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SCREEN HD(7735)包括調査|洗浄装置首位の実力

目次

SCREENホールディングス(7735)半導体銘柄 包括調査レポート

SCREENホールディングス(7735)は半導体製造装置、特に枚葉式ウェハ洗浄装置で世界シェア約45%(Gartner調べ、カテゴリによっては最大70%)を握る製造装置企業である。本記事では、EDINET DB・決算短信・IR資料・業界データをもとに、バリューチェーン上の位置づけ・需給環境・バリュエーション(株価アップサイド試算)・セクター資金フロー・東証Peer比較・月次受注動向を独自に整理し、7軸スコアによるレーティングを付与した。なお、本記事は調査分析の情報提供であり、投資判断の最終責任は読者にある。

SCREEN Holdings 独自レーティング

★★★★☆
有望 — 成長ストーリーが明確
総合スコア: 51 / 70
評価軸 スコア 根拠
①成長性 8/10 FY2027E売上+19.7%、5年CAGR約14%、AI需要による洗浄工程増が構造的追い風
②収益性 8/10 営業利益率21.7%(FY2025)、ROE 25.1%、SPE事業OPM 26.4%
③バリュエーション 6/10 PER 19.5倍はPeer平均18.3倍とほぼ同水準、EV/EBITDA 5.3倍はPeer中最安
④需給ポジション 6/10 半導体ETFに過去最大級の資金流入、ただし信用倍率7.18倍と買い残多い
⑤競争優位性 9/10 枚葉式洗浄装置シェア約45〜70%(カテゴリ別)、累計出荷1.5万台超、Applied Materials・IBMと技術提携
⑥カタリスト 8/10 FY2027ガイダンス強い(+19.7%増収)、TSMC 2nm増産、7月決算・SEMICON
⑦リスク耐性 6/10 中国売上比率38%は地政学リスク、シクリカル。ただしネットキャッシュ、自己資本比率67.4%

※本レーティングは公開情報に基づく独自の定量評価であり、投資判断を推奨するものではありません。

1. 会社概要 & セクター位置づけ

会社名 SCREENホールディングス(株式会社SCREENホールディングス)
証券コード / 市場 7735 / 東証プライム
セクター分類 半導体製造装置(前工程・洗浄装置)
従業員数 6,415名(FY2025・連結)
株価(2026/6/2終値) 11,315円
時価総額 2兆1,584億円
発行済株式数 190,759,972株(自己株式除く189,087,830株)
PER / PBR 19.5倍 / 4.40倍(FY2027E EPS ¥581.74ベース)
EV/EBITDA 5.3倍(FY2025実績)
配当利回り 1.55%(FY2027E 年175円)
信用倍率 7.18倍(5/29時点)
財務健全性スコア 100/100(EDINET DB算出)

事業セグメント構成(FY2025実績)

セグメント 売上高 構成比 営業利益率 前年比 内容
SPE(半導体製造装置) 5,195億円 83.1% 26.4% +24.4% ウェハ洗浄装置、コータ/デベロッパ、熱処理装置
GA(グラフィックアーツ) 529億円 8.5% 8.1% +11.2% 印刷関連機器
FT(ディスプレイ製造装置等) 328億円 5.3% 9.3% +46.4% FPD製造装置、エネルギー関連
PE(プリント基板関連) 141億円 2.3% 7.6% -2.9% PCB関連装置

主要株主

ブラックロック(6.56%)、野村アセットマネジメント(6.95%)、三井住友信託銀行グループ(5.61%)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(5.01%)、アライアンス・バーンスタイン(3.55%)。外国人機関投資家の保有比率が高く、グローバル半導体セクターへの資金フローの影響を受けやすい構造。

2. 需給環境 — AI需要・供給制約・メモリ市場

2-1. AI需要・データセンター投資の爆発的拡大

Big Tech 4社(Google, Microsoft, Meta, Amazon)のCapExは2025年の約4,100億ドルから2026年には約7,100億ドルへ前年比+73%と急拡大している。AIトレーニングから推論へのシフトが進み、2026年には推論が全体の67%を占める見通し(Gartner)で、GPU/AIチップの大量製造需要は持続する。世界のデータセンター総容量は現在103GWから2030年に200GWへ倍増する見通し(JLL)。

SCREENへの波及メカニズム: Big Tech CapEx急増 → データセンター建設加速 → 先端チップ(GPU/HBM)大量製造 → TSMC等ファウンドリの設備投資拡大 → 先端プロセス微細化(2nm→1.4nm)で洗浄工程数が増加 → SCREENの洗浄装置需要が構造的に拡大。先端ロジック製造では200工程以上の洗浄ステップが存在し、全製造工程の約30%を占める。

2-2. 供給制約と先端プロセス動向

TSMCの3nm月産能力は2026年末までに18万枚/月へ+40%超拡張予定。2nmは2026年初頭で月産5〜6万枚、年末に10万枚を目標とするが需要超過で完売状態。CoWoSは月産12.5万ウェーパー/月へ増強予定(+14%上方修正)で、NVIDIAが全需要の約60%を確保。HBM3eの歩留まりは90%超(Micron)に達し、HBM4は2026年初頭に量産開始。

SCREENは2025年9月にIBMとHigh-NA EUV向け洗浄プロセス開発で協定を締結、2026年5月にはApplied MaterialsのEPICセンターに先端洗浄技術を提供開始と、次世代プロセスのキーパートナーとしての地位を強化している。

2-3. メモリ市場・GPU価格動向

DRAM契約価格はQ1 2026に前四半期比+90〜95%と記録的急騰。Q2 2026もさらに+58〜63%の上昇が予測される。HBM市場はSK Hynix(シェア62%)、Micron(21%、Samsungを逆転)、Samsung(17%)の3社が競う。TAMは2025年の約350億ドルから2028年に1,000億ドル超へ拡大見通し。メモリサイクルは「回復超過・過熱フェーズ」にあり、調整局面入りは新規供給が本格化する2027年後半以降と見られる。

3. バリュエーション — 株価アップサイド/ダウンサイド試算

業績推移(EDINET DB / 決算短信)

決算期 売上高 営業利益 純利益 EPS 営業CF 設備投資 FCF
FY2022(22/3) 4,119億 613億 455億 488円 818億 134億 684億
FY2023(23/3) 4,608億 765億 575億 608円 739億 290億 449億
FY2024(24/3) 5,049億 942億 706億 742円 963億 398億 565億
FY2025(25/3) 6,253億 1,357億 995億 512円 712億 297億 415億
FY2026(26/3) 6,057億 1,225億 920億 487円 927億 297億 630億
FY2027E(27/3) 7,250億 1,500億 1,100億 582円

※FY2025以降のEPSは株式分割(2024年10月 1:2)後の調整済み。FCF=営業CF−設備投資。FY2027Eは会社予想。

DCF法によるフェアバリュー試算

前提条件: WACC 8.5%(半導体装置セクター標準)、永久成長率 2.5%、FY2027E FCFベース約890億円(純利益1,100億円+減価償却150億円−設備投資350億円−運転資本変動10億円)。

シナリオ 手法 FCF成長率 フェアバリュー 現在株価比
ベース DCF 10%/年 ¥11,420 +0.9%
ブル DCF 15%/年 ¥13,160 +16.3%
ベア DCF 5%/年 ¥9,890 -12.6%
Peer平均PER マルチプル PER 18.3倍 ¥10,646 -5.9%
Peer平均EV/EBITDA マルチプル EV/EBITDA 11.8倍 ¥11,650 +3.0%

バリュエーション総括: DCFベースケースで現在株価とほぼフェアバリュー。ブルケース(AI需要が想定以上に持続しFCF成長15%)では+16.3%のアップサイド余地がある。EV/EBITDAベースでは装置Peer中で最安(5.3倍 vs Peer平均11.8倍)であり、EV/EBITDA面ではディスカウントが残る。FY2027ガイダンスの達成確度がリレーティングの鍵。

4. セクター資金フロー分析

2026年4月に半導体ETFへ過去最大規模の資金流入が発生。SOXX月間22億ドル(過去最高の2倍超)、SMH 34億ドル(史上最高)、2社合計55億ドルの月次流入はレコード。トランプ関税停戦が引き金となり、半導体セクターへの大規模資金回帰が起きている。

サブセクター 代表銘柄 資金フロー傾向
GPU/AIチップ NVIDIA, AMD, Broadcom 流入加速
メモリ(HBM) SK Hynix, Samsung, Micron 流入
前工程装置 東エレ, ASML, SCREEN 流入加速
後工程・パッケージング イビデン, 新光電気 流入
テスト装置 アドバンテスト, Teradyne 流入

資金ローテーション判定: AI/HBM需要 → TSMC設備投資 → 洗浄装置需要というバリューチェーン連鎖で、前工程装置サブセクターへの資金シフトが継続中。SCREENはこの恩恵を受ける立場にある。

5. 東証上場 類似銘柄比較

銘柄 コード 時価総額 PER PBR EV/EBITDA 営業利益率 主要事業・差別化
SCREEN HD ← 7735 2.2兆円 19.5倍 4.40倍 5.3倍 21.7% 洗浄装置世界首位(シェア45〜70%)。中国38%だが汎用性高い
東京エレクトロン 8035 9.5兆円 17.0倍 5.01倍 11.9倍 28.7% 前工程フルラインナップ。EUVコータ/デベロッパ首位
ディスコ 6146 3.2兆円 26.1倍 6.59倍 16.8倍 42.4% 切断・研削・研磨で独占的。月次受注が先行指標
レーザーテック 6920 1.8兆円 20.7倍 8.35倍 13.7倍 48.9% EUVマスク検査で実質独占。受注残が最重要指標
ローツェ 6323 2,886億円 12.2倍 2.45倍 7.5倍 25.7% ウェーハ搬送ロボット。中国依存高い
KOKUSAI ELECTRIC 6525 5,769億円 15.7倍 2.88倍 9.3倍 21.5% バッチ式熱処理装置。KKR経由で2023年上場

Peer比較の要点: SCREENのEV/EBITDA 5.3倍はPeer中で最安であり、バリューの観点では割安。PERはPeer平均18.3倍に対し19.5倍とやや割高だが、FY2027の増収増益ガイダンス(売上+19.7%)を踏まえると成長率見合いでは妥当水準。営業利益率21.7%はディスコレーザーテックには劣るが、装置メーカーとしては健全な水準。

6. 受注動向・適時開示分析

四半期SPE売上推移(FY2026)

四半期 SPE売上高 前四半期比
FY2026/Q1(4-6月) 1,095億円 -19.2%
FY2026/Q2(7-9月) 1,090億円 -0.5%
FY2026/Q3(10-12月) 1,200億円 +10.1%
FY2026/Q4(1-3月) 1,473億円 +22.8%

FY2026は通期で減収減益(売上-3.1%、営業利益-9.7%)だったが、下半期は明確な回復トレンドを示した。特にQ4はSPE売上が前四半期比+22.8%と急回復。会社側はFY2027で売上7,250億円(+19.7%)、営業利益1,500億円(+22.4%)と強いガイダンスを発表しており、これは堅調な受注残の消化を前提とする。

地域別売上構成

台湾26%(前期比+5pt、TSMC 2nm/3nm投資拡大)、中国38%(FY2025の42%から低下傾向だがQ4は46%へ上昇)、日本12%、韓国8%、北米7%。北米はFY2027に大幅拡大見通し(米国ATCA新R&Dハブ開所に伴い)。

WFE(ウェーハファブ装置)市場全体はCY2025約1,170億ドル、CY2026約1,340〜1,400億ドル(+15〜20%成長)と見られ、SCREENは市場成長を上回るアウトパフォームを目標としている。

7. 地政学・規制リスク分析

米中輸出規制: 2026年4月、米議会超党派がMATCH法(Multilateral Alignment of Technology Controls on Hardware Act)を提出。日本・オランダ等同盟国にも連携要請し、東京エレクトロン・ASMLを名指しで言及。洗浄装置は現時点で規制対象の先端品目には該当しにくいが、将来的な規制強化時にはSCREENの中国売上比率38%が最大のダウンサイドリスクとなる。

CHIPS Act対応: SCREENは米国アルバニー(NY)に新R&Dハブ「ATCA」を2026年4月開所。NY Creates(州立半導体研究施設)内に設置し、CHIPS & Science Actの補助金活用を見据える。これは米国市場での存在感強化と地政学リスク分散の両面で効果的。

台湾リスク: 台湾向け売上比率26%。TSMCの2nm/3nm投資加速の恩恵を直接受ける一方、台湾有事の際は最大の事業リスク。ただしSCREENの洗浄装置は代替困難(シェア45〜70%)であり、仮にサプライチェーンが分断されても中長期的には不可欠な装置として需要は維持される。

8. カタリストカレンダー(2026年6月〜12月)

時期 イベント SCREENへのインパクト 注目度
7月中旬 TSMC Q2決算 2nm/3nm稼働率・CapEx計画→洗浄装置需要確認 ★★★★★
7月下旬 SCREEN Q1 FY2027決算 FY2027ガイダンス達成度・受注トレンド確認 ★★★★★
8月下旬 NVIDIA Q2決算 DC売上→GPU需要→TSMC・HBM需要→装置株波及 ★★★★
10月中旬 SEMICON West 2026 業界景況感・新製品発表 ★★★
10月下旬 SCREEN Q2 FY2027決算 中間期受注・通期ガイダンス修正の有無 ★★★★★
12月上旬 SEMICON Japan 2026 日本市場動向・SCREENの新技術展示 ★★★

9. 財務リスク分析

指標 FY2025実績 FY2026実績 評価
自己資本比率 62.7% 67.4% ◎ 極めて健全
ネットD/Eレシオ 0.01倍 実質ネットキャッシュ ◎ 無借金経営
現預金 1,985億円 ◎ 潤沢
CapEx/売上高 4.8% 4.9% ○ 装置メーカーとして低い
R&D費 317億円(5.1%) ○ 技術投資を維持
ROE 25.1% ◎ 資本効率高い
EDINET健全性スコア 100/100 100/100 ◎ 最高評価

SCREENは実質無借金のネットキャッシュ経営で、自己資本比率67.4%、EDINET DB健全性スコア100/100と財務基盤は極めて強固。増資リスクはほぼゼロ。シクリカルリスクとしては中国向け売上の変動が最大要因だが、下半期の受注回復トレンドがこれを緩和している。

10. バリューチェーン分析

SCREENの洗浄装置は半導体バリューチェーンにおいて「先行指標」の性格を持つ。ファウンドリ・メモリメーカーが新ファブを建設する際、洗浄装置は成膜・リソグラフィと並んで初期段階で導入される装置群の一つである。したがって、SCREENの受注動向はTSMCやSamsung等の設備投資サイクルに先行する傾向がある。

2026年5月のApplied MaterialsとのEPICセンター協業、2025年9月のIBMとのHigh-NA EUV向け洗浄プロセス開発協定は、2nm以降の次世代プロセスにおけるSCREENの不可欠性を示すマイルストーン。ウェハ洗浄装置市場全体は2033年に156億ドル規模へ拡大する見通し(SNS Insider)であり、SCREENはその中核プレイヤーとしての地位を固めつつある。

11. まとめ

SCREENホールディングス(7735)は、AI需要の構造的拡大→先端プロセス微細化→洗浄工程増加という明確なバリューチェーン恩恵を受ける立場にある。枚葉式洗浄装置シェア約45〜70%という圧倒的競争優位性、実質無借金の健全財務、FY2027のガイダンス(売上+19.7%、営業利益+22.4%)は成長ストーリーの確度を示す。

リスクとしては中国売上比率38%の地政学エクスポージャー、信用倍率7.18倍の需給面での重さ、シクリカル産業特有の調整リスクがある。EV/EBITDA 5.3倍はPeer中で最安であり割安感はあるが、PERベースではフェアバリュー近辺。DCFブルケースでは¥13,160(+16.3%アップサイド)の余地がある。

7月のSCREEN Q1決算とTSMC Q2決算が次の最大カタリスト。FY2027ガイダンスの達成確度が確認されれば、リレーティングの契機となり得る。

免責事項・ディスクレーマー

本記事は半導体企業に関する調査分析の情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。DCF試算・マルチプル比較・レーティングは独自の前提条件に基づく推計であり、実際の企業価値や将来の株価を保証するものではありません。半導体産業は景気循環・技術変化・地政学リスク等により業績が大幅に変動する可能性があります。投資判断はご自身の責任において、十分な情報収集と専門家への相談のうえで行ってください。

本記事の情報は2026年6月3日時点の公開情報に基づいています。筆者は本記事で言及した銘柄のポジションを保有している可能性があります。

データソース: EDINET DB(Cabocia Inc.)、決算短信(TDnet)、各社IR資料、TrendForce、Bloomberg、株探、Yahoo!ファイナンス

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