本記事のステータス:新規(infojuggle.com におけるリミックスポイントの初回調査記事)。金融株ポータルのサブセクター「暗号資産トレジャリー」に登録しています。同じサブセクターのメタプラネット(3350)のレポート、および金融株リサーチ・ポータルも併せてご覧ください。
「予想PER 4.1倍」——株探に表示されるリミックスポイント(3825)の指標を見て、割安だと思われたでしょうか。
この4.1倍という数字は、会社が2026年6月11日に公表した2027年3月期の業績予想(1株益36.28〜78.06円)の中位値から計算されています。ところが公表からわずか2か月で、その予想が立っている前提のうち2つが崩れました。
ひとつは、予想売上の7割前後を占める電力小売事業を、光通信グループに51%売却する基本合意(8月14日)。もうひとつは、暗号資産の評価益を計算した前提価格(1BTC=8.6万〜11.6万ドル)に対し、現在のビットコインが7.8万ドルと下限を9.4%下回っていることです。
この記事では、金融株リサーチの3視点——①金利・調達コスト感応度、②資産健全性、③資本政策と株主還元——を「エネルギー×暗号資産のハイブリッド企業」向けに読み替えて適用し、決算短信・決算補足説明資料・適時開示という一次データで、この会社の中身を分解します。
【業態】暗号資産トレジャリー+系統用蓄電池+電力小売のハイブリッド/東証33業種は小売業(EDINETの提出者業種区分は情報・通信業)。本記事では金融株の分析軸を読み替えて適用する
【需要ドメイン】主要=系統用蓄電池・需給調整市場(GX)/副次=ビットコイン価格、電力市場(JEPX)、資本市場アクセス
【決算月】3月期(本記事の「第1四半期」は2026年4〜6月) 【会計基準】日本基準 【開示通貨】円
【株価基準日】2026年8月21日(金)東証終値。暗号資産価格・為替は2026年8月22日時点
本記事は決算短信・決算補足説明資料・適時開示・EDINETの財務データに基づく調査分析の情報提供です。投資判断の最終責任は読者にあります。
総合評価
| 品質スコア | ★★★☆☆(39/70) |
| 価格判定 | C(適正・SOTP中位 +11.3%)/手法間レンジ ▲1.2%〜+23.8% |
| 資本イベント素地(TOB/MBO) | 1/10(該当なし) |
| 国策アライン度 | 8/10(高い) |
| テーマ適合度 | 24/40(やや高い) |
| 上抜け素地 | 1/6(⑥カタリストに ▲1 調整) |
採点基準は equity-rating-framework v2.2(品質7軸70点/価格判定A〜Eを分離/需給は直近3ヶ月・カタリストは今後3ヶ月の窓)に準拠しています。
7軸スコアと根拠
| 軸 | 点 | 根拠(数値付き) |
|---|---|---|
| ①成長性 | 6 | 第1四半期はエネルギー事業が売上76.27億円(前年同期比+84.3%)、蓄電ソリューション事業が2.97億円(同+29.1%)と両輪で伸長。高圧契約口数は2,300件台から3,625件(41.4万kW)へ、低圧法人は約34,500件へ拡大。一方、連結売上高は60.35億円で▲7.1%の減収(暗号資産の評価損益が売上高に計上されるため)。🔴 成長の主力である電力小売事業は10月1日付で51%を譲渡予定であり、譲渡後の連結成長率は現在の会社予想とは別物になる |
| ②収益性 | 4 | 第1四半期のセグメント営業利益率はエネルギー事業8.0%(6.11億円÷76.27億円)、蓄電ソリューション事業4.4%(0.13億円÷2.97億円)と本業の利益率は高くない。全社は暗号資産評価損19.45億円により営業損失17.17億円。実績ROEは▲22.6%(2026年3月期)。人件費は従業員数272名→179名(▲34.2%)・平均年間給与464.1万円→555.7万円(+19.7%)。暗号資産損益を除いた事業利益(セグメント調整後)は2026年3月期で4.10億円・一人当たり2.29百万円と薄い。労働分配率は連結人件費の開示がなくN/A |
| ③収益の質・連結範囲 | 3 | 🔴 暗号資産の評価損益が「売上高」に計上される(デジタルアセットマネジメント事業の売上=評価損益+レンディング収益)。第1四半期の同事業売上高は▲18.90億円のマイナスで、四半期ごとに売上高が±40億円超振れるため期間比較が成立しない。営業CFは2026年3月期▲121.07億円(暗号資産の取得が営業CFを通る)。加えて10月1日にエネルギー事業が連結から外れ持分法へ移るため、来期以降の連結範囲は現在と別物。非支配株主持分19.97億円(NCパイオニアの連結)も新規発生 |
| ④競争優位性 | 5 | ビットコイン保有1,501.27枚は国内上場企業3位。系統用蓄電所を自社保有10か所(約20MW/約80MWh)、うち需給調整市場参入済2か所。EMSの内製、アグリゲーター機能、補助金支援の累計採択921件(令和8年度は18件・採択率95%)という組み合わせは独立系として差別化されている。一方、ビットコイン保有にも蓄電池開発にも参入障壁はなく、系統用蓄電池は商社・電力・エンジニアリング各社が参入する競争領域 |
| ⑤需給ポジション(直近3ヶ月) | 8 | 3ヶ月騰落率は+29.5%(2026年5月末終値183円→8月21日終値237円)に対し、日経平均は同期間▲0.47%。対日経平均で約+30.0ptの大幅アウトパフォーム。一方、信用買残は3,746.9千株(発行済株式数の2.51%・時価8.9億円)で7月17日の3,205.0千株から+16.9%増加、売残は0.1千株とほぼ皆無で信用倍率は算出不能。楽天証券が8月7日に保有割合5%超を報告するなど個人主体の需給。年初来安値148円(6月)から+60.1%、年初来高値312円(1月)までは+31.6% |
| ⑥カタリスト(今後3ヶ月) | 8 | 本体9点。9月1日(予定)の株式譲渡契約締結、10月1日(予定)の会社分割効力発生と51%譲渡実行、譲渡価額の確定と通期業績予想の修正、光通信への新株予約権発行(資本提携)の詳細決定、11月中旬の第2四半期決算——日付が確定または高い確度で見込める材料が4件以上あり、うち複数が業績・資本政策に直結し未織り込み。上抜け素地1/6により▲1調整 |
| ⑦リスク耐性 | 5 | 自己資本比率は86.5%(2026年3月末)→65.8%(6月末)へ低下。短期借入金は5.00億円→35.00億円へ増加し、現預金27.84億円との差引で純有利子負債7.16億円。🔴 暗号資産の95.7%にあたる142.42億円が「貸付暗号資産」(レンディングで社外にある)で、自己保有は6.35億円のみ。カウンターパーティ・リスクを負っている。一方、事業は暗号資産・蓄電池・電力の3本柱で単一資産集中は緩和されている |
| 合計 39/70 | ★★★☆☆(36-45) | |
上抜け素地チェック(1/6)
①売買代金:直近1ヶ月(8月1〜21日)出来高34,050千株 ÷ 直近3ヶ月平均53,088千株=0.64倍(1.3倍未満・✗)/②上値のしこり:年初来高値312円まで+31.6%(✗)/③信用買残の重石:買残3,746.9千株が7月17日比+16.9%と増加(✗)/④踏み上げ余地:売残0.1千株とほぼ皆無で空売りが存在しない(✗)/⑤浮動株:時価総額353億円・単日売買代金13.78億円で薄くない(✗)/⑥未織り込み材料:譲渡価額の確定、通期予想の修正、光通信への新株予約権発行(○)。
🔴 上抜け素地は「上がりやすさ」ではありません。売買代金が細い・浮動株が薄い状態は悪材料が出たときの下落も同じだけ大きくなるという両刃の性質であり、有利さの指標でも売買タイミングの示唆でもありません。
解釈
品質★3 × 価格C は解釈マトリクス上「中立」に位置します。この銘柄で最も重要なのは、表示されている予想PER 4.1倍が、事業構造の変更と暗号資産の前提価格という2つの点ですでに実態から離れているという事実です。以下、順に確認します。
🔴 最初に押さえる論点——会社予想の前提が2つ崩れている
リミックスポイントは2026年6月11日、いったん「未定」としていた2027年3月期の連結業績予想を公表しました。その中身がこちらです。
| 項目 | 2026年3月期 実績 | 2027年3月期 会社予想(レンジ) |
|---|---|---|
| 売上高 | 177.51億円 | 487.77億円〜561.12億円 |
| 営業利益 | ▲54.77億円 | 67.23億円〜140.58億円 |
| 経常利益 | ▲55.01億円 | 64.85億円〜138.20億円 |
| 親会社株主帰属当期純利益 | ▲47.40億円 | 53.19億円〜114.43億円 |
| 1株当たり当期純利益 | ▲33.89円 | 36.28円〜78.06円 |
セグメント別の内訳は、エネルギー事業 売上366.24億円・利益20.05億円/蓄電ソリューション事業 売上70.45億円・利益10.02億円/デジタルアセットマネジメント事業 売上・利益とも51.07億〜124.42億円です。
前提①:予想売上の7割前後を占める電力小売事業を、51%手放す
2026年8月14日、同社は光通信の子会社である株式会社H-Powerホールディングスとの間で、電力小売事業を承継する子会社「リミックスポイントエネルギー事業分割準備会社」の発行済株式の51%を譲渡する基本合意書を締結しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象事業(2026年3月31日現在) | 売上高210.92億円/資産合計46.73億円/負債合計23.88億円/純資産22.85億円 |
| 譲渡株式数 | 100株のうち51株(譲渡後は当社49%・H-Powerホールディングス51%) |
| 譲渡価額 | 対象会社の純資産額にのれん相当額(85〜95億円を想定)を加算した金額をベースに、持分比率51%を乗じて算出予定(未確定) |
| 譲渡後の位置づけ | 当社の持分法適用関連会社へ異動 |
| 日程 | 基本合意書締結 2026年8月14日 → 株式譲渡契約締結 2026年9月1日(予定) → 実行 2026年10月1日(予定) |
| 業績への影響 | 2027年3月期の個別決算において関係会社株式売却益を特別利益として計上する見込み。金額および連結業績への影響は譲渡価額未確定のため未開示 |
会社は本基本合意書について「法的拘束力を有するものではなく、最終的な条件はデューデリジェンス及び両社の協議を経て締結する株式譲渡契約において確定する」と明記しています。成立が確定した話ではありません。
ただし予定どおり実行された場合の影響は明確です。会社予想のエネルギー事業売上366.24億円は、10月1日以降は連結売上から消えます(上期6か月分のみが連結に残り、下期は持分法で利益の49%だけが取り込まれる形)。予想売上487.77億〜561.12億円のうち下限ベースで75.1%・上限ベースで65.3%を占めるセグメントですから、通期の連結売上高は大幅に下方修正される計算になります。一方で個別決算には特別利益が乗ります。会社は「確定次第速やかにお知らせします」としており、修正内容はまだ開示されていません。
前提②:暗号資産の前提価格を、現在値が下回っている
会社は業績予想の算定にあたり、暗号資産の価格前提を明示しています。現在値と並べます。
| 銘柄 | 下限前提 | 上限前提 | 現在値(2026年8月22日) | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| BTC | 86,000ドル | 116,000ドル | 77,954.75ドル | 下限を9.4%下回る |
| ETH | 2,337.95ドル | 2,744.55ドル | 2,521.54ドル | レンジ内 |
| SOL | 92.21ドル | 108.24ドル | 93.85ドル | レンジ内(下限近辺) |
| XRP | 1.50ドル | 1.76ドル | 1.4498ドル | 下限を3.3%下回る |
| DOGE | 0.10ドル | 0.12ドル | 0.09163ドル | 下限を8.4%下回る |
会社はこの前提のもとで暗号資産評価益47.07億〜120.42億円(1USD=160円換算)を見込み、これがデジタルアセットマネジメント事業のセグメント利益そのものになる構造です。保有の約95%を占めるビットコインが下限前提を下回っている以上、この前提どおりに評価益が出る保証はありません。
🔴 ただし評価の基準日は2027年3月31日です。現在値が前提を下回っていることは、通期の着地を意味しません。逆に、後述のとおり6月30日時点の時価から現在まででビットコインは大きく戻しており、第2四半期(7〜9月)は評価益が出る計算になります。会社予想は「将来の暗号資産価格を保証または予測するものではない」と明記されており、本記事も価格の方向を予想しません。
2027年3月期 第1四半期決算の中身
連結業績(百万円)
| 項目 | 2027年3月期1Q | 2026年3月期1Q | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 6,035 | 6,494 | ▲7.1% |
| 営業利益 | △1,717 | 1,741 | ▲3,458 |
| 経常利益 | △1,775 | 1,760 | ▲3,535 |
| 親会社株主帰属四半期純利益 | △1,774 | 2,283 | ▲4,058 |
| 1株当たり四半期純利益 | △12.11円 | 18.13円 | — |
| 総資産 | 32,642 | — | 前期末27,721 |
| 純資産 | 23,474 | — | 前期末23,988 |
| 自己資本比率 | 65.8% | — | 前期末86.5% |
セグメント別(百万円)
| セグメント | 売上高 1Q | 前年同期 | 営業利益 1Q | 前年同期 |
|---|---|---|---|---|
| 蓄電ソリューション事業 | 297 | 230 | 13 | △9 |
| エネルギー事業 | 7,627 | 4,139 | 611 | 183 |
| デジタルアセットマネジメント事業 | △1,890 | 1,970 | △1,890 | 1,970 |
| その他 | 1 | 153 | 0 | △14 |
| セグメント調整額 | — | — | △452 | △388 |
| 合計 | 6,035 | 6,494 | △1,717 | 1,741 |
この表がこの会社の構造を最もよく表しています。本業(エネルギー+蓄電)は売上79.24億円・営業利益6.24億円と着実ですが、デジタルアセットマネジメント事業の売上高がマイナス18.90億円となり、全社を赤字に沈めています。同事業の売上高には保有暗号資産の評価損益が含まれるためです。
四半期ごとの振れ幅を見ると、デジタルアセット事業の売上高は 2026年3月期1Q +19.70億円 → 2Q +17.68億円 → 3Q ▲47.38億円 → 4Q ▲48.88億円 → 2027年3月期1Q ▲18.90億円。単一セグメントが四半期で±48億円動く会計構造であり、連結の売上高・営業利益から企業の実力を読むことはできません。
暗号資産トレジャリー3視点(金融株の分析軸を読み替える)
① 金利・調達コスト感応度
この会社に預貸金利ざやはありません。金利が効くのは3つの経路です。
経路A:借入コスト。短期借入金は2026年3月末の5.00億円から6月末には35.00億円へ、1四半期で30億円増加しました。現預金27.84億円との差引で純有利子負債は7.16億円。有利子負債の規模自体は純資産234.74億円に対して小さく、金利上昇の直接的な影響は限定的です。
経路B:電力市場(JEPX)を通じた運転資金。第1四半期のJEPXシステムプライスは前年同期9.87円→14.64円(+48.3%)と急騰しました。電力小売は「先に仕入れて後で回収する」ビジネスであり、市場価格の上昇は運転資金負担を増やします。短期借入金の増加はこれと無関係ではないとみられます(推計。会社は借入増加の理由を明示していません)。なお同社は価格転嫁型プランが高圧売上の約78%を占め、調達コストの変動が販売価格に反映される設計にしているとしています。
経路C:実質金利を通じた暗号資産価格。ビットコインは無利息資産のため、米国の実質金利が上がると相対的な保有コストが上昇します。日銀の政策は主にドル円を通じて円建ての評価額に効きます。2026年後半の日銀金融政策決定会合は9月17〜18日、10月29〜30日、12月17〜18日の3回です。
🔴 本記事は日銀・FRBの政策方向を予想するものではありません。利上げ継続シナリオでは円高を通じて円建ての暗号資産評価額に下押し圧力、据え置き・利下げシナリオでは円安と実質金利低下の両面から追い風、という両方向の可能性を併記します。どちらが実現するかは示唆しません。
② 資産健全性——暗号資産の中身と「貸付暗号資産」
会社が開示した2026年6月30日時点の保有内訳と、現在値での試算を並べます。
| 銘柄 | 保有枚数 | 簿価(百万円) | 6/30時価(百万円) | 1Q損益(百万円) | 現在値での時価(推計) |
|---|---|---|---|---|---|
| BTC | 1,501.27086805 | 16,052 | 14,242 | ▲1,810 | 18,606 |
| ETH | 901.44672542 | 293 | 229 | ▲65 | 361 |
| SOL | 13,920.07255868 | 179 | 165 | ▲14 | 208 |
| XRP | 1,191,204.799501 | 249 | 200 | ▲49 | 275 |
| DOGE | 2,802,311.99657 | 40 | 32 | ▲8 | 41 |
| 合計 | — | 16,813 | 14,868 | ▲1,945 | 19,490 |
※「現在値での時価」は2026年8月22日の各通貨価格(BTC 77,954.75ドル、ETH 2,521.54ドル、SOL 93.85ドル、XRP 1.4498ドル、DOGE 0.09163ドル)と1USD=158.98円で本記事が算出した推計値です。会社の開示値ではありません。
ここから読めること。6月30日時点では簿価168.13億円に対し時価148.68億円で19.45億円の評価損を計上しました。しかし現在値では時価が194.90億円まで戻っており、簿価比では+26.77億円のプラス、6月30日比では+46.22億円のプラスという計算になります(いずれも推計)。日本基準では四半期末ごとに時価評価されるため、9月30日の終値がこの水準を維持すれば、第2四半期は大幅な評価益が計上される計算です。第1四半期の赤字だけを見て判断すると構図を読み違えます。
🔴 最大の固有リスク:暗号資産の95.7%が「貸付暗号資産」である。6月30日の連結貸借対照表では、自己保有暗号資産が6.35億円にとどまるのに対し、貸付暗号資産が142.42億円計上されています。同社は保有暗号資産をレンディングに回して利回りを得る運用方針を取っており(2026年2月24日〜6月30日でビットコイン9.9575枚=1億834万円相当を取得、2025年7月〜2026年6月のステーキング収益はETH 1,006万円・SOL 1,779万円)、これは収益機会である一方、貸出先の信用リスク(カウンターパーティ・リスク)を負うことを意味します。自社カストディで保有するメタプラネットとは構造が異なる点です。会社は貸出先の内訳を開示していません。
③ 資本政策・株主還元——ビットコイン価格に連動する配当
2026年6月18日、同社は2027年3月期の配当方針を公表しました。
| 普通配当 | 1株当たり3円(前期実績5円から引き下げ) |
| 特別配当の検討条件 | 2027年3月31日時点でBTCが1BTC=9万ドルを上回って推移している可能性が高いと判断した場合。利益水準・キャッシュフロー・財務状況を総合勘案して最終判断 |
| 目標 | 特別配当を加えて1株当たり5円以上の期末配当 |
| 現在の配当利回り | 1.27%(普通配当3円ベース) |
上場企業がビットコイン価格を明示的に配当基準へ組み込むのは国内では例がないとされています。仕組みとしては合理的で、評価益という「実現していない利益」を配当原資にしないよう、価格水準という客観条件を置いた形です。一方で、現在のビットコインは7.8万ドルで、条件の9万ドルを13.4%下回っています。
資金調達面では、行使価額修正条項付の新株予約権(第24回・第25回)を発行してきた経緯があり、2025年10月・12月、2026年4月には有償ストック・オプションも発行しています。さらに光通信との資本提携は「当社が発行する新株予約権を光通信が取得する方法」で検討中と開示されており、条件は未定です。希薄化の可能性は残っています。
事業別の中身
蓄電ソリューション事業——ここが今後の主力になる
電力小売を手放したあと、この会社の中核になるのが系統用蓄電池です。2026年8月14日時点のKPIが開示されています。
| 項目 | 実績・見込み |
|---|---|
| 自社保有蓄電所数 | 10か所(総定格出力 約20MW/総定格容量 約80MWh) |
| 受電(系統連系)開始済 | 5か所 |
| 需給調整市場 参入済 | 2か所 |
| 想定月間収益(1か所あたり) | 約2,000万円(出力約2MW/容量約8MWh規模の場合) |
| 累計投資額 | 43.5億円(取得予定案件への投資額を含む) |
| 年内開発中・取得予定 | 6か所 |
| 中期経営計画目標 | 2029年3月期までに20か所以上 |
| 販売事業:当期受注済 | 4件・32MWh・受注残高16.8億円 |
| 販売事業:受注見込 | 3件・24MWh・想定金額16.1億円 |
| 参考パイプライン総額 | 32.9億円 |
会社は「投資金額を2〜4年で元本回収」する想定を示しています。ただし「想定月間収益 約2,000万円」は現時点の市場取引価格に基づく同社シミュレーションおよびアグリゲーターの実績値等を踏まえた想定値であり、確定した実績ではありません。10か所のうち収益化フェーズ(受電開始済)は5か所、需給調整市場に参入済なのは2か所です。
2026年8月17日にはREXEV・ナピルとの業務提携(EMSを中核としたエネルギープラットフォーム構築)、8月19日には熊本県玉名市の系統用蓄電所の需給調整市場参入が開示されています。また系統用蓄電池を保有する合同会社NCパイオニアを2026年6月11日に連結子会社化し、当期の寄与を売上5.06億円・営業利益2.88億円と見込んでいます。
エネルギー事業——数字は絶好調、しかし10月に手放す
| KPI | 2026年3月期1Q | 2027年3月期1Q | 増減 |
|---|---|---|---|
| セグメント売上高 | 41.39億円 | 76.27億円 | +84.3% |
| セグメント営業利益 | 1.83億円 | 6.11億円 | +233.9% |
| 高圧 販売電力量 | 14,095万kWh | 22,820万kWh | +61.9% |
| 低圧 販売電力量 | 3,561万kWh | 5,199万kWh | +46.0% |
| 高圧 契約口数 | 約1,960件 | 3,625件(41.4万kW) | — |
| 低圧法人 契約口数 | 約20,000件 | 約34,500件 | — |
| 低圧一般家庭 契約口数 | 約15,700件 | 約26,900件 | — |
| JEPXシステムプライス | 9.87円 | 14.64円 | +48.3% |
契約基盤の拡大とJEPX価格上昇が重なり、四半期としては過去最高水準の伸びです。この事業を、いま最も伸びているタイミングで51%手放すという判断をどう評価するかが、この銘柄の解釈を分けます。
会社側の説明は「経営資源を蓄電池事業をはじめとする成長領域へ重点的に配分する」「H-Powerホールディングスが有する経営資源を最大限に活用することで顧客獲得の効率化や事業規模の飛躍的な拡大等が見込まれる」というものです。49%を保有し続けるため、光通信グループの営業基盤を得た同事業の成長は持分法を通じて取り込めます。他方、電力小売は市場価格変動リスクと運転資金負担が大きい事業であり、リスクを51%分オフバランス化する選択という読み方もできます。会社はこの点について明示的な説明をしていません。
デジタルアセットマネジメント事業——保有・運用とディープテック
暗号資産の保有・運用(レンディング/ステーキング)に加え、2026年7月にディープテック専門メディア「DEEPPOINT」をプレリリースし、日本アジア投資(JAIC)と基本合意書を締結しています。AI・半導体・量子技術・宇宙・核融合・ロボティクス・次世代エネルギー等の情報発信を起点に、出資・M&A・共同事業につなげる構想です。現時点で当該メディアからの売上・利益の開示はなく、業績への寄与は確認できません。
バリュエーション——SOTP法による試算
🔴 本銘柄にFCFベースのDCFは適用しません。企業価値の過半が保有暗号資産の時価で構成され、かつ事業構成が10月に大きく変わるため、将来キャッシュフローの連続性が成立しないためです。また予想PERも使いません——前述のとおり会社予想の前提が2つ崩れており、EPS予想の信頼性が低いためです。ここではSOTP(部分の合計)で評価します。
前提
- 暗号資産:8月22日時点の各通貨価格・1USD=158.98円で算出した194.90億円(推計)
- 営業投資有価証券:6月30日簿価4.22億円
- エネルギー事業(100%):譲渡価額の算定式(純資産22.85億円+のれん相当額85〜95億円)に準拠し107.85億〜117.85億円(推計。51%は現金化され49%は持分法資産として残るため、合計=100%分として評価)
- 蓄電ソリューション事業:下限は累計投資額43.50億円、上限は会社予想セグメント利益10.02億円の12倍=120.24億円(推計)
- 現預金27.84億円を加算、短期借入金35.00億円を控除
- 株式数は自己株式を除く146,609,800株
試算結果
| シナリオ | 暗号資産 | エネルギー | 蓄電 | SOTP合計 | 理論株価 | 現在株価比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 保守 | 194.90億円 | 107.85億円 | 43.50億円 | 343.31億円 | 234円 | ▲1.2% |
| 中位 | 194.90億円 | 112.85億円 | 81.87億円 | 386.68億円 | 264円 | +11.3% |
| 強気 | 194.90億円 | 117.85億円 | 120.24億円 | 430.05億円 | 293円 | +23.8% |
ビットコイン価格別の感応度(エネルギー・蓄電は中位固定)
| BTC価格 | 暗号資産評価額 | SOTP合計 | 理論株価 | 現在株価比 |
|---|---|---|---|---|
| 60,000ドル | 152.05億円 | 342.12億円 | 233円 | ▲1.5% |
| 77,955ドル(現在値) | 194.90億円 | 384.97億円 | 263円 | +10.8% |
| 86,000ドル(会社前提の下限) | 214.10億円 | 404.17億円 | 276円 | +16.3% |
| 116,000ドル(会社前提の上限) | 285.70億円 | 475.77億円 | 325円 | +36.9% |
※すべて算出値・推計値です。「理論株価」は現時点の資産・負債・株式数と上記の事業価値仮定のもとでのSOTPを株数で割った値であり、目標株価でも将来の株価予測でもありません。エネルギー事業の評価に用いた「のれん相当額85〜95億円」は会社が想定として開示した数値ですが、譲渡価額は未確定であり、基本合意書に法的拘束力はありません。コンセンサス目標株価は、国内証券のカバレッジを確認できなかったためN/Aとします。
結論として、価格判定はC(適正)です。中位ケース+11.3%は判定レンジ▲15%〜+15%の中に収まります。ビットコインが下がっても上がっても、この会社の価値の約半分(暗号資産194.90億円÷時価総額353.24億円=55.2%)が動くという構造は押さえておく必要があります。
Peer比較
国内:ビットコイン保有上場企業(2026年8月22日時点・1ドル=158.83円ベース)
| 企業 | BTC保有量 | 時価総額 | mNAV | 位置づけ |
|---|---|---|---|---|
| メタプラネット(3350) | 43,000 | 3,920.7億円 | 0.78倍 | 実質ピュアプレイ。自社カストディで保有 |
| ネクソン(3659) | 1,717 | 25,547.1億円 | 127.84倍 | ゲーム本業。株価はBTCに連動しない |
| リミックスポイント(3825) | 1,491〜1,501 | 353.2億円 | 2.03倍 | エネルギー・蓄電池とのハイブリッド。暗号資産の95.7%はレンディング中 |
| ANAPホールディングス(3189) | 1,432 | 70.9億円 | 0.43倍 | アパレル出自。最も深いNAV割れ |
※BTC保有量は情報源により1,491枚(第三者集計)と1,501.27枚(会社開示・2026年6月30日時点でレンディング報酬受領分を含む)に差があります。本記事の試算は会社開示の1,501.27086805枚を用いています。
mNAV 2.03倍という数字を、メタプラネットの0.78倍と直接比べてはいけません。リミックスポイントの時価総額には、暗号資産に加えて電力小売事業(譲渡価額の算定式ベースで107.85億〜117.85億円相当)と蓄電ソリューション事業(累計投資額43.5億円)が含まれているためです。暗号資産だけを取り出した「純粋なトレジャリー倍率」としてのmNAVは、事業を持つ会社では意味を持ちません。だからこそ本記事はSOTPで評価しています。
カタリストカレンダー(2026年8月下旬〜2027年2月)
| 時期 | 内容 | 影響度 | 織り込み度 |
|---|---|---|---|
| 2026年9月1日(予定) | エネルギー事業分割準備会社の株式譲渡契約締結。デューデリジェンスを経て譲渡価額が確定 | ★★★★☆ | 一部織込 |
| 2026年9月17〜18日 | 日銀 金融政策決定会合(ドル円経由で円建て暗号資産評価額に影響) | ★★★☆☆ | 一部織込 |
| 2026年9月30日 | 第2四半期末。暗号資産の時価評価基準日(6月30日比で大幅な評価差が生じる計算) | ★★★★☆ | 未織込 |
| 2026年10月1日(予定) | 会社分割の効力発生と51%株式譲渡の実行。電力小売事業が連結から外れ持分法へ。個別決算で関係会社株式売却益を特別利益計上見込み | ★★★★★ | 一部織込 |
| 実行後 速やかに | 通期連結業績予想の修正。会社は「確定次第速やかにお知らせ」としている | ★★★★★ | 未織込 |
| 2026年10月29〜30日 | 日銀 金融政策決定会合 | ★★★☆☆ | 一部織込 |
| 2026年11月中旬(推定) | 2027年3月期 第2四半期決算(前年実績11月14日からの推定・会社未公表) | ★★★★☆ | 未織込 |
| 2026年12月17〜18日 | 日銀 金融政策決定会合 | ★★★☆☆ | 未織込 |
| 2027年2月中旬(推定) | 2027年3月期 第3四半期決算(前年実績2月13日からの推定・会社未公表) | ★★★☆☆ | 未織込 |
| 時期未定 | 光通信への新株予約権発行(資本提携)の条件決定/系統用蓄電所の受電開始・需給調整市場参入(年内6か所開発中)/暗号資産の追加取得・運用実績開示 | ★★★★☆ | 未織込 |
※「推定」と付した日程は会社が公表したものではなく、前年の開示実績からの推定です。日銀会合日程は日本銀行公表のスケジュールによります。
財務リスク・その他のリスク
- 会計構造そのもののリスク。暗号資産の評価損益が売上高に計上されるため、単一セグメントの売上高が四半期で±48億円振れます。売上高・営業利益から実力を読めない決算であり、投資家側に読み替えの手間を強います。
- 貸付暗号資産142.42億円のカウンターパーティ・リスク。暗号資産の95.7%が社外にあり、貸出先の内訳は開示されていません。
- 基本合意の不成立リスク。電力小売事業の51%譲渡も、光通信との資本業務提携も、いずれも法的拘束力のない基本合意の段階です。譲渡価額(のれん85〜95億円想定)も未確定です。
- 希薄化リスク。行使価額修正条項付新株予約権の発行歴があり、光通信への資本提携も新株予約権の発行方式で検討中。条件は未定です。
- 財務レバレッジの上昇。自己資本比率は86.5%→65.8%へ低下、短期借入金は5.00億円→35.00億円へ増加しました。
- 信用需給。買残3,746.9千株(発行済の2.51%)に対し売残0.1千株。空売りがほぼ存在せず、下落局面で買い方の投げを吸収する主体が乏しい需給構造です。
- 規制リスク。JPXが暗号資産トレジャリー企業への規制強化を検討していると2025年11月に報じられました(方針は未確定)。2028年からの暗号資産20%申告分離課税は、個人が直接保有しやすくなる方向の変化です。
- 株主構成。最大株主でも2.55%と極めて分散しており、安定株主は事実上存在しません。楽天証券が5%超の報告と5%未満への減少を繰り返しており、個人の売買が需給を支配しています。
テーマ適合度の内訳(24/40・やや高い)
テーマの定義:「系統用蓄電池・エネルギープラットフォーム」=再生可能エネルギーの導入拡大に伴う系統安定化ニーズを、蓄電池の保有・運用と需給調整市場/容量市場への参入で収益化する事業モデル。判断軸のうち①政策・規制の裏付け(需給調整市場・容量市場の制度整備、エネルギー基本計画)、③第三者TAM、④実装マイルストーン(2029年3月期までに20か所以上)、⑤大手の資金投入(光通信との提携)、⑥市場の関心——を満たすためテーマとして認定します。暗号資産トレジャリーは副次テーマとして扱います。
| 軸 | 点 | 根拠 |
|---|---|---|
| ①量的寄与 | 6 | 蓄電ソリューション事業は会社予想で売上70.45億円/全社予想487.77億〜561.12億円の12.6〜14.4%。ただし第1四半期実績では売上2.97億円/全社60.35億円の4.9%にとどまる |
| ②純度 | 6 | 時価総額353.2億円の小型株。ただし現時点では暗号資産・電力小売・蓄電の3事業構成でピュアプレイではない。10月の電力小売譲渡後は純度が上がる |
| ③サイクル位置 | 7 | 拡大局面。需給調整市場・容量市場の制度整備が進み参入企業が増えている。ただし当社株自体は2025年5月に701円の高値をつけた暗号資産テーマの大相場を経験しており、そこからは▲66.2% |
| ④希少性 | 5 | 系統用蓄電池の関連上場銘柄は商社・電力・エンジニアリング・独立系と多数存在。当社は自社保有10か所・EMS内製・アグリゲーター機能を持つ独立系としては上位だが、代替は効く |
🔴 ①量的寄与6点と③サイクル位置7点の乖離を明記します。テーマ(系統用蓄電池)は制度整備を追い風に拡大局面にありますが、現時点で蓄電ソリューション事業が全社売上に占める比率は4.9%にすぎません。10月の電力小売譲渡後にこの比率が跳ね上がるのは分母が縮むためであり、蓄電事業そのものの絶対額の成長とは別の話です。この区別を混同すると「主力事業になった=成長した」と読み違えます。また、純度と希少性は両刃です——テーマが失速したときの下落も同じだけ大きくなるという意味であり、有利さの指標ではありません。
国策アライン度(8/10・高い)
本銘柄はこのオーバーレイの評価が高く出ます。理由は「到達経路」が数字で確認できる点にあります。
- 予算・制度の裏付け(項目1・2・4・6・9):系統用蓄電池と省エネは経産省「省エネ・非化石転換補助金」、環境省「業務産業用蓄電システム導入支援事業」「ストレージパリティ」等の対象。同社はエネマネ事業者(令和7年度補正予算登録)・ZEBプランナーとして登録済み。需給調整市場・容量市場は制度として需要が担保されている
- 🔴 項目7(当該企業の到達経路):充足。補助金支援コンサルティングで累計採択件数921件(平成25年度補正予算〜現在)、令和8年度は18件・採択率95%(2026年6月30日時点)。系統用蓄電所を10か所保有し、うち2か所が需給調整市場に参入済
- 🔴 項目8(過去の売上計上実績):充足。補助金支援コンサルティングは蓄電ソリューション事業のセグメント売上として計上されている
- 項目10(中計への組み込み):充足。2029年3月期までに自社保有20か所以上という目標を公表
- 非該当:経済安全保障の枠組み(項目5)、複数年度基金としての措置(項目3)は確認できず
進行段階は「④商業化」。受電開始済5か所・需給調整市場参入済2か所と、すでに売上が立つ段階にあります。ただし政策の追い風があることと、同社の利益が実際に伸びることは別の命題です。蓄電ソリューション事業の第1四半期営業利益は0.13億円、会社予想でも通期10.02億円であり、時価総額353.2億円に対する寄与はまだ限定的です。
資本イベント素地(1/10・該当なし)
PBRは1.62倍で1倍割れではなく、支配株主・親子上場の関係もなく(最大株主は個人で2.55%)、経営陣の持株比率も低く、流動性も十分です。該当したのは「保有資産(暗号資産194.90億円)の時価が時価総額353.2億円の55.2%を占める」の1項目のみです。
🔴 なお、光通信が当社の新株予約権を取得する資本提携が協議中であることは会社が開示した事実ですが、これは業務提携に伴う資本参加の検討であり、本記事はその先の展開について一切予想しません。
まとめ——強気材料と弱気材料
強気側の材料。
- 暗号資産は6月30日時点で19.45億円の評価損を計上したが、現在値では簿価比+26.77億円のプラスに転じている計算(推計)。9月30日の水準次第で第2四半期は大幅な評価益となる。
- 本業(エネルギー+蓄電)は第1四半期で売上79.24億円・営業利益6.24億円。エネルギー事業は前年同期比+84.3%増収・+233.9%増益と数字自体は絶好調。
- 光通信という国内屈指の営業基盤(売上収益7,348億円・営業利益1,167億円)との提携が、蓄電池事業の全国展開と電力小売の成長の両面で成立した。
- 系統用蓄電池は国策の到達経路が数字で確認できる数少ない銘柄(補助金採択921件、需給調整市場参入済2か所)。中計目標20か所以上に対し10か所+年内6か所開発中。
- 3ヶ月騰落率+29.5%で日経平均を約30pt上回る需給。
- BTC 9万ドル超なら特別配当という国内に例のない還元方針を明示。
弱気側の材料。
- 表示されている予想PER 4.1倍は実態から離れている。予想売上の7割前後を占める電力小売事業を51%手放す基本合意が済んでおり、通期予想は修正が見込まれる。
- 暗号資産の前提価格を現在値が下回っている(BTCは下限比▲9.4%、XRP▲3.3%、DOGE▲8.4%)。
- 暗号資産の95.7%(142.42億円)がレンディングで社外にある。貸出先は非開示。
- 暗号資産の評価損益が売上高に計上されるため、連結の売上高・営業利益から実力が読めない。四半期で±48億円振れる。
- 本業の利益率は薄い(エネルギー8.0%、蓄電4.4%)。暗号資産損益を除いた事業利益は2026年3月期で4.10億円・一人当たり2.29百万円。
- 自己資本比率86.5%→65.8%、短期借入金5億円→35億円。1四半期での財務変化が大きい。
- 基本合意はいずれも法的拘束力を持たない。新株予約権による希薄化の可能性も残る。
- 信用買残が発行済の2.51%まで積み上がり、売残はほぼゼロ。
結論として。リミックスポイントは「暗号資産・電力小売・系統用蓄電池という3つの別物を、10月1日を境に組み替えている途中の会社」です。品質★3(39/70)は、本業の成長と国策への接続を評価する一方、収益の質(暗号資産損益が売上に乗る会計構造)と収益性の薄さを減点した結果です。価格判定C(SOTP中位+11.3%、レンジ▲1.2%〜+23.8%)は、暗号資産・電力小売・蓄電池をそれぞれ別に値付けして足し上げると、現在の株価はおおむね妥当な水準にあることを示しています。PER 4.1倍という表示だけを見て割安と判断するのは、この会社に関しては誤りです。
今後3ヶ月で確認すべき点は明快です。①9月1日の株式譲渡契約でのれん相当額と譲渡価額がいくらで確定するか、②10月1日の実行後に通期予想がどう修正されるか、③9月30日の暗号資産時価がいくらになるか、④光通信への新株予約権発行の条件(希薄化の規模)——この4点が、いま見えている数字のほとんどを書き換えます。
免責事項・ディスクレーマー
本記事は金融関連企業に関する調査分析の情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。バリュエーション試算・レーティング・各種シナリオは独自の前提条件に基づく推計であり、実際の企業価値や将来の株価を保証するものではありません。暗号資産を保有する企業は、暗号資産価格・金融政策・為替・規制変更・市場変動等により業績および純資産が極めて大幅に変動する可能性があります。電力小売事業は電力市場価格(JEPX)の変動により損益が大きく振れます。本記事で言及した資本業務提携および株式譲渡はいずれも法的拘束力のない基本合意の段階であり、成立・条件は確定していません。金利や金融政策に関する記述は特定の政策予想を示すものではありません。投資判断はご自身の責任において、十分な情報収集と専門家への相談のうえで行ってください。
本記事の情報は記載日時点の公開情報に基づいています。株価・時価総額は2026年8月21日東証終値、暗号資産価格・為替は2026年8月22日時点の値を使用しています。筆者は本記事で言及した銘柄のポジションを保有している可能性があります。