ジーデップ(5885)|1Q営業益2.4倍、今期計画の実力と死角

NVIDIAのGPUサーバー・AI開発用ワークステーションを企画・構築・保守する株式会社ジーデップ・アドバンス(東証スタンダード・5885)は、2026年10月14日に2027年5月期第1四半期(6〜8月)の決算を発表しました。売上高は1,541百万円(前年同期比+62.5%)、営業利益は406百万円(同2.4倍)で、いずれも第1四半期として過去最高です。通期予想(売上高8,840百万円・営業利益1,268百万円)は据え置きで、営業利益はすでに通期予想の32.1%に達しています。

同日、中間配当の導入(2026年11月30日基準で16円、期末32円、年48円は据え置き)も発表しました。株価は同日2,980円(前日比−1.65%)で引けましたが、決算発表後の夜間PTSでは3,201円(19時39分時点、終値比+7.4%)まで買われています。

本記事では、①今期の伸びと「1Qの前倒し計上」をどう読むか ②在庫・前渡金が膨らんだ前期の営業キャッシュフロー ③国内GPUサーバー市場と当社の位置 ④AI計算基盤というテーマと業績の距離 ⑤株価2,980円(今期予想PER約20倍)の評価——を一次情報で整理し、強気材料と弱気材料を同じ分量で並べます。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。

本記事の基準日:2026年10月14日終値(2,980円・時価総額約164億円〈発行済株式数5,498,400株ベース〉)。数値は2027年5月期第1四半期決算短信・決算補足説明資料・配当方針の変更(中間配当の実施)及び配当予想の修正に関するお知らせ(いずれも10月14日)、日本GPUコンピューティング有限責任事業組合(G-DEP LLP)解散のお知らせ(9月11日)、2026年5月期決算短信(7月14日)、有価証券報告書(2026年8月21日提出)、EDINET DBの構造化データ、株探の株価・信用残データ、富士キメラ総研の公表資料に基づきます。PDFはMarkItDownで全文をテキスト化して読んでいます。事実(一次情報)と推察は文中で区別しています。レーティングは equity-rating-framework v2.2 準拠です。
市場区分の注記:当社は東証スタンダード市場の上場銘柄です(グロース市場ではありません)。本記事はグロース株と同じ調査手順で分析しています。
目次

1. 総合評価サマリー

品質 ★★★☆☆(45/70) / 価格 C(適正・中立ケース中央値比 約+14%)
テーマ適合 28/40(やや高い) / 国策アライン 5/10(中程度) / 資本イベント素地 3/10(低い)
上抜け素地 2/6(⑥カタリストへの調整なし) / 計画信頼度:中 / ゲームチェンジャー判定:○(漸進的な改善)
  • 1Qは「前倒し」込みで過去最高。売上1,541百万円(+62.5%)、営業利益406百万円(+143.7%)。会社は「2Qに見込んでいた案件を1Qで計上できた」と説明しており、1Qの好調の一部は時期のずれです。
  • 粗利率は35.9%(前年同期31.8%)に上昇。会社は「PoCからミドルレイヤーの高付加価値ソリューション」と「短納期モデル」が好調だったとしています。販管費は146百万円(+8.1%)にとどまり、営業利益率は26.4%(前年同期17.6%)でした。
  • 残り3四半期の会社計画は「増収・減益」。通期予想から逆算すると、2〜4Qは売上7,299百万円(前年同期比+21.6%)に対し営業利益861百万円(同−9.4%)、営業利益率は11.8%(前年同期15.8%)です。会社は3Qに大型案件の計上を見込み、売上構成の変化で利益率が下がる前提を置いています。
  • 前期の営業CFは△1,450百万円。商品在庫が961→2,025百万円に増え、仕入先への前渡金も期末1,597百万円ありました。1Q末も商品2,054百万円・前渡金1,609百万円の高水準で、現預金は1,487百万円(期首1,772百万円)に減っています。無借金・自己資本比率60.1%で財務は健全です。
  • 株価2,980円は今期予想PER19.8倍・PBR4.6倍・EV/今期予想営業利益約11.7倍。中立ケースの1株価値(約3,020〜3,770円)の下端付近で、価格判定はC(適正)の上寄りです。

2. 今期の伸び|サービス区分別の前期→今期計画と1Qの進捗

当社は「システムインキュベーション事業」の単一セグメントですが、決算補足説明資料でDXサービス(GPUサーバー・ワークステーション等の提供と環境構築、売上の約9割)とService & Support(保守・運用支援、約1割)の2区分を開示しています。

百万円 FY2025(25/5期)実績 FY2026(26/5期)実績 FY2027(27/5期)会社予想 FY2027 1Q実績(進捗率)
DXサービス — 6,365 8,096(+27.2%) 1,387(17.1%)
前年同期比+69.4%
Service & Support — 583 743(+27.4%) 154(20.7%)
前年同期比+19.0%
売上高合計 6,630 6,949(+4.8%) 8,840(+27.2%) 1,541(17.4%)
営業利益 839 1,117(+33.0%) 1,268(+13.6%) 406(32.1%)
営業利益率 12.7% 16.1% 14.4% 26.4%
受注残高(フロー売上のみ・5月末) 1,297 2,230(+71.9%) — —

出典:2026年5月期決算短信、2027年5月期第1四半期決算短信・決算補足説明資料(「サービス区分別売上高」「通期業績予想」)。FY2025のサービス区分別売上は同資料に記載なし。FY2023→FY2026の売上高CAGRは+22.5%(3,778→6,949百万円)。

1Qの進捗は前年を大きく上回るが、前倒し分を含む

通期に対する1Q進捗率 FY2026(前年・通期実績比) FY2027(今期・通期予想比)
売上高 13.6%(948/6,949) 17.4%(1,541/8,840)
営業利益 14.9%(166/1,117) 32.1%(406/1,268)
四半期純利益 17.3%(135/786) 33.1%(274/829)

会社が示す四半期の売上見込み(3Q偏重)

百万円 1Q 2Q 3Q 4Q 通期
FY2025 実績 1,249 2,745 1,444 1,191 6,630
FY2026 実績 948 2,134 1,575 2,289 6,949
FY2027(1Q実績+会社見込み) 1,541 1,964 3,441 1,891 8,840
FY2026 営業利益(実績) 166 447 198 306 1,117

出典:有価証券報告書「事業等のリスク(6)業績の季節変動性」、決算短信、決算補足説明資料「売上高の四半期推移見込」(FY2027の2〜4Qはグラフに付された会社の数値ラベル。累計見込み 上期3,506百万円=39.7%、3Q末6,948百万円=78.6%と整合)。

事実:当社は大型案件の計上時期で四半期の売上が大きく振れます。会社は今期の3Qに大型案件の計上を予定し、3Qだけで3,441百万円(通期の約39%)を見込んでいます。推察:1Qは2Q予定の案件を取り込んだため、2Q単体(見込み1,964百万円)は前年2Q(2,134百万円)を下回る見込みです。上期累計では3,506百万円(前年同期3,083百万円比+13.7%)が会社の想定です。今期の成否は3Qの大型案件が予定どおり検収・計上されるかに大きく依存します。なお当社は2026年4月27日に、AI用サーバー機等で受注金額16億円の大口受注(売上計上は2027年5月期中の予定)を開示しています。3Qの大型案件と同一かどうかは開示されていません(同一案件の可能性はありますが推察です)。

残り3四半期は「増収・減益」の計画

百万円 FY2026 2〜4Q(実績) FY2027 2〜4Q(通期予想−1Q実績) 前年同期比
売上高 6,001 7,299 +21.6%
営業利益 950 861 −9.4%
営業利益率 15.8% 11.8% −4.0pt

読み方(両面):会社は通期で「売上構成の変化に伴う利益率低下」(大型案件の比率上昇)を前提に置いています。1Qのように高付加価値案件・短納期モデルの粗利率が続けば利益予想には余裕がある計算です。逆に、3Qの大型案件が低採算であれば、増収しても利益は計画どおり伸び悩みます。利益の上振れ余地は「粗利率35.9%がどこまで続くか」で決まります。

3. 本日の決算で何が変わったか

粗利率の上昇と販管費の抑制

百万円 FY2026 1Q FY2027 1Q 前年同期比
売上高 948 1,541 +62.5%
売上総利益(率) 302(31.8%) 553(35.9%) +83.0%
販管費 135 146 +8.1%
営業利益(率) 166(17.6%) 406(26.4%) +143.7%
経常利益 198 412 +108.1%

営業外では、前年1Qにあった為替差益22.9百万円が今期は2.4百万円に縮小しています(経常利益の伸びが営業利益より小さい理由)。顧客の業種別では製造業の比率が上昇し(説明資料の円グラフに記載の構成比で25.6%→35.2%)、大学の比率は低下しました(同38.4%→29.9%)。会社は「重点的に取り組んだ製造業へのセールスが順調」としています。フロー売上のリピート率は83.2%(前期88.2%)です。

バランスシート|在庫と前渡金の厚み

百万円 FY2025末 FY2026末 FY2027 1Q末
現金及び預金 3,334 1,772 1,487
売掛金及び契約資産 91 201 555
商品(在庫) 961 2,025 2,054
前渡金(仕入先への前払い) — 1,597 1,609
前受金+長期前受金(顧客からの前受け) — 1,178 1,515
有利子負債 なし なし なし
自己資本比率 61.8% 60.9% 60.1%

出典:決算短信(貸借対照表)、EDINET DB(FY2025)。前渡金・前受金のFY2025末は本記事では未取得。

事実:前期(FY2026)の営業CFは△1,450百万円でした(EDINET DB)。同期間に商品在庫が961→2,025百万円(+1,064百万円)に増えており、これが主因とみられます。1Q末も在庫と前渡金の合計は3,662百万円と、総資産5,918百万円の約62%を占めます。一方、顧客からの前受金は1Qに367百万円増え、前受金+長期前受金は1,515百万円です。推察:4月27日開示の16億円の大口受注や3Qに予定する大型案件に向けて、GPU等を先行手当てしている可能性が高く、案件が計上されれば在庫・前渡金は売上原価に振り替わって現金化が進む構造です。逆に案件がずれると、在庫と前渡金に資金が寝る期間が延びます。有報は在庫滞留時の評価損をリスクとして開示しています。

中間配当の導入とG-DEP LLPの解散

  • 中間配当:2027年5月期から年2回配当に変更(中間16円・期末32円)。年間48円(前期44円、4円増配)は据え置きで、配当性向は約31.8%。会社は配当性向30%以上を目安にしています(説明資料)。
  • G-DEP LLP解散(9月11日開示):当社が組合員だった日本GPUコンピューティング有限責任事業組合(NVIDIAの認定パートナーで、リベートを組合員に配賦していた)が解散します。会社は「LLPとして受けていたNVIDIAのパートナー認定の全てを、当社として同コンピテンシー・同ランクで取得済みで、事業への影響はない」と説明しています。

4. 会社概要|NVIDIA製品を「すぐ使える形」で届ける

ジーデップ・アドバンスは2016年1月にトーワ電機(1978年設立、実質的な前身)の子会社として設立され、2020年4月の会社分割で同社の情報通信事業を承継、2023年6月に東証スタンダード市場へ上場しました。5月決算、本店は仙台、東京本社は晴海。従業員は34名(2026年5月末)と少人数です。創業者の飯野匡道CEOは、2007年にNVIDIAのGPUに出会い国内での普及活動を始めた人物で、取締役CFOは公認会計士の大橋達夫氏です。

事業は、NVIDIA・Intel・AMDの認定パートナーとして、AI開発用ワークステーション「DeepLearningBOX」、NVIDIA DGXシリーズ等のAIサーバー、CAD/CG向けグラフィックワークステーション、ストレージ・ネットワークを顧客の研究テーマに合わせて組み合わせ、構築・保守まで一括で提供することです。占有型GPUクラウド「GX CLOUD」などのサブスクリプションも手掛けます。NVIDIAの認定制度では複数分野でElite(4段階の上から2番目)を取得しています。仕入高の約7割がNVIDIA製品で、結果的に特定仕入先からの仕入が5割を超えることがあると有報で開示しています。主な顧客は大学・研究機関・製造業・自動車・スタートアップです。

5. 市場規模(TAM)と当社のポジション

① TAM

市場 市場の定義 規模・対象年・地域 出典(公表年) 伸び
AI向けGPUサーバー AI用途のGPU搭載サーバー(国内)。当社のワークステーション・ビジュアライズ用途は含まない 2024年度(見込)955億円 → 2028年度 2,600億円(日本) 富士キメラ総研「2025 生成AI/LLMで飛躍するAI市場総調査」プレスリリース第24114号(2024年12月3日発表)で確認 2.7倍(2024→2028年度)
AI向けGPUクラウド GPUの計算資源をクラウドで提供するサービス(国内) 2024年度(見込)742億円 → 2028年度 2,403億円(日本) 同上 3.2倍
AI国内市場(広義) 生成AIを含むAI関連の国内市場全体 2028年度に2兆7,780億円(生成AI 1兆7,397億円を含む) 同上 CAGR+17.2%(会社資料の算出)

SAMと浸透率(推計):当社が実際に売れる範囲は「国内の大学・研究機関・企業向けの、AI開発用GPUサーバー/ワークステーションとその構築・保守、およびGPUクラウド」です。直近12ヶ月の売上高7,542百万円(FY2026通期6,949+今期1Q 1,541−前期1Q 948)は、2028年度の国内GPUサーバー市場予測2,600億円の約2.9%に当たります。ただし当社の売上にはグラフィックワークステーション等の非AIサーバー売上も含まれ、市場の定義と完全には一致しません。

読み方(両面):国内GPUサーバー市場が4年で2.7倍になる予測は強い追い風ですが、この市場の伸びは主に大手クラウド・データセンター事業者による大規模調達が牽引すると考えられ、当社の主戦場(研究開発用途の中小規模システム)がそのまま同じ倍率で伸びるとは限りません。後述の強気ケース(FY2028に売上100億円)でも、2028年度のGPUサーバー市場予測に対するシェアは約3.8%です。

② ゲームチェンジャー判定(5問)

問い 確認できた事実 判定
1. 置換対象 研究者・企業が自前で行っていたGPU機器の選定・組立・環境構築。競合は大手SIer、他のNVIDIAパートナー(HPCシステムズ等)、大手クラウド 明確
2. 優位の定量 会社資料に推論用エッジ端末で「従来のPC推論より最大36倍高速」の事例。NVIDIAのBEST DGX Reseller等の受賞歴(多くはLLPとして)。コスト・納期の第三者比較データはない △(会社開示のみ)
3. 普及の障壁 GPUの調達力(認定パートナー価格・割当)が参入障壁になる一方、NVIDIAの製品世代交代(18〜24ヶ月)に追随し続ける必要がある 中程度
4. 実装エビデンス 商用段階。理化学研究所RAIDENへのDGX納入(2019年)、三井物産の創薬AI基盤「TOKYO-1」導入(2023年)、4期連続取引の顧客が5割超 ○(商用)
5. 既存側の反撃 当社はGPUを作る側ではなく、NVIDIA製品の付加価値再販・構築。NVIDIA自身や大手OEM・クラウドが直販・大型案件を取りに来れば価格競争になる。独占契約は確認できない ×(構造的防御は弱い)

判定:○(漸進的な改善)。当社はAI計算基盤の普及を担う「最先端ハードに強いソリューションプロバイダー」であり、産業構造を作り替える側ではありません。反対側:ゲームチェンジャーでなくても、研究開発用途での長年の実績と顧客の継続率(フロー売上のリピート率83.2%)は残ります。NVIDIA依存が逆回転した場合に残るのは、Intel・AMDの認定(Gold・Elite)と保守・運用支援(Service & Support)の顧客基盤です。

6. テーマ性の検証|「AI計算基盤」は実事業

テーマの定義(1文):「生成AI・フィジカルAIの開発と運用に必要なGPU計算基盤(サーバー・クラウド・周辺インフラ)への投資」。判断軸6項目のうち、①政策の裏付け(内閣府集計のAI関連予算は令和8年度当初5,027億円、当社資料)、②技術の非連続性(GPUによる学習・推論の高速化)、③第三者TAM(富士キメラ総研)、⑤大手・官公庁の資金投入、⑥市場の関心の5項目を満たします。

テーマ 判定 根拠(出典)
生成AI向けGPUインフラ(AIサーバー・ワークステーション) ◎ 実事業 DXサービスが売上の90%。DGXシリーズ・DeepLearningBOX等(有報「事業の内容」、説明資料)
GPUクラウド(占有型ベアメタル) ○ 実事業(売上非開示) 「GX CLOUD」を2025年に開始(説明資料「沿革」)。2026年8月5日にソフトバンク「AIデータセンター GPUサーバー」の販売パートナー契約を締結(適時開示)。サブスクリプションの売上額は非開示
ビジュアライズ(CAD/CG・Omniverse) ◎ 実事業 グラフィックワークステーション、NVIDIA Omniverseの環境構築(有報)
フィジカルAI ○ 顧客需要として 有報・短信で「フィジカルAIに関連した研究開発や実証環境整備に向けた需要も発生」と記載。2026年8月25日にシリコンスタジオ(3907)とフィジカルAI分野の協業覚書を締結(覚書段階)、2025年6月にマクニカとの「ROBODEV」(有報「沿革」)。当社がロボットを作るわけではなく、計算環境の提供。業績寄与は非開示
モビリティ(自動運転AI開発) ○ 提携あり 豊田通商グループのネクスティ エレクトロニクスと「GPU Advanced Test Drive」を2024年に開始(説明資料)。自動車は業種別売上の一角だが、比率の推移は本記事では確認していない
半導体製造・量子 × 確認できず 半導体を製造する事業・量子計算の事業は開示されていない(GPUの調達・販売のみ)

テーマ適合度(4軸・40点)= 28点(やや高い)

軸 点 根拠
①量的寄与 9 AI・ビジュアライズ向けのDXサービスが売上の90%。AI用途だけの売上比率は非開示のため満点にしない
②純度 9 単一事業・時価総額約164億円の小型株。両刃:AI投資サイクルが減速すれば、業績・株価とも直接影響を受ける
③サイクル位置 5 生成AIインフラは2023年以降に広く認知された「成熟」寄りのテーマ。株価は2023年7月の上場来高値4,650円(分割調整後)を下回る
④希少性 5 NVIDIA製品を扱う上場銘柄は多い(HPCシステムズ、大手商社系・SIer等)。当社はDGX販売実績の厚い有力パートナーの一角。両刃:小型・低流動性は値動きの荒さと表裏

①と③の乖離:売上寄与は厚い(①9点)一方、テーマ自体は成熟寄り(③5点)で、乖離は小さい状態です。ただし注目度が高いフィジカルAIは「顧客の研究需要」にとどまり、当社の売上に占める額は開示されていません。フィジカルAIの文脈での株価反応は、現時点では業績の裏付けが確認できない部分を含みます。

国策アライン度:5/10(中程度)。該当は、当初予算(AI関連5,027億円)、補正予算、複数年度の継続、過去の公的研究機関への納入実績(理研RAIDEN)、会社資料での政策の言及の5項目です。今期の公的調達の落札・採択(到達経路)は確認できていないため、業績寄与は未確認として扱います。

7. 大相場チェック(上場来・約3年4ヶ月)

時期 株価(2024年12月の1→4分割調整後) 出来事
2023年7月 上場来高値4,650円(月足高値) 上場直後の需給相場
2023年10〜11月 安値1,675円 高値から約64%下落
2024年3月 高値4,150円 —
2025年4月 安値1,430円(月足安値) 上場来安値
2025年7月・12月 高値3,670円(52週高値は2025年12月10日) FY2025本決算(7月)を経て上昇
2026年6月11日 年初来安値2,404円 —
2026年9月7日 年初来高値3,630円 8月に月足+27.2%
2026年10月14日 終値2,980円(PTS 3,201円) 1Q決算発表日。年初来高値から−17.9%

出典:株探 月足四本値・52週高安値・年初来高安値。

判定:大相場あり。2025年4月安値1,430円→2025年7月高値3,670円で約2.6倍。ただし上場直後の高値4,650円(2023年7月)は今も超えておらず、2023年以降は1,400〜4,700円の大きなレンジの中で上下を繰り返しているのが実態です。直近1年は2,400〜3,670円のレンジで、AI関連の物色と四半期業績の振れに合わせて動いています(推察)。

8. 経営陣・株主構成・需給

  • 経営体制:○(創業者主導、管理体制は補強済み)。創業者CEOの飯野氏に加え、公認会計士のCFO、弁護士の社外取締役・監査役などを配置。従業員は21名(FY2024)→31名→34名と小幅増。有報は「代表取締役CEOへの依存」「小規模組織であること」をリスクとして開示しています。平均年間給与は5.85百万円→7.26百万円(+24%)と大きく上がりました。
  • 株主構成:大株主1位の株式会社IAM(55.15%、有報2026年5月末)は飯野CEOの資産管理会社で、議決権の55.33%を持つ支配株主です(2026年8月28日「支配株主等に関する事項について」)。役員の所有株式数は合計3,192,800株(58.1%)。創業者側が過半を握る構造です。
  • 潜在株式:1Qの潜在株式調整後EPS(49.40円)と基本EPS(49.90円)の差から、希薄化影響は約1.0%(軽微)。上場から3年超が経過し、ロックアップの論点はありません。
  • 信用需給:信用買残87.0千株・売残15.2千株、信用倍率5.72倍(10月9日)。1ヶ月前(9月11日)の2.01倍から急上昇しています。なお当社は2026年5月27日に貸借銘柄に選定され、信用売りが可能になったのは同年6月以降です。買残は直近の1日平均出来高(約3万株)の約3日分です。
  • 需給総合判定:留意。希薄化は軽微ですが、浮動株が4割程度と少ない中で信用倍率が急上昇しており、売買代金も1日2億円程度と細めです。

9. 計画との整合性|計画信頼度=中

当社は中期経営計画で「営業利益率10%以上」を重視指標に掲げ、トップラインは「中長期的に100億円突破」を目指すとしています(年次の売上目標は示していません)。

  • 利益率目標:営業利益率はFY2024 15.0%、FY2025 12.7%、FY2026 16.1%と、目安の10%以上を継続して達成。
  • 期中の予想修正:FY2026は、上期決算時(2026年1月)の通期予想が売上7,308百万円・営業利益934百万円、3Q決算時(4月)に売上6,800百万円・営業利益1,000百万円へ修正し、さらに期末後の6月15日に売上6,949百万円・営業利益1,117百万円へ再修正(配当も36円→44円)。実績はこの再修正値どおりでした。会社は再修正の理由を、翌期計上を見込んでいた案件の前倒しと、半導体価格・為替が想定より穏やかだったことと説明しています。大型案件の時期によって、売上・利益の計画が期中に複数回動くのが当社の実績です。
  • 成長の中身:M&Aはなくオーガニック。FY2026の売上成長は+4.8%にとどまり、FY2025(+50.0%)からの踊り場がありました。

判定:中。営業利益率10%以上という目安は守られている一方、売上・利益の予想は大型案件の時期次第で期中に複数回修正される実績があります。

10. 適正株価の考え方(評価手法の例示・目標株価ではありません)

単一事業で事業別損益の開示がないためSOTPは使わず、PERベースのシナリオで考えます。前提:発行済株式数5,498,400株(自己株式539株、潜在株式の影響約1%)、無借金・現預金1,487百万円、今期会社予想EPS150.83円、1Q末BPS約647円。

シナリオ 主な前提 1株価値レンジ(目安)
弱気 3Qの大型案件が期ずれし、FY2027営業利益が1,000百万円(会社予想比−21%)にとどまる(EPS約124円)。ハード再販型としてPER15〜18倍 約1,860〜2,230円
中立 FY2027会社予想を達成(EPS150.83円)。過去の利益成長と配当性向30%超を踏まえPER20〜25倍 約3,020〜3,770円
強気 FY2028に売上100億円(会社は「中長期的に100億円突破」とし時期は示していない)・営業利益率15%を達成(EPS約183円)し、それを1年先取りしてPER22〜26倍 約4,020〜4,750円

成立条件:中立〜強気には、①3Qの大型案件(会社見込み3,441百万円)の予定どおりの計上、②1Qの粗利率(35.9%)が大きく崩れないこと、③在庫・前渡金が売上に振り替わり営業CFが通期でプラスに戻ること、が必要です。崩れる条件:大型案件の期ずれ・失注、GPU価格や為替(外貨建て仕入)の急変、NVIDIAのパートナー政策の変更、AI投資サイクルの減速。

クロスチェック:

  • 現在値2,980円は今期予想PER19.8倍・PBR4.6倍・EV/今期予想営業利益約11.7倍・配当利回り1.61%。ROEは24.7%(FY2026)。
  • リバースDCF的な逆算:5年後にPER15倍で評価され、年10%の期待リターンを求めるなら、現在値はFY2027から5年間でEPSを年率約16%伸ばす前提です(推計)。FY2023→FY2026の売上CAGR+22.5%が続けば届く水準です。
  • 同業との比較(定性):同じNVIDIA系のHPCシステムズ(6597・東証グロース)は大口受注で売上を伸ばす一方、有利子負債と在庫が大きく膨らんでいます(infojuggle 2026年9月30日記事)。当社は無借金で、同じ「在庫先行型」でも財務の耐久力に差があります。
第三者の試算 内容 読み方
FISCO「ジーデップ・アドバンス Research Memo」 2026年8月18日にリサーチメモを公表(株探ニュース) 本記事では内容を確認していない
アナリストの目標株価 確認できず 小型株でカバレッジが薄く、会社予想とモデル試算が主な拠り所

11. レーティング(equity-rating-framework v2.2)

軸 点 根拠(数値付き)
①成長性 8 FY2023→FY2026の売上CAGR+22.5%、今期予想+27.2%、1Q+62.5%。ただしFY2026は+4.8%の踊り場があり、案件時期で振れる
②収益性 8 FY2026営業利益率16.1%・ROE24.7%。一人当たり営業利益は32.3百万円(FY2025)→34.4百万円(FY2026、期中平均人員ベース)に上昇。平均年収+24%でも吸収。労働分配率は人件費の開示がなくN/A
③収益の質 4 持分法・非支配持分なし(非連結)。ただしFY2026営業CF△1,450百万円(営業利益1,117百万円)、FY2025は営業CF÷営業利益0.71。在庫+前渡金3,662百万円
④競争優位性 6 NVIDIA認定(複数分野でElite・Specialization)、Intel Gold・AMD Elite。フロー売上のリピート率83.2%。一方で仕入の約7割がNVIDIA製品の再販型
⑤需給(直近3ヶ月) 6 7月末2,704円→2,980円(+10.2%)でTOPIX(+2.3%)を約8pt上回る。ただし信用倍率は2.01→5.72倍と急上昇
⑥カタリスト(今後3ヶ月) 6 中間配当基準日(11月30日・確定)、2Q決算(2027年1月中旬と推定)。3Qの大型案件計上は3ヶ月の窓の外。上抜け素地2/6で調整なし
⑦リスク耐性 7 無借金・自己資本比率60.1%・現預金1,487百万円。一方でNVIDIA依存(仕入の約7割)、在庫評価損・為替のリスク
合計 45/70 ★★★☆☆(36〜45点の上限)

価格判定:C(適正)

中立ケース(PER20〜25倍×EPS150.83円)の中央値約3,390円に対し、現在値2,980円のアップサイドは約+14%で「C(適正)」の上端です(+15%以上でB)。決算後のPTS(3,201円)を基準にすると約+6%です。

上抜け素地(⑥への調整なし・2/6)

# 項目 判定
1 売買代金が増加 ✗ 10月の1日平均出来高(約3.0万株)は8〜10月平均(約4.2万株)を下回る(推計)
2 上値のしこりが薄い ✗ 年初来高値3,630円まで+21.8%
3 信用買残の重石が軽い ✗ 信用倍率5.72倍で急上昇
4 踏み上げ余地 ✗ 売残は15.2千株で減少
5 浮動株が少ない ✓ 創業者側(IAM等)が過半、時価総額約164億円
6 未織り込みの材料 ✓ 決算後のPTSが+7.4%で、1Qの上振れは終値時点で未反映

両刃の注記:浮動株が少なく売買代金が細い構造は、好材料でも悪材料でも値幅が大きく出るという意味で、上がりやすさを示すものではありません。売買のタイミングを示唆するものでもありません。

資本イベント素地:3/10(低い)。該当は「支配株主が存在」「創業者側の持株比率が高い」「浮動株が少ない」の3項目。予想・示唆はしません。

解釈:品質★3×価格C=中立。収益性と財務は良好ですが、営業CFのマイナスと案件時期への依存が品質スコアを押し下げています。「3Qの大型案件が予定どおり計上され、在庫が現金に戻るか」が、評価を一段上げられるかの分かれ目です。

本レーティングは公開情報に基づく独自の定量評価であり、投資判断を推奨するものではありません。

12. カタリストカレンダー(今後3ヶ月+)

時期 イベント 影響度 織り込み度
2026年11月30日 中間配当(16円)の基準日(初の中間配当) ★2 概ね織込済(年間48円は据え置き)
2027年1月中旬(推定) 2027年5月期 第2四半期決算(前年は1月14日)。上期累計が会社見込み3,506百万円に届くか、2Q単体(見込み1,964百万円)、粗利率、在庫・前渡金の推移 ★4 未織込
2026年12月〜2027年2月(3Q) 大型案件の売上計上(会社は3Qに3,441百万円を見込む。2026年4月27日開示の16億円の大口受注〈AI用サーバー等、今期計上予定〉が含まれる可能性) ★5 一部
2027年4月中旬(推定) 2027年5月期 第3四半期決算(前年は4月14日)。大型案件の計上結果 ★5 未織込
時期未定 NVIDIA新世代製品の国内出荷、政府AI予算の執行・公的調達の落札 ★3 一部

13. 強気材料 vs 弱気材料

強気材料(ブル) 弱気材料(ベア)
1Qは過去最高:売上+62.5%・営業利益2.4倍、営業利益は通期予想の32.1% 前倒しを含む:2Q予定の案件を1Qに計上。2Q単体の会社見込み(1,964百万円)は前年2Q(2,134百万円)を下回る
粗利率の上昇:35.9%(前年同期31.8%)。高付加価値案件と短納期モデルが寄与 残り3四半期は減益計画:2〜4Qの営業利益は前年同期比−9.4%(利益率11.8%)を会社が想定
財務の健全性:無借金・自己資本比率60.1%。同業の在庫先行型と比べ借入に頼らない 営業CFのマイナス:FY2026は△1,450百万円。在庫2,054百万円+前渡金1,609百万円に資金が寝ている
受注残の増加:5月末のフロー受注残は2,230百万円(前年比+71.9%)。4月には16億円の大口受注(今期計上予定)を開示 3Q一極集中:今期売上の約39%を3Qに見込む。大型案件の期ずれ・失注は通期計画に直結
株主還元の拡充:年48円(4円増配)、中間配当の導入、配当性向30%以上 NVIDIA依存:仕入の約7割がNVIDIA製品。パートナー政策の変更や直販化は業績の前提を変える
政策と市場の追い風:AI関連予算は令和8年度当初5,027億円。国内GPUサーバー市場は2028年度に2,600億円(2024年度比2.7倍)の予測 需給の荒さ:信用倍率5.72倍に急上昇、売買代金は1日2億円程度。上場直後の高値4,650円は未回復

14. まとめ|1Qの好発進は本物、ただし本番は3Qの大型案件

第1四半期は、粗利率の上昇と販管費の抑制が重なり、営業利益が前年同期の2.4倍になりました。営業利益の進捗32.1%は前年(14.9%)の2倍以上です。中間配当の導入で株主還元も厚くなり、決算後の夜間取引では株価が7%強上昇しています。

一方で、1Qの好調には2Q予定案件の前倒しが含まれ、会社計画は「残り3四半期は増収でも減益」です。前期の営業CFは在庫と前渡金の積み上がりで△1,450百万円となり、今期は売上の約4割を3Qの大型案件に頼る形です。次に見るべきものは、①2Q決算(2027年1月中旬見込み)で上期累計が会社見込み3,506百万円に届くか、②粗利率が30%台を保てるか、③在庫・前渡金が減り始めるか、④3Qの大型案件が予定どおり計上されるかの4点です。強気・弱気のどちらに傾くかは、ご自身で開示を確認しながら判断することをおすすめします。

関連記事:HPCシステムズ(6597)の分析/シリコンスタジオ(3907)の分析/グロース株リサーチ・ポータル

15. 参考文献(出典ランク)

  • 【A】ジーデップ・アドバンス「2027年5月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)」2026年10月14日
  • 【B】同「2027年5月期 第1四半期 決算補足説明資料」2026年10月14日
  • 【A】同「配当方針の変更(中間配当の実施)及び配当予想の修正に関するお知らせ」2026年10月14日
  • 【A】同「日本GPUコンピューティング有限責任事業組合(G-DEP LLP)解散のお知らせ」2026年9月11日
  • 【A】同「2026年5月期 決算短信」2026年7月14日、各四半期決算短信(2025年10月〜2026年4月)、「業績予想及び配当予想の再修正」2026年6月15日、「大口受注に関するお知らせ」2026年4月27日、「支配株主等に関する事項について」2026年8月28日、ソフトバンクとの販売パートナー契約(8月5日)・シリコンスタジオとの協業覚書(8月25日)に関する開示
  • 【A】同 有価証券報告書(2026年5月期、2026年8月21日提出、EDINET S100YXZQ)
  • 【B・第三者】富士キメラ総研「2025 生成AI/LLMで飛躍するAI市場総調査」プレスリリース(2024年12月3日)
  • 【C】株探(株価・月足・信用残・TOPIX)
  • 【A】EDINET DB(財務・大株主の構造化データ)
免責事項:本記事は公開情報(EDINET提出書類、決算短信・説明資料、適時開示、調査会社の公表資料等)に基づく調査・分析であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。筆者は財務アドバイザーではありません。記載の数値・見解は2026年10月14日時点のものであり、将来の業績・株価を保証しません。投資に関する最終判断は、ご自身の責任において行ってください。

気になる商品の最安値、まとめて比較しませんか?

楽天市場とYahoo!ショッピングの価格を横断検索できます

🔍 最安値検索くんで探す →

Follow me!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次