さくらインターネット3778|営業益予想64%増と記念配当

※ 本記事は情報通信株リサーチシリーズ一覧の一つです。

【2026年10月28日更新】2027年3月期 第2四半期(中間期)決算を受けた全面改稿版です(初版2026年9月13日)。あわせてレーティング基準をv2.2に改定しました(バリュエーションを品質スコアから分離し価格判定A〜Eとして別掲。需給は直近3ヶ月・カタリストは今後3ヶ月で採点)。旧版の★とは単純比較できません。

「さくらインターネットが決算でストップ高。でも不正アクセスの影響は?下期の利益予想が小さいのはなぜ?」——そう気になっていませんか。

2026年10月28日(場中12時30分)、さくらインターネット(3778)は中間決算と2度目の通期上方修正を発表し、株価は前日比+503円(+16.95%)の3,470円でストップ高となりました。上期の営業利益は29億6,300万円と、7月時点の会社予想(22億円)を34.7%上回っています。

この記事では、今回の決算を情報通信株・AIインフラ企業の3視点①ストック/リカーリング構造 ②IT投資サイクルと供給制約 ③政策・規制・競争で読み直し、GPU稼働率と単価改善の中身・下期に費用が集中する計画の読み方・競合の動き・EV/EBITDAによる価格判定・v2.2レーティングまでを更新しました。

なお本記事は調査分析の情報提供であり、投資判断の最終責任は読者にあります。

【モデル型: クラウド・データセンター / GPUインフラプロバイダー】 【需要ドメイン: 生成AIインフラ(LLM学習・推論) + ソブリンクラウド + ガバメントクラウド + ホスティング】

目次

今回の決算のポイント(2027年3月期 中間期)

  • 上期は大幅黒字転換:売上高228億2,700万円(前年同期比+46.0%)、営業利益29億6,300万円(前年同期は9億2,000万円の赤字)、経常利益30億1,300万円、中間純利益19億300万円。7月公表の上期予想(売上225億円・営業利益22億円)をいずれも上回りました。
  • Q2(7-9月)単独:売上高116億9,300万円(前年同期比+43.7%)、営業利益17億3,200万円(営業利益率14.8%、前四半期比+40.8%)、EBITDAは50億5,900万円で四半期最高を更新。
  • 通期予想を再上方修正:売上高455億円→466億円、営業利益25億円→41億円(+64.0%)、経常利益23億円→39億円、純利益15億円→25.5億円(EPS 63.68円)。
  • GPUがフル稼働に迫る水準+提供単価の改善:GPUインフラストラクチャーサービスの通期売上見通しは208億5,000万円(前期比+156.0%)。
  • 創業30周年記念配当2.5円(基準日9/30)を実施し、年間配当予想は5.5円→8.0円。
  • 不正アクセス事案の業績影響は「限定的」と会社は説明。ガバメントクラウド要件に対応した「さくらのクラウド」環境への影響は確認されていないとしています。

出典: さくらインターネット「2027年3月期第2四半期(中間期)決算短信」「第2四半期連結業績予想と実績値との差異及び通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」「剰余金の配当(創業30周年記念配当)に関するお知らせ」「2027年3月期第2四半期決算説明資料」(いずれも2026/10/28)、株価は株探(2026/10/28)。

総合評価(レーティング基準 v2.2)

品質 ★★★☆☆(45 / 70) / 価格 C(適正・中立シナリオ比 +9%)
国策アライン 9/10(高い) / テーマ適合(生成AI計算基盤・ソブリンAI)25/40(やや高い) / 資本イベント素地:本稿では評価対象外
上抜け素地 1/6(⑥カタリストに -1 調整)

公開情報に基づく独自の定量評価です。投資判断を推奨するものではありません。旧版(v1・49/70点・★4)からの低下は、バリュエーション軸の分離と、⑥カタリストを「今後3ヶ月」の窓で採点し直したことによる基準変更が主因で、業績面の評価はむしろ改善しています。

品質7軸スコア

評価軸 スコア 根拠(数値)
①成長性 9 / 10 売上はFY2023の206億円→FY2027計画466億円(年率約23%)。今期+32.0%、上期GPU売上は前年同期比+259%。M&Aによる嵩上げなし(オーガニック)
②収益性 6 / 10 Q2営業利益率14.8%まで改善したが、通期計画ベースでは8.8%、ROE(今期予想・推計)約8.2%。一人当たり営業利益は前期の赤字から約363万円(今期計画÷従業員1,126名、推計)へ
③収益の質・連結範囲 7 / 10 上期の営業CFは108億円と営業利益の約3.7倍(GPU償却の重い装置型)。一方、国庫補助金(上期25億円)を圧縮記帳しており、助成による償却負担の軽減が利益を下支えしている点は構造要因として留意。持分法の寄与は軽微
④競争優位性 8 / 10 国産初のガバメントクラウド正式採択(2026年3月)、経済安保「クラウドプログラム」の大型助成、石狩DCの冷涼気候・受電余地。ただしKDDI・ソフトバンクがGB200 NVL72級の大規模設備を立ち上げ、旧版の9点から引き下げ
⑤需給ポジション(直近3ヶ月) 6 / 10 7/28終値3,100円→10/28の3,470円(+11.9%)。途中で8/18の年初来高値4,350円から不正アクセス公表後に2,800円台まで下落する大きな振れ。信用倍率4.44倍。業種指数比は未確認
⑥カタリスト(今後3ヶ月) 4 / 10 今回の上方修正はストップ高で反応済み。3ヶ月内の日付確定材料は記念配当の支払い(12/14)程度で、第3四半期決算(例年1月下旬)・NVIDIA決算は日付未確認。上抜け素地1/6で-1調整済み
⑦リスク耐性 5 / 10 自己資本比率36.1%、有利子負債(借入金+長期リース債務)約359億円に対し現預金194億円。GPU世代交代の速さ、Rubin投資260億円の今後の資金負担、セキュリティ事案の信用リスク
合計 45 / 70 ★★★☆☆

★変換:56-70=★★★★★/46-55=★★★★☆/36-45=★★★☆☆/26-35=★★☆☆☆/0-25=★☆☆☆☆。合計45点は★4との境界(46点)の1点手前です。

会社概要とセグメント構成

さくらインターネット株式会社(3778・東証プライム)は、自社運営のデータセンターを基盤に、ホスティング、クラウド(IaaS)、そして大規模GPU計算資源を提供する国内独立系クラウドのパイオニアです。1996年に代表取締役社長の田中邦裕氏が国立舞鶴工業高等専門学校在学中に創業したサーバーレンタル事業を出発点とし、2005年に東証マザーズ上場、2015年に東証1部(現プライム)へ市場変更しました。会計基準は日本基準、決算月は3月です。2026年12月23日に創業30周年を迎えます。

項目 数値(2026/10/28終値ベース)
株価 3,470円(前日比+503円・+16.95%、ストップ高)
夜間PTS 3,432円(21時台)
時価総額 約1,454億円(発行済株式ベース)/自己株控除後 約1,390億円
発行済株式数 4,189万株(自己株式控除後 約4,005万株)
予想PER(修正後EPS 63.68円) 約54.5倍
PBR(中間期末自己資本ベース) 約4.4倍
EV/EBITDA(今期EBITDA推計約168億円) 約9.2倍
自己資本比率 36.1%(2026年9月末)
予想配当利回り(年8.0円、記念配当含む) 約0.23%

サービスカテゴリー別売上(四半期推移)

カテゴリー 前期Q2 今期Q1 今期Q2 Q2構成比 上期前年比
GPUインフラストラクチャー 14億5,600万円 47億1,800万円 54億0,600万円 46.2% +259%
クラウドサービス 38億0,900万円 39億7,500万円 40億9,600万円 35.0% +7.5%
物理基盤サービス 7億7,500万円 7億0,800万円 6億5,400万円 5.6% -13.6%
その他サービス 20億9,700万円 17億3,200万円 15億3,500万円 13.1% -12.3%
合計 81億3,700万円 111億3,400万円 116億9,300万円 100% +46.0%

出典:2027年3月期第2四半期決算説明資料。上期前年比は四半期値の合計から算出。

GPUインフラは前四半期比でも+14.6%と伸び、Q2では売上の46.2%を占めました。クラウドサービスも前四半期比+3.1%と着実に積み上がっています。

情報通信株・AIインフラ視点で読み解くさくらインターネット

①ストック/リカーリング構造 ── GPUの「次の顧客」とリザーブド契約

さくらインターネットの収益モデルは、祖業であるホスティング・専用サーバの「月額固定課金ストック」から、生成AI開発向けGPUの「リザーブド契約(長期コミット型リカーリング)」へと急速に進化しています。

  • キャッシュカウとしての基幹ストック:クラウドサービスは四半期40億円規模まで積み上がり、物理基盤の縮小を補っています。
  • GPUの顧客分散:会社は「特定の大口顧客のみに依存せず」セールスパイプラインを構築し、既存GPUは契約終了後も速やかに次の顧客へ提供していると説明しています。7月にはSakana AIのGENIAC第4期プロジェクトに「高火力 PHY」が採用されました。中間期末の前受金は87億500万円(前期末86億5,800万円)と高水準を維持しています。
  • 営業レバレッジ:上期営業利益は7月予想比+7.6億円の上振れで、要因は売上増(GPUの提供単価改善)と、不正アクセス対応を優先したことによる広告・イベント・採用費の後ずれです。

フローとストックの見分け方:上期の利益上振れの一部は「費用の後ずれ」であり、下期に人材投資(中途採用約70名予定)・30周年関連施策・広告などが集中する計画です。通期営業利益41億円から逆算した下期営業利益は約11.4億円と上期(29.6億円)を大きく下回る一方、下期売上は約237.7億円と上期を上回る見通しです。下期の利益水準は「稼ぐ力の低下」ではなく「費用の期ズレ」として読む必要があります。

②IT投資サイクルと供給制約 ── 稼働率フル近辺、次はRubinと償却明け

需要サイドは、国内の基盤モデル開発やエンタープライズの生成AI実装、AIエージェントの推論需要により、GPU計算資源への需要が旺盛な状態が続いています。会社はGPUが「フル稼働に迫る水準」を維持しているとしています。

  • GPU配備の現状:H100は約2,000基+約840基、H200は約1,072基、B200は約400基+約1,100基を設置済み(決算説明資料の概算台数)。2026年7月に決議した次世代「NVIDIA HGX Rubin NVL8」等への投資260億円は、今期の投資予算(198億円)には含まれていません。
  • 生成AI向け投資の進捗:経産省認定の1,130億円投資計画のうち、2026年3月期までに521億円を投資。今後はRubin(260億円)、発電機棟等(44億円)、コンテナ型DC第3期等(65億円・検討中)が控えます。
  • GPU資産の早期償却:GPUサーバーは3年で償却しており、2027年1月から初期導入分の減価償却が順次終了します。稼働を続けられれば、来期以降は償却負担の軽減が利益の追い風になり得ます(ただし新規投資の償却開始と相殺される)。
  • 石狩データセンターの立地優位性:北海道の冷涼な外気を直接取り込む外気冷却と、受電拡張余地、コンテナ型データセンター(第1期・第2期稼働中)を有し、新規GPUの受け入れ余地は確保済みとしています。2026年7月には「石狩データセンターコンソーシアム」の設立に参画しました。

人員面では、連結従業員数は1,126名(9月末、前期末比-9名。Tellusの連結除外による減少を含む)。下期に中途採用約70名を予定しています。

③政策・規制・競争環境 ── 国産初のガバメントクラウド、ただしGPUは競争激化

さくらインターネットは、「日本の経済安全保障を担う国策インフラ」としての地位を確立しています。

  • 経済産業省クラウドプログラムの助成:経済安全保障推進法に基づく特定重要物資「クラウドプログラム」で、130億円規模(第1次)と1,000億円規模(第2次)の投資計画が認定されています。上期も国庫補助金等収入25億円を計上し、同額を固定資産圧縮損として処理しています。
  • ガバメントクラウド:2023年11月の条件付き採択を経て、2026年3月に「さくらのクラウド」が国産で初めてガバメントクラウドサービス提供事業者に正式採択されました(旧版の「技術検証対象」との記述を訂正)。会社はガバメントクラウドの案件創出に向け営業・提案活動を強化しています。
  • データ主権:国内法に準拠した国産クラウドであること、円建ての価格体系は、政府・公共・研究機関向けで差別化要因になっています。

競争環境の洗い直し(2026年9月以降)

論点 確認できた事実 さくらへの含意
国内の大規模GPU設備 KDDIは2026年1月に旧シャープ堺工場を活用した大阪堺のAIデータセンターを稼働し、GB200 NVL72などを運用。ソフトバンクは国内のGB200 NVL72を使う「AIデータセンター GPUクラウド」を2026年10月に提供開始予定 資金力のある通信大手がラック単位の最新GPUで大規模学習需要を取りに来ている。さくらはH100/H200/B200中心で、次の世代はRubin待ち。大型学習案件の価格交渉力は相対的に弱まりうる
協調関係 KDDI・さくら・ハイレゾは2025年10月に「日本GPUアライアンス」を設立し、相互にGPUを再販 競合であると同時に、需給の平準化や販路の相互補完も働く
GPU価格 海外のGPUクラウドではH100の時間単価が事業者によって数倍の開き(例: スポット約333円〜大手クラウド1,000円超/GPU時、2026年10月時点の比較サイト)。H100レンタル価格の大幅下落を指摘する分析もある さくらは今回「提供単価の改善」を実現したが、世界的にはH100世代の価格低下圧力がある。旧世代GPUの契約更新時の単価が、来期以降の重要な論点
旧版の記述の再検証 旧版ではソフトバンクのAI DCを「シャープ亀山工場跡地」と記載していたが、確認できた国内案件は堺(KDDI) 該当箇所を修正

業績推移(2023年3月期〜2027年3月期会社予想)

決算期 売上高 営業利益 営業利益率 経常利益 当期純利益 EPS 年間配当
2023年3月期 206億2,200万円 10億9,300万円 5.3% 9億6,500万円 6億6,600万円 18.36円 3.50円
2024年3月期 218億2,600万円 8億8,400万円 4.1% 7億6,400万円 6億5,100万円 17.94円 4.00円
2025年3月期 314億1,200万円 41億4,500万円 13.2% 40億6,000万円 29億3,700万円 80.95円 5.00円
2026年3月期 353億0,100万円 △4億0,300万円 -1.1% 1億0,500万円 2億1,600万円 5.40円 5.00円
2027年3月期 上期実績 228億2,700万円 29億6,300万円 13.0% 30億1,300万円 19億0,300万円 47.55円 2.50円(記念)
2027年3月期(10/28修正予想) 466億0,000万円 41億0,000万円 8.8% 39億0,000万円 25億5,000万円 63.68円 8.00円

出典:さくらインターネット有価証券報告書、2026年10月28日開示の決算短信・業績予想修正・配当予想修正。EPS・配当は株式分割調整後。

バリュエーション ── EV/EBITDA主軸の価格判定

巨額の減価償却費が発生するデータセンター/GPUインフラ企業のため、EV/EBITDAを主尺度、予想PERを補助とします。

試算の前提:自己株式控除後株式数 約4,005万株、純有利子負債 約165億円(短期借入金81億円+長期借入金(1年内含む)118億円+長期リース債務160億円 − 現預金194億円。流動負債内のリース債務は含まず)、今期EBITDA推計 約168億円(会社予想経常利益39億円+上期実績から推計した減価償却費年間約120億円+支払利息約9億円。会社はEBITDAの通期予想を開示していないため推計)。

算定手法 前提 理論株価 現値(3,470円)比
EV/EBITDA(強気) 13倍 約5,050円 +46%
EV/EBITDA(中立) 10倍 約3,790円 +9%
EV/EBITDA(弱気) 7倍 約2,530円 -27%
予想PER(補助・高成長) 70倍 × EPS 63.68円 約4,460円 +28%
予想PER(補助・正常化) 50倍 × EPS 63.68円 約3,180円 -8%

価格判定 C(適正):中立シナリオ比+9%で、EV/EBITDAのレンジは-27%〜+46%と幅が広い状態です。ストップ高後でもEV/EBITDA約9.2倍は、旧版で用いた標準水準(12倍)を下回ります。ただし下期の費用集中、Rubin投資の資金負担、GPU単価の先行きによってEBITDAの見え方が大きく変わるため、レンジの上下どちらにも振れやすい点に注意が必要です。

※コンセンサス目標株価は本日時点の更新値を確認できなかったためN/Aとします(旧版のみんかぶ5,473円は2026年9月時点の値)。

東証 類似・競合銘柄との比較

銘柄名 コード 時価総額 予想PER PBR 特徴とポジショニング
さくらインターネット 3778 約1,454億円 54.5倍 4.38倍 国産GPUクラウド・ガバメントクラウド。GPU売上比率4割超
インターネットイニシアティブ 3774 約6,422億円 24.8倍 3.86倍 企業ネットワーク・クラウド。松江DC(外気冷却)
GMOインターネットグループ 9449 約3,568億円 — 1.98倍 インフラ・金融・暗号資産の多角化。GPUクラウドも展開
ソフトバンク 9434 約11.1兆円 20.1倍 4.19倍 通信キャリア。GB200 NVL72のGPUクラウドを提供開始予定

※株価・指標は2026/10/28終値ベース(株探)。KDDIは上場しているが事業規模の差が大きく割愛。GPUクラウドの売上比率はさくら以外いずれも小さく、事業構成が異なるため倍率の単純比較には注意が必要です。

カタリストカレンダー(向こう6ヶ月)

時期 イベント 影響度 織り込み度
2026年11月(日付未確認) 米NVIDIA 四半期決算(AIインフラ全体のセンチメント) ★★★☆☆ 未織込
2026/12/14 創業30周年記念配当(2.5円)の効力発生 ★☆☆☆☆ 概ね織込済
2026/12/23 創業30周年(記念施策の費用は下期計画に織り込み済み) ★☆☆☆☆ 概ね織込済
2027年1月〜 初期導入GPUの減価償却が順次終了 ★★★☆☆ 一部
2027年1月下旬(例年、日付未確認) 第3四半期決算(下期の費用消化と通期進捗) ★★★★☆ 未織込
今期中(時期未確定) Rubin GPUの設置・提供開始 ★★★☆☆ 一部
2027年4月下旬(例年) 通期決算・2028年3月期計画 ★★★★★ 未織込

上抜け素地チェック(6項目)

①売買代金の増加:本日の出来高は456万株と直前の100万株前後から急増したが、1ヶ月平均÷3ヶ月平均の比率は未確認のため不算入 ②年初来高値(4,350円)まで約25%で10%以内に入らず ③信用倍率4.44倍で買い残の重石は残る ④踏み上げ余地:未確認 ⑤時価総額約1,450億円の中型株で浮動株は相対的に少ない(該当) ⑥未織り込み材料:上方修正はストップ高で反応済み——該当1/6で⑥を-1調整しました。時価総額が小さく値動きの大きい銘柄は、悪材料でも同じだけ下に振れやすいという両刃の性質があります。

オーバーレイ評価(国策・テーマ)

国策アライン度 9/10(高い):経済安全保障推進法の特定重要物資「クラウドプログラム」(法制度・基金による複数年度の支援)、骨太の方針等での国産AI計算基盤の位置づけ、当社の計画認定と国庫補助金の受領実績(到達経路を確認済み)、ガバメントクラウドの正式採択、中計への組み込みに該当。補正予算での直近の積み増し額は本稿では未確認です。進行段階は「④商業化」で、GPU売上として既に業績に寄与しています。ただし、国策の後押しと株価の上昇は別の命題です。

テーマ適合度(生成AI計算基盤・ソブリンAI)25/40(やや高い):テーマの定義は「生成AIの学習・推論に必要な国内の計算資源・データ主権インフラへの需要」。①量的寄与7(GPU売上は通期計画の約45%)②純度8(中型株でテーマが企業価値を直接左右)③サイクル位置4(2023〜24年に大相場があり、その後剥落した「一巡」局面。再燃には新材料が要る)④希少性6(国内GPUクラウドはKDDI・ソフトバンク・GMO・ハイレゾ等も展開)。量的寄与が高い一方でサイクル位置は一巡しています。また純度が高いことは、テーマが失速したときの下落も大きくなるという両刃です。

投資上の重要リスクと留意点

  • 下期の費用集中と利益の見え方:通期計画は下期営業利益約11.4億円と上期を大きく下回ります。費用の執行状況次第で、第3四半期の利益が前四半期比で大きく減る可能性があり、表面的な減益と稼ぐ力の変化を区別して見る必要があります。
  • 不正アクセス事案の信用影響:8月17日・19日・9月10日の公表を経て、会社は業績影響を限定的としています。対象は「さくらのレンタルサーバ」の一部環境と販売管理システム(会員情報)で、ガバメントクラウド対応環境への影響は確認されていないとしています。今後も官公庁・エンタープライズの案件獲得への影響を注視する必要があります。
  • GPUの世代交代と単価:H100→H200→B200→Rubinと世代交代が速く、海外ではH100世代の価格低下が進んでいます。償却明けの旧世代GPUの契約更新単価と稼働率の維持が来期の論点です。
  • 投資負担と財務レバレッジ:Rubin投資260億円は今期予算外で、借入・リースでの調達が続けば自己資本比率(36.1%)は低下しうるほか、支払利息は上期4.2億円(前年同期2.3億円)と増加しています。
  • 助成金依存:圧縮記帳で償却負担が軽減されているため、将来の投資で助成が得られない場合、同じ売上でも利益率は下がります。
  • 電力料金の上昇:電力費は原価の主要項目で、料金上昇は直接利益を圧迫します。

まとめ:稼ぐ力は数字で確認、次の焦点は「下期の費用」と「GPU単価の持続性」

今回の中間決算で、さくらインターネットはQ2営業利益率14.8%・四半期EBITDA約51億円を記録し、通期営業利益予想を41億円まで引き上げました。GPUが「フル稼働に迫る水準」で単価も改善していることが数字で確認でき、国産初のガバメントクラウド正式採択という政策面の裏付けもそろっています。

一方、株価はストップ高で上方修正をすでに織り込み、下期は費用が集中して営業利益が上期の4割弱に落ちる計画です。KDDI・ソフトバンクによる大規模GPU設備の立ち上げや、世界的なH100世代の価格低下など競争環境は厳しくなっています。「償却明けによる利益の伸び」と「次世代投資の負担・単価下落リスク」のどちらが勝るかを、第3四半期決算と来期計画で確認する局面です。

参考資料

  • さくらインターネット「2027年3月期第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026/10/28)
  • さくらインターネット「第2四半期連結業績予想と実績値との差異及び通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」(2026/10/28)
  • さくらインターネット「剰余金の配当(創業30周年記念配当)に関するお知らせ」(2026/10/28)
  • さくらインターネット「2027年3月期第2四半期決算説明資料」(2026/10/28)
  • 株探:各社株価・指標(2026/10/28)
  • ISSOH「ネオクラウドとは?GPU特化クラウドの仕組みと主要企業・日本の事業者【2026年10月】」
  • GPUクラウドの料金比較(2026年10月17日確認)

免責事項・ディスクレーマー

本記事は情報通信・ITサービス関連企業に関する調査分析の情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。バリュエーション試算・レーティング・各種予測は独自の前提条件に基づく推計であり、実際の企業価値や将来の株価を保証するものではありません。情報通信業はIT投資動向・技術革新・規制/政策変更・競争環境・システム障害等により業績が大幅に変動する可能性があります。投資判断はご自身の責任において、十分な情報収集と専門家への相談のうえで行ってください。

本記事の情報は記載日時点の公開情報に基づいています。筆者は本記事で言及した銘柄のポジションを保有している可能性があります。

気になる商品の最安値、まとめて比較しませんか?

楽天市場とYahoo!ショッピングの価格を横断検索できます

🔍 最安値検索くんで探す →

Follow me!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次