NTT9432|EBITDA4兆円3年延期の実力

※ 本記事は情報通信株リサーチシリーズ一覧の一つです。

「NTTは高配当で安心――でも、なぜ株価は150円前後で足踏みしているのか?」——そう感じていませんか。

2026年5月8日、NTTは中期経営戦略を見直し、「連結EBITDA 4兆円」の達成時期を2027年度から2030年度へ3年後ろ倒ししました。同じ日に過去最高の売上高と、最大2,000億円の自社株買いも発表しています。良い話と悪い話が同時に出たため、実力が見えにくくなっています。

この記事では、NTT(9432)を情報通信株として①ストック/リカーリング構造 ②IT投資サイクルと供給制約 ③規制・政策・競争の3点で独自に整理し、銀行子会社の連結でBSがどう変質したか、グローバル事業の営業益+50.8%のうち何が一過性か、そして予想PER・EV/EBITDA・配当利回りの3手法で理論株価レンジまでを算出しました。

読み終える頃には、「この銘柄の何を見るべきか」が明確になっているはずです。なお本記事は調査分析の情報提供であり、投資判断の最終責任は読者にあります。

【モデル型: 通信キャリア(+SIer・データセンター・金融の複合コングロマリット)】 【需要ドメイン: 通信インフラ + 生成AI/クラウド・DC + 金融/パーソナル】

目次

独自7軸レーティング:★★★★☆(48 / 70点)

公開情報に基づく独自の定量評価です。投資判断を推奨するものではありません。

評価軸 スコア コメント
①成長性 6 / 10 売上は+4.5%予想だが営業利益は横ばい(+0.2%)、純利益は減益予想(-5.5%)。EBITDA4兆円が3年後ろ倒し。DC 300MW→1GWは中長期の伸びしろ
②収益性 6 / 10 営業利益率11.8%はKDDI 18.1%・SB 14.8%に劣後。ROE 10.4%も見劣り。EBITDAマージン約24%は通信として妥当水準
③バリュエーション 8 / 10 予想PER約12.5倍・EV/EBITDA約5.0倍・予想配当利回り3.56%。国内キャリア3社で最も割安。ただし成長率も最も低い
④需給ポジション 8 / 10 最大2,000億円/14億株の自社株買い(2026/5/11〜2027/3/31)、増配継続、日経平均・TOPIXコア30採用、個人株主の裾野が厚い
⑤競争優位性 8 / 10 全国の線路敷設基盤(電柱・管路・とう道)、光・モバイルの巨大顧客基盤、NTTデータの国内SI首位、IOWN関連技術。スイッチングコストは高い
⑥カタリスト 6 / 10 8/3商号変更・8/6第1四半期決算・金融再編と材料は並ぶが、いずれも既知でサプライズ性は限定的
⑦リスク耐性 6 / 10 ストック比率が極めて高く下方硬直性は強い。一方で自己資本比率20.8%へ低下、支払利息+41.6%、のれん2.08兆円が減点
合計 48 / 70 ★★★★☆ 有望

総合56-70=★★★★★/46-55=★★★★☆/36-45=★★★☆☆/26-35=★★☆☆☆/0-25=★☆☆☆☆

会社概要とセグメント構成

NTT株式会社(9432・東証プライム)は、NTTドコモ(モバイル)、NTT東日本・西日本(地域通信)、NTTデータグループ(SI・データセンター)、NTTコミュニケーションズなどを傘下に持つ、国内通信最大手の持株会社です。会計基準はIFRS、決算月は3月(本記事の業績はすべて3月決算ベース。会社呼称の「2025年度」=2026年3月期)。株式は2023年7月に1株→25株の分割を実施済みで、以降のEPS・配当は分割後の1株ベースです。

この1年で持株構成が大きく動きました。2025年9月26日にNTTデータグループ(旧9613)を完全子会社化して上場廃止(投資額約2.3兆円)、2025年10月にはドコモが住信SBIネット銀行を連結子会社化しています。この2件が後述するBSの変質の主因です。

項目 数値(調査時点)
株価 151.3円(2026/7/24終値、前日比+1.6円・+1.06%)
時価総額 約13.70兆円(発行済株式ベース)
発行済株式数 905.50億株
予想PER(FY2027予想EPS 12.10円) 約12.5倍
実績PER(FY2026実績EPS 12.61円) 約12.0倍
PBR 約1.40倍
EV/EBITDA(当日株価で試算) 約5.0倍
ROE(FY2026実績) 10.4%
自己資本比率 20.8%(前期34.0%から低下)
予想配当利回り 約3.56%(FY2027予想配当5.4円/株ベース)

株価・PBR・配当利回りはみんかぶ(2026/7/24時点)、財務数値はEDINETの有価証券報告書・決算短信ベース。

セグメント別(2026年3月期)

売上の約45%を総合ICT(ドコモ中心)、約35%をグローバル・ソリューション(NTTデータ等)が占めます。注目すべきは営業利益の増減が真逆に動いている点です。

セグメント 売上収益 構成比 営業利益 営業利益率 営業利益 前年比
総合ICT事業(ドコモ等) 6兆4,581億円 44.8% 9,421億円 14.6% -7.7%
グローバル・ソリューション事業(NTTデータ等) 5兆46億円 34.7% 4,882億円 9.8% +50.8%
地域通信事業(NTT東西) 3兆2,102億円 22.3% 3,074億円 9.6% +4.0%
その他(不動産・エネルギー等) 1兆7,526億円 12.2% -16億円 -0.1% 赤字転落

構成比の合計が100%を超えるのはセグメント間取引の消去前のため。出典:EDINET有価証券報告書(2026年3月期)のセグメント情報。

情報通信株3視点で読み解くNTT

①ストック/リカーリング構造 ── 高い下方硬直性と、一過性益の分離

NTTの収益はモバイル・光回線・運用保守という典型的なストック型で構成され、業績の下方硬直性は国内屈指です。ドコモのKPIを見ると、解約率0.74%という低水準ARPUは前年から50円増の3,990円と、契約者基盤は崩れていません(いずれもドコモ2025年度第3四半期決算資料ベース。ARPU・解約率の定義は各社で異なるため他社との単純比較は不可)。大容量プラン「ドコモMAX」も250万契約を突破しています。

それでも総合ICT事業の営業利益は前年比-7.7%です。MNP競争の激化による販促費増と端末施策のコスト増が原因で、ドコモは2025年度第3四半期時点で通期営業利益予想を830億円下方修正して8,830億円としました。契約が減っているのではなく、契約を守るコストが上がっている構図です。

一方でグローバル・ソリューション事業の営業利益は+50.8%と急伸していますが、ここはフローとストックの分離が必須です。この増益にはデータセンターのREIT化・譲渡に伴う利益が含まれており、NTTデータグループ側では今期を減益予想としています。つまり+50.8%をそのまま本業の成長率と読むのは誤りで、翌期にはその反動が来ます。会社全体の2027年3月期予想が「増収(+4.5%)なのに営業利益ほぼ横ばい(+0.2%)・純利益減益(-5.5%)」となっている一因がこれです。

②IT投資サイクルと供給制約 ── AI需要は追い風、電力と資本が制約

需要側の環境は良好です。IDCによれば国内AI市場支出額は2025年の2兆3,725億円から2029年に6兆8,897億円へ拡大(2024〜2029年CAGR 36.0%)、2026年の国内AIインフラ支出は前年比18%超増の8,210億円が見込まれています。データセンターとネットワークを両方持つNTTは、この投資サイクルの受け皿に位置します。

NTT自身も2026年5月8日に投資計画を大きく積み増しました。国内データセンターの総容量を現状の約300MWから2033年度に約1GWへ拡張し、向こう5年で2兆円の専用投資枠を設定。2026〜2030年度の5年間で総額約12兆円を投資し、うち約7.5〜8兆円をAI・データセンター・金融などの成長領域に振り向ける計画です。

供給側の制約は明確で、電力確保・DC建設コスト・人件費の3つです。2026年3月期の設備投資は2兆3,260億円(前期2兆874億円)に対し減価償却費は1兆7,910億円で、投資が償却を5,350億円上回る先行投資局面にあります。研究開発費は2,786億円、平均年間給与は1,056万円と人件費も高止まりしています。この投資が償却負担として利益を押し下げるのが、EBITDA目標が後ろ倒しになった構造的な理由です。

③規制・政策・競争 ── NTT法は「廃止せず」で決着

数年来の焦点だったNTT法の見直しは、廃止ではなく必要な規律を維持する方向で決着しました。「電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律」が成立し、2026年5月22日に施行(NTTは5月27日にコメントを公表)。電柱・管路・とう道・局舎といった線路敷設基盤の公共的役割を確認したうえで、研究に係る国際競争力の強化を図る改正が含まれています。

投資家目線での意味は両面です。強気材料としては、研究開示義務の緩和など国際競争力に資する規制緩和が入り、長年の不確実性が一つ解消しました。弱気材料としては、完全な自由化(廃止)というアップサイドは消え、ユニバーサルサービス義務や外資規制などの規律は残ります。競合他社183者が廃止に一貫して反対していた経緯もあり、規制面で他社より不利な条件は今後も続きます。

競争環境では、MNP競争の激化に加え、楽天モバイルの契約者数回復が価格圧力として効いています。一方でKDDI・ソフトバンクも同様に販促費負担を抱えており、業界全体としての値上げ余地はARPU +50円という緩やかなペースにとどまっています。

業績推移(2026年3月期まで実績・2027年3月期は会社予想)

売上は5期連続で増収、2026年3月期は14兆4,091億円と過去最高を更新しました。しかし営業利益率は2024年3月期の14.4%から2027年3月期予想の11.4%まで3年連続で低下する見通しで、ここが最大の論点です。

決算期 売上収益 営業利益 営業利益率 純利益 EPS(分割調整後) 1株配当
2022年3月期 12兆1,564億円 1兆7,686億円 14.6% 1兆1,811億円 13.17円 4.60円
2023年3月期 13兆1,362億円 1兆8,290億円 13.9% 1兆2,131億円 13.92円 4.80円
2024年3月期 13兆3,746億円 1兆9,229億円 14.4% 1兆2,795億円 15.09円 5.10円
2025年3月期 13兆7,047億円 1兆6,496億円 12.0% 1兆16億円 11.96円 5.20円
2026年3月期 14兆4,091億円 1兆7,062億円 11.8% 1兆370億円 12.61円 5.30円
2027年3月期(会社予想) 15兆600億円 1兆7,100億円 11.4% 9,800億円 12.10円 5.40円

出典:EDINET有価証券報告書および2026年5月8日公表の決算短信。EPSは2023年7月実施の1:25株式分割を遡及調整した値。

中期経営戦略の見直し ── EBITDA4兆円が3年後ろ倒し

2026年5月8日、NTTは2023年5月公表の中期経営戦略の一部見直しを取締役会で決議し、2030年度における連結EBITDA 4兆円、金融事業を除いたROIC 5.5%という新たな中期財務目標を設定しました。「連結EBITDA 4兆円」の達成時期は2027年度から2030年度へ3年後ろ倒しされています。会社が挙げた理由はモバイル事業の環境変化による減益です。

新戦略は「New Value Creation 2030 Powered by IOWN & AI」と名付けられ、AIネイティブインフラ「AIOWN」を軸に、国内法人向けAIビジネス、データセンターを軸とした海外事業、金融事業を中心とするパーソナルビジネスの3領域を成長ドライバーに据えています。

この見直しの読み方も両論あります。強気の解釈は、達成不可能な目標に固執せず、投資を積み増して2030年に向けた実力値を作りに行った現実路線という見方。弱気の解釈は、3年前に掲げた計画が3年ずれた事実そのものが計画精度への信頼を損ない、次の目標にも同じリスクが残るという見方です。現在の予想PER 12.5倍という水準は、市場が後者を相応に織り込んだ結果とも読めます。

バリュエーション ── 3手法による理論株価レンジ

NTTは通信キャリアを主軸としつつSI・データセンター・金融を抱える複合体のため、EV/EBITDA(キャリア標準)を主尺度に、配当利回りPERを補助尺度として使います。SaaS向けのPSR/EV-ARRは事業実態に合わないため適用しません。

試算の前提は、2026年3月期実績のEBITDA 3兆4,972億円(営業利益1兆7,062億円+減価償却費1兆7,910億円)、純有利子負債約3.68兆円、発行済株式数905.50億株、2027年3月期会社予想EPS 12.10円・予想配当5.40円です。

手法 前提 理論株価 現値(151.3円)比
EV/EBITDA 5.5倍(過去6年の上限圏) EBITDA 3.50兆円・純有利子負債3.68兆円 約172円 +14%
EV/EBITDA 5.0倍(現状並み) 同上 約152円 +1%
EV/EBITDA 4.5倍(過去6年の下限圏) 同上 約133円 -12%
予想配当利回り 3.3% 2027年3月期予想配当 5.40円 約164円 +8%
予想PER 13倍 2027年3月期予想EPS 12.10円 約157円 +4%
アナリストコンセンサス目標株価 みんかぶ集計(2026年7月14日時点) 169円 +12%

整理すると、理論株価レンジは約133〜172円。現値151.3円はこのレンジのほぼ中央にあり、EV/EBITDAは過去6年(2021年3月期〜2026年3月期で4.4〜5.3倍)のほぼ真ん中の水準です。「明確に割安でも割高でもない」というのが数値上の結論で、上振れにはEBITDA成長の実績が、下振れには競争激化と金利上昇が効くという非対称ではない構図になっています。

※上記は特定の前提に基づく独自の推計であり、目標株価や投資助言ではありません。純有利子負債は銀行子会社の預金を含まないベースで算定しており、算定方法により大きく変動します。

東証 類似情報通信株比較(通信キャリア3社)

同一モデル型(通信キャリア)で比較します。PERは基準を揃えるため、いずれも2026年3月期実績EPS ÷ 2026年7月24日終値で統一しました。

銘柄 コード 時価総額 実績PER 営業利益率 ROE 自己資本比率 配当利回り 特徴
NTT 9432 約13.70兆円 約12.0倍 11.8% 10.4% 20.8% 3.56% 通信+SI+DC+金融の複合。最も割安で最も低成長
KDDI 9433 約11.71兆円 約15.9倍 18.1% 14.0% 26.6% 2.87% au+ライフデザインで高マージン。年初来高値圏
ソフトバンク 9434 約10.64兆円 約19.4倍 14.8% 19.3% 16.0% 3.97% PayPay・LINEヤフー連携。高ROEだが自己資本は薄い

財務指標はEDINET(各社2026年3月期実績)、株価・時価総額・配当利回りはみんかぶ(2026/7/24時点)。尺度差の注記:NTTは銀行子会社を連結しているため自己資本比率とEV/EBITDAは他2社と同一基準での比較になりません。またソフトバンクの自己資本比率の低さは事業構造の違いによるもので、単純な財務健全性の優劣を意味しません。

3社を並べると構図は明快です。NTTは「バリュエーションで買われ、収益性で売られる」ポジションにあります。営業利益率・ROEはKDDI・ソフトバンクに劣後する一方、実績PERは最も低く、配当利回りはソフトバンクに次ぐ水準。KDDIが年初来高値を更新している一方でNTTが150円前後で滞留しているのは、この収益性ギャップが市場評価に反映されているためと解釈できます。

なお同じ情報通信セクターのSIer側の動向は、富士通(6702)の分析記事およびNEC(6701)の分析記事で扱っています。NTTデータの競合環境を見るうえで併読が有効です。投資会社型のソフトバンクグループ(9984)はNAV評価が必要な別モデルです。

カタリストカレンダー(向こう6ヶ月)

時期 イベント 注目度 ポイント
2026年7月 ドコモの金融事業再編(フィナンシャルグループ体制) ★★★ 決済・銀行・保険の統合効果が数字で見え始めるか
2026年8月3日 住信SBIネット銀行が「ドコモSMTBネット銀行」へ商号変更・資本再編 ★★★ 預金11.05兆円・口座915万の顧客基盤との連携施策
2026年8月6日 2026年度第1四半期決算 ★★★★ 総合ICTの販促費、グローバルの一過性益剥落の実額が焦点
2026年秋 自社株買い(最大2,000億円/14億株)の進捗開示 ★★★ 2027年3月31日までの取得ペースが需給を左右
2026年11月上旬 2026年度第2四半期決算・通期予想の見直し ★★★★ 期初予想(営業利益+0.2%)の上下修正の有無
2026年度内 国内DC増設・AIOWN/IOWN商用展開の進捗 ★★★ 300MW→1GW計画の具体的な着工・稼働案件
2027年2月上旬 2026年度第3四半期決算 ★★★ 通期の着地見通しが固まる

財務リスク ── BSが「銀行入り」で質的に変わった

2026年3月期のバランスシートは、それまでと単純比較できません。総資産は30.06兆円から46.72兆円へ16.66兆円増加し、自己資本比率は34.0%から20.8%へ13.2ポイント低下しました。主因は次の2つです。

  • 銀行子会社の連結:ドコモが住信SBIネット銀行(2026年3月末で預金量11兆477億円、口座数915万、住宅ローン残高9兆3,013億円)を連結子会社化。銀行の預金は負債計上されるため、流動負債が8.87兆円から22.33兆円へ13.47兆円増えました。これは事業の悪化ではなく会計上の性質変化であり、自己資本比率の低下を通常の製造業・通信業と同じ物差しで読むと誤ります。
  • NTTデータグループの完全子会社化:約2.3兆円を投じて非支配株主分を買い取った結果、非支配持分は1兆1,231億円から4,899億円へ減少し、のれんは1兆7,191億円から2兆797億円へ増加しました。

そのうえで、実質的に注意すべきリスクは以下です。

リスク項目 数値(2026年3月期) 評価
支払利息 2,401億円(前期1,695億円、+41.6% 買収資金と金利上昇の二重負担。日銀の追加利上げが直接効く
流動有利子負債 4兆3,956億円(前期2兆8,226億円) 短期の借換えリスクが上昇
のれん 2兆797億円 NTTデータ・海外DC買収由来。減損が出れば一撃が大きい
営業キャッシュフロー 1兆4,852億円(前期2兆3,640億円) 銀行連結に伴う運転資本変動の影響が大きく、前期との単純比較は不可
設備投資 vs 減価償却 2兆3,260億円 vs 1兆7,910億円 5,350億円の投資超過。償却負担が今後数年の利益を圧迫

加えて情報通信株に固有のリスクとして、大規模通信障害のレピュテーションリスクがあります。NTTグループの通信サービスは社会インフラであり、一度の障害が行政指導・解約・ブランド毀損に直結します。

まとめ ── 割安さと低収益性のトレードオフ

注目すべき理由(強気材料):予想PER 12.5倍・EV/EBITDA約5.0倍・予想配当利回り3.56%と、国内キャリア3社で最も割安な水準にあります。解約率0.74%という強固なストック基盤に、最大2,000億円の自社株買いと増配継続という株主還元、NTT法見直しの決着による不確実性の解消が重なります。国内AI市場のCAGR 36%という需要環境のなか、DC容量を300MW→1GWへ3倍以上に拡張する計画は、通信とデータセンターの両方を持つ同社の構造的な強みを活かす方向にあります。

手を出すべきでない理由(弱気材料・リスク):営業利益率は14.4%→11.4%(予想)へ3年連続低下し、KDDI 18.1%との差は開いています。EBITDA 4兆円の達成時期が3年後ろ倒しされた事実は計画精度への信頼を損ないました。グローバル事業の営業益+50.8%にはDC譲渡の一過性益が含まれ、翌期は反動が見込まれます。2027年3月期は増収でも純利益は減益予想です。財務面では支払利息が+41.6%と急増しており、金利上昇局面では買収で膨らんだ負債が重荷になります。のれん2.08兆円の減損リスクも残ります。

結論として、NTTは「安い理由がある割安株」という性格が強い銘柄です。バリュエーションのディスカウントは収益性の劣後と成長の後ろ倒しに対する市場の評価であり、これが縮まるかどうかは、2026年8月6日の第1四半期決算以降、AI・データセンター・金融の3領域が実際にEBITDAを押し上げられるかにかかっています。どちらの材料を重く見るかは、読者ご自身の投資方針と時間軸によって変わります。

免責事項・ディスクレーマー

本記事は情報通信・ITサービス関連企業に関する調査分析の情報提供を目的としたものであり、
特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。バリュエーション試算・レーティング・各種予測は
独自の前提条件に基づく推計であり、実際の企業価値や将来の株価を保証するものではありません。
情報通信業はIT投資動向・技術革新・規制/政策変更・競争環境・システム障害等により業績が大幅に
変動する可能性があります。投資判断はご自身の責任において、十分な情報収集と専門家への相談のうえで
行ってください。

本記事の情報は記載日時点の公開情報に基づいています。
筆者は本記事で言及した銘柄のポジションを保有している可能性があります。

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