワークリスタルがNEDOグリーンイノベーション基金事業の補助金を受領 |
| 固定資産圧縮損 | −92 | 上記補助金で取得した資産の圧縮記帳 |
| 固定資産売却益 | +29 | — |
通期純利益予想1,328百万円には受贈益280百万円が含まれます。これらを除いた実力ベースの純利益は、経常利益1,234百万円から推計すると900百万円台前半(EPS約80円)で、修正後EPS114.50円との差は約3割です(推計)。
キャッシュフロー:営業CFは補助金込みで793百万円
| 百万円 | 2026年2月期 上期 | 2027年2月期 上期 |
|---|---|---|
| 営業CF | +479 | +793(うち補助金の受取429) |
| 投資CF | −81 | −669(設備取得−1,657、Raicol売却代金+1,000) |
| 財務CF | −210 | −501 |
| 期末現金及び現金同等物 | 2,426 | 1,921 |
機械装置が1,303百万円増え、設備投資が本格化しています。棚卸資産は329百万円増加しました。有利子負債は短期2,600・1年内長期708・長期3,601・社債150で計約7,059百万円、ネット有利子負債は約5,137百万円です。会社算出のネット有利子負債/EBITDAは2.6倍(上期EBITDAを2倍して計算)、自己資本比率は34.7%です。
4. ファラデー回転子への増産投資
| 開示日 | 内容 | 取得価額 | 稼働予定 |
|---|---|---|---|
| 2026-08-19 | データセンター向けファラデー回転子の増産設備(第6工場・山梨県北杜市) | 1,455百万円 | 2027年2月期下期中 |
| 2026-10-14 | 同・追加投資 | 841百万円 | 2027年2月期下期中 |
ファラデー回転子は、光トランシーバーに使われる光アイソレータの中核部品で、レーザ光源を反射光から守る役割を持ちます(会社開示)。生成AIの普及でデータセンター内外の光通信が高速・大容量化し、需要が増えているというのが会社の説明です。新領域の通期計画は1,864百万円で、ファラデー回転子の売上額は開示されていません。合計約23億円の投資は今期売上計画の2割強に当たり、回収は来期以降の受注次第です。会社は追加投資の業績影響を「精査中」としています。7月の質疑応答では、1Qに資材の入荷遅延で売上が2Qにずれたことも説明しています(顧客と一定数量をまとめて一括出荷する取引のため、四半期の偏りが出やすい)。
5. 会社概要|単結晶×波長変換のニッチトップ
- 2000年設立、山梨県北杜市が本社。代表取締役CEOの古川保典氏が創業者。代表取締役COOは山本正幸氏。連結従業員312名(2026年2月末)。売上の海外比率は90%以上。
- 半導体事業:ウエハ欠陥検査装置向けの深紫外レーザと波長変換用単結晶。会社資料によると、深紫外レーザ用の波長変換単結晶は世界シェア95%超、レーザ光源はSAM約220億円の約30%。KLA、レーザーテック、ニコンなどの装置メーカーが主要株主。
- ヘルスケア事業:PET検査装置向けシンチレータ単結晶。高性能PETのトップメーカーが主要顧客。
- 新領域事業:データセンター向けファラデー回転子、量子コンピュータ用302nmレーザ・量子通信用レーザ、光電融合、パワー半導体用SiC(子会社オキサイドパワークリスタル)。
- 2026年1月、地政学リスクと収益性悪化を理由にイスラエルのRaicol社を売却。有利子負債は約103億円(2025年2月期末)→約75億円(2026年2月期末)に減少。
- 中期経営目標(2026年4月):2029年2月期に売上高130億円・営業利益率14%・EBITDAマージン23%。会社は「下半期の進捗を見極めた上で見直しを検討」としています。
6. 市場規模(TAM)と当社のポジション
① 事業別のTAM
| 事業 | 市場の定義 | 規模・対象年・地域 | 出典(格) |
|---|---|---|---|
| 半導体(売上の約7割) | 半導体用途の深紫外レーザ市場(露光用光源・検査用・微細加工用を含む、世界) | 約1,500億円 | QYResearch(グローバルインフォメーション掲載)を会社資料が引用【第三者・対象年未確認】 |
| 半導体前工程ウエハ欠陥検査装置用レーザ光源(世界)=SAM | 約220億円 | 会社試算【会社推計のみ】 | |
| 新領域(データセンター) | ファラデー回転子市場(世界) | 9億120万ドル(2025年)→9億7,742万ドル(2026年予測) | グローバルインフォメーション掲載の市場調査レポート(2026年3月)【第三者・調査元は未確認】 |
| (参考)半導体製造装置 | WFE市場(世界) | 2026年に前年比+23.2%の予測 | SEMI(会社資料が引用)【業界団体】 |
② SAMと浸透率
- 半導体:修正計画の半導体売上72.4億円をSAM約220億円で割ると約33%で、会社の「約30%のシェア」と整合します(半導体売上には単結晶やメンテナンスも含むため参考値)。既存の検査用途ではすでに大きなシェアを持っており、伸びの源泉はWFE市場の拡大と、フォトマスク検査・後工程の微細加工などTAM側(約1,500億円)への用途拡大です。
- ファラデー回転子:市場は約1,350億円(2025年、1ドル150円換算)。新領域の通期計画18.6億円をすべてファラデー回転子とみなしても約1.4%で、伸びしろは大きい一方、競合(大手光部品メーカー)との競争の中で取れるシェアはまだ実証途上です。
適正株価(第11章)では、半導体事業の伸びを会社計画と中期目標(2029年2月期 売上130億円)の範囲で置き、上記の浸透率と矛盾しない前提にしています。
③ ゲームチェンジャー判定(5問)
| 問い | 現状(一次情報) | 判定 |
|---|---|---|
| 1. 置換対象 | ウエハ欠陥検査装置の深紫外光源(従来の固体・ガスレーザ)。後工程ではエキシマ等の加工用レーザ | ○ |
| 2. 優位の定量 | 深紫外レーザ用波長変換単結晶の世界シェア95%超、検査用レーザ光源のSAMシェア約30%(会社資料)。性能の既存比は定性説明 | ○(シェアは定量) |
| 3. 普及の障壁 | 装置メーカーの認定、長期の寿命データ(会社は「実運用でしか蓄積できない知見」と説明) | — |
| 4. 実装エビデンス | 世界の主要半導体工場の検査装置で稼働中。量子・後工程微細加工は開発〜評価段階 | ◎(半導体)/×(新規分野) |
| 5. 既存側の反撃 | 大手レーザメーカーや装置メーカーの内製化。ファラデー回転子は既存の光部品メーカーが多い | △ |
判定:○ 漸進的な改善。半導体検査の深紫外単結晶は代替の効きにくい「押さえどころ」ですが、産業構造を作り替える性質のものではありません。新規分野(量子・光電融合・SiC)は、会社自身が「短期的な収益寄与よりも中長期の成長ドライバー」と位置付けています。うまくいかなかった場合に残るものは、半導体検査向けの高シェア事業と、KLA・NTTグループなどの戦略株主との関係です。
7. テーマ性の検証
テーマの定義:「生成AIインフラ投資(先端半導体の製造・検査と、データセンター内外の光通信)に必要な光部品・材料の需要拡大」。判断軸6項目のうち、①政策の裏付け(半導体・GXの政策支援、NEDO基金)、②技術の非連続性(光電融合・CPO)、③第三者による市場推計、④実装マイルストーン(増産設備の稼働予定)、⑤大手の資金投入(KLA・NTTグループの出資、装置メーカーの設備投資)、⑥市場の関心の6項目すべてを満たすと判断しました。
| テーマ | 判定 | 根拠(出典) |
|---|---|---|
| 半導体製造装置(検査) | ◎ 実事業 | 半導体事業が売上の約7割、上期+70%(決算補足説明資料) |
| AIデータセンター光通信 | ◎ 実事業(規模は非開示) | ファラデー回転子を出荷中、約23億円の増産投資(8月19日・10月14日開示) |
| 量子コンピュータ・量子通信 | ○ 出荷開始〜評価段階 | 量子通信用レーザの出荷開始(7月10日開示)、302nmレーザは評価・協議中(7月の質疑応答) |
| 光電融合・後工程微細加工 | ○ 開発段階 | Fluence社と深紫外フェムト秒レーザを開発(8月18日開示)、ポーランドのレーザーメーカーと提携 |
| パワー半導体(SiC) | ○ サンプル段階 | 溶液法p型SiCウエハをサンプル提供、NEDO基金の補助金を受領。売上寄与はなし |
テーマ適合度(4軸・28/40=やや高い)
| 軸 | 点 | 根拠 |
|---|---|---|
| ①量的寄与 | 8 | 半導体(約70%)+データセンター向け(非開示、新領域18%の一部)。推計 |
| ②純度 | 8 | 単結晶・レーザ専業で時価総額約370億円。🔴両刃:半導体投資が鈍れば業績・株価とも大きく振れる構造(実際、2024年は半導体の部材不具合と受注制限で大きく崩れた) |
| ③サイクル位置 | 4 | 2026年1〜5月に約5.3倍の大相場の後、約57%下落(一巡) |
| ④希少性 | 8 | 深紫外用波長変換単結晶の世界シェア95%超(会社資料)。代替が効きにくい工程を押さえる |
①と③の乖離:業績は半導体投資に厚く乗っている(①8点)一方、株価は大相場の後の調整局面(③4点)です。テーマの話題性はすでに一度織り込まれ、今後の株価は受注・利益率・ファラデー回転子の立ち上がりなど業績の確認に左右されやすいと考えられます(推察)。
国策アライン度:6/10(やや高い) — 基金(NEDOグリーンイノベーション基金)、骨太の方針の半導体・GX、経済安全保障(半導体)、当該企業への到達経路(補助金の受領)、過去の受領実績、政策の継続性が該当。ただし対象のSiC事業はサンプル段階で、補助金は特別利益であり売上寄与はありません。資本イベント素地(TOB/MBO)は該当なしです。
8. 大相場チェック(過去3年)
大相場あり:2025年12月の安値1,394円→2026年5月の上場来高値7,420円で約5.3倍。その後7月に2,625円まで約65%下落し、現値3,180円は高値から約57%下の水準です(株探の月足)。
| 時期 | 値動き | 要因(事実/推察) |
|---|---|---|
| 2024年8月 | 月間−32.4% | 事実:半導体事業の部材不具合を受けた新規受注の制限(会社資料の受注推移に注記) |
| 2026年1月 | 月間+56.8% | 事実:1月28日にRaicol社の売却と業績予想の修正を発表 |
| 2026年3月 | 月間+31.9%(出来高2,536万株) | 要因は未特定。推察:AIインフラ・光関連の物色 |
| 2026年4〜5月 | 4月21日S高、5月8日+17.6%、5月18日+12.4%、高値7,420円 | 事実(株探見出し):4月21日は欧州での量子事業展開、5月8日は「AIインフラ特需でオプトエレクトロニクスが飛躍期へ」 |
| 2026年5月19日〜7月 | 5月19日S安、7月14日−8.48%、7月月間−38.4% | 事実:7月14日に1Q決算(ファラデー回転子の期ずれ)。推察:テーマ過熱の剥落 |
| 2026年10月15日 | −6.33%(後場は買い気配で始まったが、安値3,060円) | 事実:12時に中間決算と上方修正。推察:上方修正の多くが受贈益で、ヘルスケアの下方修正が嫌気された可能性 |
判定:大相場は、業績の回復と「AI光関連」のテーマ物色が重なったものでした。その後の急落でテーマ部分はかなり剥落していますが、4,000〜7,000円台で買った株主の戻り売りと、約69万株の信用買残が上値の重しになりやすい構造です(推察)。
9. 経営陣・株主構成・需給
経営体制:○(創業者主導・外部知見で補強)
- 創業者の古川保典氏が代表取締役CEO。大株主1位の個人(9.49%)は同氏と推定されます(氏名はデータ上非表示)。持株比率は3〜10%の「中」水準。
- 2026年9月、東芝セラミックス(現クアーズテック)元社長の香山晋氏を経営戦略アドバイザーに招聘。CFOは上級執行役員の竹内健吾氏。
- 従業員は312名(Raicol社の連結除外で402名から減少)。平均年間給与は約503万円(2026年2月期有報)。1人当たり営業利益は今期計画で約440万円。
需給:重い〜留意
| 項目 | 状況 |
|---|---|
| 戦略株主 | ケーエルエー・テンコール8.21%、NTTアドバンステクノロジ5.79%、NTTファイナンス4.32%、ニコン2.16%、レーザーテック2.16%(2026年2月期有報)。KLAグループは2024年1月の変更報告書で合計14.64%(「政策投資」)、NTTグループは2025年7月に10.42%(「事業提携関係の発展」) |
| 潜在株式 | 希薄化後EPSから逆算した増加は約4%。PSU・譲渡制限付株式による新株発行も継続 |
| 信用残 | 買残690.9千株・売残ほぼ0(10月9日)。発行済株式の約5.9%、3ヶ月平均出来高の約4日分 |
| 流動性 | 3ヶ月の1日平均売買代金は約5億円 |
戦略株主が約3割を持ち浮動株は限られる一方、信用買残が積み上がり、高値からの下落局面での戻り売りも想定されるため、需給は「重い〜留意」と判定します。
10. 計画との整合性|計画信頼度=中
| 期 | 計画と実績 | 分類 |
|---|---|---|
| 2024年2月期 | 営業損失983百万円(半導体の部材不具合・受注制限) | 大幅未達 |
| 2025年2月期 | 純損失2,703百万円(Raicol社関連の減損2,723百万円) | 大幅未達 |
| 2026年2月期 | 1月に予想を修正(営業利益409百万円)→実績543百万円。会社は「売上高・営業利益ともに通期予算を上回った」と説明 | 達成 |
| 2027年2月期 | 当初営業利益933百万円→修正1,367百万円(+46.5%)。上期は会社予想比+382百万円 | 上振れ中 |
直近2期は計画を上回っていますが、それ以前は部材不具合・M&Aの減損で大きく崩れた経緯があり、計画信頼度は「中」とします。中期目標(2029年2月期 売上130億円・営業利益率14%)は、Raicol売却後も売上目標を据え置いており、半導体とファラデー回転子で約27億円(今期計画比+26%)を上積みする計画です。
11. 適正株価の考え方(評価手法の例示・目標株価ではありません)
設備投資と借入が大きく、特別損益で純利益が振れるため、PERではなくEV/EBITDAを主に使います。ネット有利子負債は約5,137百万円、株数は希薄化を含め約1,207万株とします。
| シナリオ | 前提 | 1株価値の目安 | 現値比 |
|---|---|---|---|
| 弱気 | 今期EBITDA2,076百万円(修正計画)のまま伸びが止まる。ヘルスケアの顧客喪失・ファラデー回転子の立ち上がり遅れ。EV/EBITDA12倍 | 約1,640円 | 約−48% |
| 中立 | 2028年2月期に売上約115億円・EBITDAマージン22%(中期目標)=EBITDA約25億円。EV/EBITDA16〜20倍(中央18倍) | 約2,930〜3,770円(中央 約3,350円) | 約+5% |
| 強気 | 2029年2月期の中期目標(売上130億円・EBITDAマージン23%)を達成、ネット有利子負債40億円。EV/EBITDA22倍を2年・年10%で割り引き | 約4,230円 | 約+33% |
- 中立ケースの成立条件:WFE投資が続き半導体が年2〜3割伸びる、ファラデー回転子の増産設備が下期に稼働し来期の売上に乗る。崩れる条件:半導体装置投資の減速、ヘルスケア主要顧客との協議決裂、増産投資の回収遅れ。
- クロスチェック:EV(時価総額+ネット有利子負債)約421億円は今期EBITDAの約20.3倍・営業利益の約30.8倍。今期予想PERは27.8倍だが、受贈益などの特別損益を除いた実力ベースでは約39倍(推計)。PBRは6.91倍。
- 第三者試算:アナリストの目標株価は本調査の範囲では確認していません(N/A)。
終値3,180円に対する中立ケース中央値の上振れ幅は約+5%で、価格判定はC(適正)です。
12. レーティング(equity-rating-framework v2.2)
| 軸 | 点 | 根拠(数値付き) |
|---|---|---|
| ①成長性 | 7 | 売上の3期年平均成長率約20%(2023年2月期5,753→2026年2月期10,040百万円、Raicol買収を含むため上限8点)。今期は半導体+44.8% |
| ②収益性 | 6 | 営業利益率5.4%→今期計画13.2%、EBITDAマージン20.1%。1人当たり営業利益は今期計画で約440万円 |
| ③収益の質 | 5 | 今期純利益に受贈益280百万円・補助金を含む。上期の営業CFは補助金429百万円込み。Raicol除外で期間比較に注意 |
| ④競争優位性 | 8 | 深紫外用波長変換単結晶の世界シェア95%超、検査用レーザ光源のシェア約30%(会社資料)、主要装置メーカーが株主 |
| ⑤需給(直近3ヶ月) | 3 | 7月14日終値3,830円→3,180円(−17%)。信用買残69万株(売残ほぼ0) |
| ⑥カタリスト(今後3ヶ月) | 5 | 3Q決算(2027年1月中旬予定)とファラデー回転子増産設備の稼働(下期中)。上抜け素地1/6で−1調整後 |
| ⑦リスク耐性 | 4 | 自己資本比率34.7%、有利子負債約71億円、ネット有利子負債/EBITDA2.6倍。今期の設備投資は30億円超。ヘルスケアの顧客集中 |
| 合計 38/70 → ★★★☆☆ | ||
上抜け素地(6項目):1/6 — ①売買代金の増加(10月の日平均出来高÷3ヶ月平均≒1.34倍)○、②上値のしこり(上場来高値7,420円まで遠い)×、③信用買残の重さ(買残69万株・売残ほぼ0)×、④踏み上げ余地 ×、⑤時価総額の小ささ(約370億円)×、⑥未織り込みの材料(上方修正にも株価は下落)×。🔴両刃:テーマ株として値動きが大きく、悪材料にも同じ幅で反応します。上昇を示唆するものではありません。
解釈:品質★3×価格C=「中立」。半導体検査での強いポジションと利益率の改善は評価できる一方、設備投資と借入の負担、ヘルスケアの不透明感、大相場後の需給が重しです。
13. カタリストカレンダー(今後3ヶ月+)
| 時期 | イベント | 影響度 | 織り込み度 |
|---|---|---|---|
| 2026年12月〜2027年2月(予定) | Raicol社からの単結晶育成炉の受贈(3Qに受贈益120百万円の見込み) | ★ | 概ね織込済 |
| 2027年1月中旬(予定・前年は1月14日) | 3Q決算:半導体1,820百万円・ヘルスケア285百万円・営業利益271百万円(3Q予想)の進捗、ヘルスケア協議の結果 | ★★★★ | 未織込 |
| 2027年2月期下期中(予定) | ファラデー回転子増産設備(約23億円)の稼働開始 | ★★★ | 一部 |
| 2027年4月中旬(予定・前年は4月14日) | 本決算と2028年2月期予想、中期経営目標の見直し(会社は「下期の進捗を見極めた上で検討」) | ★★★★★ | 未織込 |
14. 強気材料 vs 弱気材料
| 強気材料 | 弱気材料 |
|---|---|
| 半導体事業は上期+70%、通期計画+44.8%。上期受注高は過去最高、受注残33.9億円 | ヘルスケアは通期−39%、4Qは59百万円まで減る計画。主要顧客との取引条件の協議が未決着 |
| 営業利益率13.2%で中期目標(2028年2月期12%)を1年前倒しの見込み。EBITDAマージン20.1% | 通期純利益の上方修正には受贈益280百万円が含まれ、実力ベースのPERは約39倍(推計) |
| 深紫外用波長変換単結晶の世界シェア95%超。KLA・NTT・ニコン・レーザーテックなどが株主 | 有利子負債約71億円、今期の設備投資は30億円超。ネット有利子負債/EBITDAは2.6倍 |
| データセンター向けファラデー回転子に約23億円の増産投資。市場は約1,350億円 | ファラデー回転子の売上規模は非開示で、1Qには資材遅延で期ずれ。投資回収は来期以降 |
| 量子・光電融合・SiCなど新規分野の選択肢が多い | 新規分野は会社自身が「中長期」と位置付け、当面の売上寄与は小さい |
| ネット有利子負債/EBITDAは3.7倍→2.6倍に改善、自己資本比率も上昇 | 大相場(約5.3倍)後に約57%下落。信用買残69万株と戻り売りが重し。上方修正でも株価は−6.3% |
15. まとめ|半導体は本物、上値を決めるのはファラデー回転子とヘルスケア
オキサイドの上期は、半導体検査向けの単結晶・レーザが+70%伸び、営業利益率13%と収益体質が大きく変わったことを示しました。通期の営業利益も1,367百万円に引き上げられ、中期目標の利益率を1年前倒しで超える見込みです。一方で、ヘルスケアは主要顧客との条件協議で大きく減り、純利益の上方修正には一時的な受贈益が含まれます。データセンター向けファラデー回転子には約23億円を投じますが、売上規模はまだ見えていません。
株価3,180円(EV/EBITDA約20倍)は中立ケースでほぼ適正(価格判定C)です。次に見るべきものは、①3Q決算で半導体が四半期1,800百万円超のペースを保てるか、②ヘルスケアの取引条件協議の結果(4Qの59百万円計画が上下どちらに動くか)、③ファラデー回転子の増産設備の稼働時期と新領域の売上(下期計画1,063百万円)、④2027年4月に示される来期予想と中期目標の見直しの4点です。強気・弱気のどちらに傾くかは、ご自身で開示を確認しながら判断することをおすすめします。
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16. 参考文献(出典ランク)
- 【A】オキサイド「2027年2月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」「特別利益(補助金収入)及び特別損失(固定資産圧縮損)の計上に関するお知らせ」2026年10月15日
- 【B】同「2027年2月期 第2四半期 決算補足説明資料」2026年10月15日
- 【A】同「データセンターに利用されるファラデー回転子の増産に向けた設備投資に関するお知らせ」2026年8月19日、「同・設備投資の追加に関するお知らせ」2026年10月14日、「特別利益(固定資産受贈益)の計上に関するお知らせ」2026年9月9日
- 【B】同「事業計画及び成長可能性に関する事項」2026年5月28日、「2027年2月期第1四半期 決算説明会の質疑応答(要旨)」2026年7月16日
- 【A】同 有価証券報告書(2026年2月期)、大量保有報告書(ケーエルエー・テンコール、NTTファイナンス)— EDINET(EDINET DB経由)
- 【C】市場調査レポート(ファラデー回転子市場、グローバルインフォメーション掲載・検索結果の要約)、株探(株価・月足・日足・信用残・PTS・ニュース見出し)