テセック6337|上期営業益3.9倍、受注倍増を検証

テセック(6337・東証スタンダード)は、半導体の後工程で使われるテストハンドラ(ICを検査装置へ自動搬送・選別する装置)とディスクリート/パワー半導体用テスタを手がける半導体テスト装置メーカーである。
【需要ドメイン: 主要=AI半導体(データセンター周辺の電源・小型パッケージ需要)/副次=EV・産業機器(パワー半導体)、スマホ・PC】

2026年10月27日15:30に発表した2027年3月期 第2四半期(中間期)決算は、売上高38.03億円(前年同期比+44.5%)、営業利益7.41億円(同+286.6%・約3.9倍)。受注高は56.18億円(同+151.3%)、受注残は43.70億円まで積み上がった。一方で7月に引き上げた通期予想は据え置き、当日のPTSは東証終値3,420円に対し3,161.5円(−7.6%)と反応は割れた。

本記事では、決算短信・決算補足説明資料(TDnet)、有価証券報告書(EDINET)、株探の株価・信用残データをもとに、技術的な強み、需給環境、バリュエーション(株価アップサイド試算)、Peer比較、受注動向を整理し、品質7軸スコア+価格判定によるレーティングを付与した。なお、本記事は調査分析の情報提供であり、投資判断の最終責任は読者にある。

Infojuggle既存記事ステータス:新規(テセックの個別レポートは本稿が初版)。レーティングは equity-rating-framework v2.2 に準拠。関連:アドバンテスト(6857)/日本マイクロニクス(6871)/半導体銘柄リサーチ一覧

目次

決算のポイント(3行要約)

  • ハンドラ受注がFY2000以来の高水準:2Q(7-9月)単独のハンドラ受注は26.72億円(前年同期比+355.0%)、ハンドラ受注残は31.10億円(同+272.5%)。会社は7月の修正理由として「AI関連の需要拡大を背景にハンドラの受注が増加」と説明している。
  • 利益は1Qがピーク、2Qは減速:四半期営業利益は1Q 4.13億円 → 2Q 3.28億円。売上総利益率は47.3% → 46.3%、研究開発費の増加(上期2.42億円、前年同期1.35億円)が効いた。
  • 通期予想は据え置き=下期は保守的な前提:通期営業利益11億円に対し上期進捗67.4%。下期の売上31.97億円・営業利益3.59億円が逆算値で、受注残43.70億円はこの下期売上の約137%に相当する。

総合評価

品質 ★★★☆☆(44/70) / 価格 B(割安・中央値+19%、レンジ −1%〜+24%)

資本イベント素地 2/10(低い) / 国策アライン 該当なし / テーマ適合 21/40(中程度)
上抜け素地 3/6(⑥カタリストの調整なし)

軸 点 根拠(数値付き)
①成長性 5 直近3期の売上CAGRは−14%(2023/3期87.4億円→2026/3期55.7億円)と下降局面だったが、今期計画は+25.7%、上期受注+151%。増収の大半はハンドラのサイクル反発であり、構造成長として加点しすぎない
②収益性 6 通期計画の営業利益率15.7%(前期5.4%)、上期19.5%。一人当たり営業利益は143万円→521万円(計画・推計)、労働分配率(人件費÷売上総利益)は約64%→上期約39%(推計)と大幅改善。一方、予想ROEは約7.3%と過大な自己資本で抑えられている
③収益の質 7 持分法適用会社なし・子会社4社はすべて100%近い保有で非支配持分は軽微。上期は投資有価証券売却益1.81億円(税前利益の約17%)を含むが営業利益は本業由来。前期の営業CF14.64億円は営業利益3.01億円の約4.9倍。ただし仕掛品が+2.68億円増加
④競争優位性 5 MAPハンドラ・パワーデバイス用テスタというニッチで実績。ただし後工程ハンドラではCohu(米)や中国・長川科技(上期ハンドラ売上11.58億元)が大きく、価格決定力は限定的。世界シェアの一次データはなし
⑤需給(直近3ヶ月) 8 株価は7/24終値2,340円→10/27終値3,420円で+46%。日経平均は7/27週始値65,164円→10/27終値63,268円で−2.9%、+49pt程度のアウトパフォーム(業種指数との比較は未取得)。信用買残は12.95万株→11.03万株と減少。9月に自社株買い(約3億円)を完了
⑥カタリスト(今後3ヶ月) 5 日付確定は半期報告書(11/11)・中間配当支払開始(12/7)程度。業績に効くのは3Q決算(例年1月下旬・日付未発表)。上抜け素地3/6で調整なし
⑦リスク耐性 8 自己資本比率86.1%、現預金+有価証券−借入金で約49億円の実質ネットキャッシュ(時価総額の約28%)。ただし海外売上比率89%・中国33.5%、ハンドラは景気変動が大きい
合計 44 ★★★☆☆(36-45)

解釈:品質★3×価格B(下限寄り)は「妙味はあるが理由の確認が必要」の象限にあたる。安く見える理由は、利益がサイクルの回復局面にあり、ミッドサイクル利益の水準そのものが不確実であることだ。ピーク期(2023/3期)のEPS 399.88円で見れば割安に映るが、本稿はミッドサイクル基準で判定している。

会社概要とセクター上の位置づけ

項目 内容
会社名/コード 株式会社テセック/6337(東証スタンダード)
セクター分類 テスト(後工程の半導体検査装置)
事業 ハンドラ、テスタ、パーツ等(保守部品・改造・校正)の単一セグメント
連結子会社 TESEC,INC.(米)、TESEC(M)SDN.BHD.(マレーシア)、泰賽国際貿易(上海)、嶺光音電機(横浜・半導体測定器)。持分法適用会社なし
従業員 連結211人(2026年3月末)、単体172人・平均年間給与658万円
株価(10/27終値) 3,420円(前日比+5.23%)、PTS 3,161.5円(22:10時点)
時価総額 191億円(発行済株式数ベース)/自己株除き約173億円
予想PER/PBR/配当利回り 16.7倍(予想EPS 205.21円)/1.22倍(BPS 2,801.34円)/2.92%(年100円)
信用倍率 1,103倍(10/23時点、買残11.03万株・売残0.01万株)

製品別の上期売上はハンドラ25.57億円(全体の67%)、テスタ5.65億円(15%)、パーツ等6.81億円(18%)。地域別では中国12.73億円(33.5%)、マレーシア9.91億円(26.1%)、フィリピン4.53億円(11.9%)、日本4.07億円(10.7%)で、東南アジア・中国の後工程拠点(OSATや大手IDMの組立テスト工場)向けが中心である。

微細化・高性能化トレンドにおける技術的強み

テセックの立ち位置は、先端ロジックのEUVや2nmではなく、「後工程・検査」×「小型パッケージ/パワー半導体」である。強みは次の2軸に絞られる。

  1. MAPハンドラ(ストリップ状態での一括検査):樹脂封止後に個片化する前の基板(MAP:Mold Array Package)単位で多数のICを並列テストする方式。小型・多ピンのディスクリートやロジック周辺IC、電源IC等の検査コストを下げられる。会社は部材の先行手配と計画生産で短納期化を進めており、上期のハンドラ受注39.05億円の主役となった。
  2. パワーデバイス用テスタ:SiC/IGBT/MOSFET等の高電圧・大電流特性を測るテスタ。子会社・嶺光音電機と連携して新製品を開発中。パワー半導体の投資抑制で売上はダウントレンドだが、2Q受注は5.45億円(前年同期比+16.7%)と増加に転じた。

加えて新製品のリードフレームストリップハンドラは「顧客評価継続」の段階で、売上寄与はまだ確認できない。

需要ドメイン分類

ドメイン 位置づけ 売上の目安
AI半導体(DC周辺) 主要。会社は「AIデータセンター投資が需要を支え、電源制御などの周辺分野に需要が広がった」と説明 AI関連の売上比率は非開示(推計不能)。ハンドラ全体で売上の67%
EV・産業(パワー半導体) 副次。テスタの主戦場。車載・産業向けは「改善の動き」 テスタ売上の大半(全体の15%)
スマホ・PC 副次。小型パッケージのディスクリート・周辺IC 非開示

🔴 「AI半導体関連」というタグは、AI向け売上の比率が開示されていないことを前提に読む必要がある。会社が明示しているのは「AI関連の需要拡大を背景にハンドラの受注が増加」という方向性までである。

業績推移と今回の決算

通期業績(年度ラベルは決算期末)

決算期 売上高 営業利益 経常利益 純利益 EPS 配当
2022/3 75.12億 17.48億 20.65億 17.22億 304.96円 80円
2023/3 87.43億 21.33億 25.13億 22.55億 399.88円 100円
2024/3 86.19億 17.31億 21.37億 15.15億 271.88円 70円
2025/3 58.92億 4.34億 6.74億 4.27億 77.25円 70円
2026/3 55.67億 3.01億 5.64億 4.63億 86.49円 100円
2027/3(会社予想) 70.00億 11.00億 13.00億 10.40億 205.21円 100円

※会社資料の「FY26」は2027年3月期を指す(期首年表記)。通期予想は5月時点(営業利益4.5億円・経常5.9億円)から7月28日に上方修正済みで、今回は据え置き。

四半期推移

四半期 売上高 営業利益 営業利益率
2025年7-9月 15.63億 2.02億 12.9%
2025年10-12月 13.70億 0.63億 4.6%
2026年1-3月 15.65億 0.47億 3.0%
2026年4-6月 19.12億 4.13億 21.6%
2026年7-9月 18.91億 3.28億 17.3%

上期の損益は、増収と売上総利益率の改善(39.2%→46.8%)で研究開発費の増加を吸収した形だ。経常利益8.61億円には受取利息0.72億円・有価証券償還益0.42億円などが乗る一方、為替差損0.34億円が出た。純利益6.63億円には投資有価証券売却益1.81億円(特別利益)が含まれる。

通期予想の据え置きをどう読むか

項目 上期実績 下期(逆算) 通期予想 上期進捗
売上高 38.03億 31.97億 70.00億 54.3%
営業利益 7.41億 3.59億 11.00億 67.4%
研究開発費 2.42億 3.78億 6.20億 39.0%

下期は売上が上期を下回り、研究開発費は上期の約1.6倍に膨らむ前提になっている。会社は据え置き理由を「案件ごとの売上計上時期や下期に見込む研究開発費等を勘案」と説明しており、下期の想定為替レートは1ドル=160円(1円の円安で下期営業利益+0.15億円程度)。受注残43.70億円が下期の想定売上31.97億円を上回っている点は、計画が控えめに置かれている可能性を示すが、個別受注生産のため出荷・検収のタイミングで期ずれが起きやすい点も同時に認識しておきたい。

需給環境(AI需要・供給制約・メモリ・価格)

  • AIデータセンター需要:決算短信は「AIデータセンターへの大規模投資を背景に、先端ロジックやメモリーの需要が市場の成長を牽引し、電源制御などの周辺分野にも需要が広がった」と記載。同業の米Cohuも2026年4-6月期に売上1.49億ドル(前年同期比+38%)、コンピューティング向けシステム受注が+150%と、後工程テスト需要の強さは国外でも確認できる(MarketBeat)。
  • 供給制約:短信は「キーパーツの調達納期が長期化し、部品不足が深刻化」と指摘。テセックは部材の先行手配で対応しており、棚卸資産は前期末21.90億円→上期末23.72億円(仕掛品+2.68億円、原材料−0.85億円)。
  • 車載・産業:Cohuは稼働率がコンピューティング・産業で80%台前半、車載・モバイルで70%台後半と説明し、車載の回復は2027年1〜6月頃と見込む。テセックのテスタ売上の回復が遅れている構図と整合的だ。
  • メモリ・GPU価格:テセックの製品はメモリ価格やGPU価格への直接の感応度が低く、本稿ではこれらの価格指標をスコアに用いていない。

バリュエーション — アップサイド試算

半導体装置はシクリカルなため、今期予想EPSだけでなくミッドサイクル利益で検証した。ミッドサイクル営業利益は2022/3期〜2027/3期予想の6期平均で約12.4億円(推計)とした。

手法 前提 理論株価 対終値3,420円
Peer PER(20%ディスカウント) Peer4社のPER中央値20.65倍×0.8×予想EPS 205.21円 3,390円 −1%
EV/EBIT(ミッドサイクル) 営業利益12.4億円×10倍+実質ネットキャッシュ49.0億円 3,415円 0%
同上+投資有価証券 上記+投資有価証券46.5億円×(1−税率30%) 4,058円 +19%
Peer PER(ディスカウントなし) 20.65倍×205.21円 4,238円 +24%
DCF(ベース) FCF 8.5億円(ミッドサイクル推計)、WACC 8.5%、永久成長率2%、ネットキャッシュ・投資有価証券(税後)加算 4,240円 +24%
コンセンサス目標株価 — N/A(出典なし) —

DCF感度分析(1株あたり理論値・円)

WACC\永久成長率 1% 2% 3%
7.5% 4,215 4,719 5,447
8.5% 3,867 4,240 4,749
9.5% 3,601 3,889 4,266

シナリオ別EPS(推計):ブル=受注残の前倒し出荷で純利益13億円(EPS約257円)/ベース=会社予想10.4億円(205円)/ベア=ハンドラ需要が一巡し純利益3.5億円(約69円、2025/3期並み)。

手法間のレンジは−1%〜+24%、中央値は+19%で、価格判定はB(割安)の下限寄りとした。ただしアップサイドの多くは「ネットキャッシュと投資有価証券の価値を株主価値として数えるか」に依存する。資産を事業価値と別に評価しない市場では、この部分は割り引かれやすい。なおPTS価格3,161.5円を基準にすると中央値のアップサイドは約+28%になる。

セクター資金フロー(直近3ヶ月)

期間・指標 テセック 参考
3ヶ月騰落率(7/24→10/27) +46%(2,340円→3,420円) 日経平均 −2.9%(7/27週始値比)
7月修正発表週(7/27〜31) +33.97%(出来高203万株) —
週足高値からの距離 10/9週の高値4,180円から−18% —
平均出来高(直近1ヶ月÷3ヶ月) 約5.7万株÷約8.3万株=0.69倍 売買は細りつつある
信用買残 12.95万株(10/9)→11.03万株(10/23) 自己株除く発行済の約2.2%

10/27はアドバンテスト(+8.98%)、サムコ(+8.97%)など半導体関連が総じて強く、テセックも日中は+5.23%で引けた。決算後のPTS下落は、上方修正を見込んでいた買いの期待との差を映した可能性がある。

東証上場の類似銘柄比較(10/27終値)

銘柄 コード 時価総額 予想PER PBR 配当利回り 主要事業・違い
テセック 6337 191億円 16.7倍 1.22倍 2.92% 後工程ハンドラ/パワー用テスタ。海外比率89%
タカトリ 6338 82.0億円 24.1倍 0.81倍 2.68% ワイヤソー・テープ貼付等の半導体・電子部品製造装置
タツモ 6266 490億円 19.1倍 1.81倍 1.03% 塗布現像・洗浄・貼り合わせ等の前工程/先端パッケージ装置
サムコ 6387 596億円 21.7倍 3.81倍 1.01% エッチング・CVD装置。化合物・パワー半導体向けに強い
日本マイクロニクス 6871 4,651億円 19.6倍 4.93倍 1.53% プローブカード(前工程のウェハ検査)。メモリ・HBM向け
(参考)アドバンテスト 6857 24兆7,855億円 37.0倍 23.45倍 — SoC/メモリテスタ世界大手。AI向けで突出

テセックはPeerの中でPER・PBRともに低い。違いは、①顧客がAI向け先端ロジックではなく周辺の小型・パワーデバイスの後工程であること、②時価総額が小さく流動性が限られること、③自己資本比率86%と資本効率の低さ(予想ROE約7%)にある。

受注動向(先行指標)

製品 2Q受注(7-9月) 上期受注 上期末受注残 2Q B/Bレシオ
ハンドラ 26.72億(+355.0%) 39.05億(+286.3%) 31.10億(+272.5%) 2.16倍
テスタ 5.45億(+16.7%) 8.37億(+13.0%) 9.31億(−24.8%) 1.98倍
パーツ等 3.87億(+55.2%) 8.74億(+80.9%) 3.27億(+70.9%) 1.03倍
合計 36.06億(+176.4%) 56.18億(+151.3%) 43.70億(+92.9%) 1.91倍

B/Bレシオ(受注÷売上)は1.0を超えると受注残が増える状態を示す。2Qは全社で1.91倍、ハンドラ単独で2.16倍。装置メーカーの受注は顧客の設備投資の先行指標であり、後工程の能力増強がハンドラから先に動いていることを示す。テスタの受注残は前年同期比で減ったままで、パワー半導体の投資回復はまだ初期段階にとどまる。

バリューチェーン分析(先行・遅行指標)

  • 先行:AIサーバー・DC投資(Big TechのCapEx)→ 電源IC・ディスクリート需要 → OSAT/IDMの後工程能力増強 → テセックのハンドラ受注。
  • 並行して見る指標:Cohuの受注・ガイダンス(10/28に7-9月期決算発表予定)、中国・長川科技のハンドラ売上、TSMC月次売上。
  • 遅行:テセックの売上計上(受注から数四半期)→ 利益率。パワー半導体用テスタは車載・産業の設備投資回復を待つ遅行分野。

競争環境

  • Cohu(米):ハンドラ大手。AI向けサーマルハンドラ(Eclipse)を半年で約50%増産、2027年半ばまでに倍以上にする計画。主戦場は高単価のAIプロセッサ向けで、テセックのMAPハンドラとは用途の重なりが小さい。
  • 長川科技(中国・300604):2026年上期の売上34.61億元(+59.7%)、うち分選機(ハンドラ)11.58億元(+63.3%)、ハンドラ粗利率41.4%(格隆匯)。国産化需要を背景に規模でテセックを大きく上回る。テセックの売上の33.5%が中国向けである以上、中国ローカル勢による置き換えは最大の構造リスク。
  • パワー半導体テスタ:中国勢を含め競合が多く、テセックは新製品の開発で巻き返しを図る段階。

地政学・規制リスク

中国売上比率33.5%(上期)。現時点で同社製品が米国の対中輸出規制の対象となる旨の開示はないが、規制強化や中国の装置国産化政策は受注に影響しうる。補助金については、同社の業績に寄与する国内の半導体政策の採択・交付は確認できず、国策アライン度は「該当なし」とした。

カタリストカレンダー(向こう6ヶ月)

日付 内容 影響度 織り込み度
2026/10/28(米国時間) Cohu 7-9月期決算(ハンドラ需要の外部確認) ★★☆☆☆ 未織込
2026/11/11 半期報告書提出予定 ★☆☆☆☆ 概ね織込済
2026/12/7 初の中間配当50円の支払開始 ★☆☆☆☆ 概ね織込済
2026年12月(日程は主催者発表を確認) SEMICON Japan(新製品の展示機会) ★★☆☆☆ 一部
2027年1月下旬(前年は1/27・日付未発表) 3Q決算。受注残の出荷進捗と通期予想の扱い ★★★★☆ 未織込
2027年5月中旬(日付未発表) 通期決算・次期予想・中計「Enjoy2.1」最終年度の還元方針 ★★★★☆ 未織込

⑥の採点は今後3ヶ月(〜2027年1月下旬)に限定した。業績に直結する3Q決算は日付が未発表のため確定材料として数えていない。

財務リスク分析(人件費構造を含む)

指標 数値 コメント
自己資本比率 86.1%(前期末89.3%) 極めて高い
実質ネットキャッシュ 約49.0億円 現預金36.80億+有価証券14.55億−借入金2.38億。別途投資有価証券46.50億円
棚卸資産 23.72億円(前期末21.90億) 仕掛品17.62億円。受注対応の先行生産で増加
為替感応度 1円の円安で下期営業利益+0.15億円 想定1ドル=160円
従業員数/平均年収 連結211人(前期214人)/単体658万円(+0.2%) 人員は横ばいで、増益は人員増なしで実現
一人当たり営業利益 143万円(2026/3期)→ 521万円(今期計画・推計) 操業度の回復を反映
労働分配率(推計・人件費÷売上総利益) 約64%(2026/3期)→ 約39%(今期上期) 人件費は連結人員×単体平均年収で近似(上期は年額の1/2)
株主還元 DOE4%目安、年100円配当、自社株99,800株(2.99億円)取得完了 業績変動にかかわらず安定配当の方針

人員がほぼ横ばいのまま売上が増える局面では利益が急増する。逆に、受注が減る局面では人件費・研究開発費が固定費として残るため、2025/3期〜2026/3期のように営業利益率が3〜5%まで落ちる。損益の振れ幅の大きさが、テセックの最大の特徴と言える。

オーバーレイ評価の内訳

テーマ適合度 21/40(中程度)

テーマの定義:「AIデータセンター投資に伴う半導体後工程(組立・テスト)の能力増強」。判断軸のうち、第三者のTAM推計(3)、複数の大手による投資(5)、市場の関心(6)、技術の非連続性(2:先端パッケージング)の4項目を満たす。

  • ①量的寄与 4点:会社はAI関連需要でハンドラ受注が増えたと説明するが、AI向け売上比率は非開示。
  • ②純度 8点:半導体テスト装置の単一事業・時価総額191億円の小型株。🔴 純度が高いほど、テーマが失速したときの下落も大きくなる(両刃)。
  • ③サイクル位置 5点:AI半導体テーマ自体は成熟段階(アドバンテストのPER37倍など主要銘柄は大きく上昇済み)。テセックは7月の上方修正を機に株価が大きく動いた(発表週+34%)。
  • ④希少性 4点:後工程テスト関連の上場銘柄は国内外に多く、MAPハンドラというニッチ以外での代替困難性は限定的。

🔴 ①量的寄与(売上比非開示)と③サイクル位置(テーマは成熟)に乖離がある。株価がテーマとして反応しても、それはAI向け売上の裏付けが開示されていない状態での値動きである。

上抜け素地 3/6(調整なし)

該当:③信用買残の重石が軽い(買残は減少傾向・平均出来高の約1.3日分)、⑤時価総額が小さい、⑥未織込の材料(通期予想と受注残の差)。非該当:①売買代金の増加(直近1ヶ月÷3ヶ月=0.69倍)、②高値まで10%以内(−18%)、④踏み上げ余地(売残ほぼゼロ)。🔴 流動性が低く時価総額が小さい銘柄は、悪材料でも同じように大きく下に動く。ボラティリティが高いという意味であり、有利さではない。

資本イベント素地 2/10(低い)

該当は「ネットキャッシュ+投資有価証券が時価総額の約50%」「流動性が低い」の2項目のみ。PBRは1倍超、親会社・支配株主はなく、DOE4%・自社株買いなど資本政策の開示もある。

まとめ

今回の決算で確認できたのは、ハンドラの受注がFY2000以来の水準まで回復し、受注残が下期の想定売上を上回っているという事実である。営業利益率は四半期で17〜22%まで戻り、人員を増やさずに増益を達成した。

一方で、2Qの営業利益は1Qから減り、会社は通期予想を据え置いた。AI関連の売上比率は開示されておらず、増収の多くはハンドラのサイクル反発による。中国ローカル勢の規模拡大は、中国売上比率33.5%の同社にとって構造的なリスクだ。

バリュエーションはミッドサイクル基準で−1%〜+24%(中央値+19%)とB(割安)の下限寄りだが、その多くは厚いネットキャッシュと投資有価証券に支えられている。財務が堅く受注が強いことと、株価が割安であることは別の問題であり、判断の分かれ目は1月下旬の3Q決算で受注残の出荷がどこまで進むかにある。

免責事項・ディスクレーマー

本記事は半導体企業に関する調査分析の情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。DCF試算・マルチプル比較・レーティングは独自の前提条件に基づく推計であり、実際の企業価値や将来の株価を保証するものではありません。半導体産業は景気循環・技術変化・地政学リスク等により業績が大幅に変動する可能性があります。投資判断はご自身の責任において、十分な情報収集と専門家への相談のうえで行ってください。

本記事の情報は2026年10月27日時点の公開情報に基づいています。筆者は本記事で言及した銘柄のポジションを保有している可能性があります。本レーティングは公開情報に基づく独自の定量評価であり、投資判断を推奨するものではありません。

出典:テセック「2027年3月期 第2四半期(中間期)決算短信」「同 決算補足説明資料」「剰余金の配当(中間配当)に関するお知らせ」(2026年10月27日、TDnet)、有価証券報告書(2026年3月期、EDINET)、株探(株価・信用残・Peer指標、10/27時点)、Cohu・長川科技の公表資料に基づく報道。

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