りそなHD 8308|個人預金63%の利上げ耐性と住宅ローン17兆円のリアル

本記事のステータス:新規(infojuggle.com におけるりそなホールディングスの初回調査記事)。金融株ポータルのサブセクター「メガバンク・信託」に登録しています。同じサブセクターの三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)三井住友フィナンシャルグループ(8316)みずほフィナンシャルグループ(8411)のレポート、および金融株リサーチ・ポータルも併せてご覧ください。

「政策金利が引き上げられたとき、もっとも直接的に預貸金利回差が拡大するのはどの銀行か」——銀行株を比較する際、メガ3行だけに目を奪われていると、もっとも重要な構造的勝者を見落とすことになります。

三菱UFJ・三井住友・みずほの3メガバンクは海外貸出や外債運用、大企業向けCIBの比率が高く、米金利動向や海外景気の影響を強く受けます。これに対し、国内預金約63.4兆円のうち約62.6%(39.7兆円)が個人預金で占められ、国内貸出金約48.8兆円のうち約36.5%(17.8兆円)が住宅ローンという、極めて純度の高いリテール構造を持つのが、株式会社りそなホールディングス(8308)です。

粘着性の高い個人預金は金利上昇局面での調達コストの上昇が緩やかであり、貸出利息の上昇がそのまま利鞘拡大に直結します。2027年3月期第1四半期の業務粗利益は前年同期比+12.1%(+235億円)の2,178億円に達し、経費率(OHR)は55.9%へと一段と改善しました。一方で、国内トップの住宅ローンポートフォリオは「5年ルール・125%ルール」による元金返済の遅延懸念や、急激な利上げに伴う家計負担増というリスクも内包しています。

この記事では、金融株リサーチの3視点——①金利感応度/②信用コスト・資産健全性/③資本政策・株主還元——を、2027年3月期第1四半期決算短信・決算ハイライト・中期経営計画・有価証券報告書という一次資料で定量化します。読み終える頃には、「国内金利正常化の恩恵がどこまで株価に織り込まれ、個人預金と住宅ローンの両刃の剣をどう評価すべきか」を自分で判断する材料が揃っているはずです。

【業態】都市銀行・信託併営持株会社(りそな銀行・埼玉りそな銀行・関西みらい銀行・みなと銀行)/東証33業種は銀行業
【需要ドメイン】主要=国内金利正常化/副次=リテール・資産承継(信託機能)中小企業向けDX・キャッシュレス
【株価基準日】2026年9月11日終値 2,522円(年初来高値 2,601円・2026年9月3日/時価総額 5兆8,186億円)

なお本記事は公開情報に基づく調査分析の情報提供であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断の最終責任は読者にあります。

目次

総合評価

品質スコア ★★★★☆(52/70)
価格判定 C(適正・ベースシナリオ ▲2.8%)/手法間レンジ ▲15.6%〜+8.4%
資本イベント素地(TOB/MBO) 1/10(該当なし)
国策アライン度 5/10(中程度・国内金利正常化と資産運用立国)
テーマ適合度 14/40(国内リテール・金利正常化に高適合)
上抜け素地 3/6(日銀追加利上げ・自社株買い発表の期待)

採点基準は equity-rating-framework v2.2(品質7軸70点/価格判定A〜Eを分離/需給は直近3ヶ月・カタリストは今後3ヶ月の窓)に準拠しています。

7軸スコアと根拠

根拠(数値付き)
①成長性 7 親会社株主純利益は2022年3月期1,099億円→2024年3月期1,589億円→2026年3月期2,587億円と4期CAGR +23.9%。2027年3月期は期初目標3,100億円(+19.8%)、通期目標3,300億円視野。1Q実績は純利益805億円(前年同期比+14.2%・進捗率25.9%)と順調。ただし成長の牽引役は国内金利正常化に伴う預貸金利鞘拡大であり、量的成長は年率2〜3%の巡航速度にとどまる
②収益性 8 東証基準ROEは2025年3月期7.8%→2026年3月期9.18%→2027年3月期予想10.5%〜11.0%と10%台に乗せる軌道。経費率(OHR)は2022年3月期69.1%→2024年3月期66.3%→2026年3月期57.5%→2027年1Q 55.9%(前年同期比△1.6pt改善)と急激に効率化が進展。りそなグループアプリ(600万DL突破)や共通プラットフォーム化による支店改革が固定費圧縮に寄与
③収益の質・連結範囲 7 1Qの業務粗利益2,178億円のうち資金利益1,631億円(74.9%)、役務取引等利益548億円+信託報酬67億円(28.2%)と、顧客向け本業利益が95%以上を占める。株式等関係損益206億円(前年同期比+37億円)は政策保有株売却益を含む一過性だが、経常利益1,162億円の17.7%とメガ3行(20〜25%)より依存度は低い。市場部門損益(▲69億円)の振れも限定的
④競争優位性 8 国内第4位の預金量(63.4兆円)・貸出金(48.8兆円)。普通銀行でありながら信託併営認可を持つ国内唯一の商業銀行グループ。首都圏(りそな・埼玉りそな)と関西圏(関西みらい・みなと)の2大メガマーケットを網羅。リテール貸出比率約80%、個人預金比率62.6%、住宅ローン残高17.8兆円は国内トップ。ただし海外ネットワークや国際金融業務の規模ではメガ3行に大きく劣る
⑤需給ポジション(直近3ヶ月) 6 株価は2026年6月初1,980円水準から9月3日に年初来高値2,601円まで急伸(3ヶ月+27.4%)。信用倍率は6.94倍(9月4日時点・買残291.2万株/売残41.9万株)と、三井住友(16.87倍)やみずほ(11.13倍)と比べて信用買い残の偏りが小さく需給構造は健全。1日売買代金は約341億円(9/11)と高流動性を維持
⑥カタリスト(今後3ヶ月) 8 2026年9月17〜18日および10月29〜30日の日銀金融政策決定会合、11月中旬の中間決算発表。日銀利上げ時の国内預貸金利鞘拡大メリットが最も純粋に反映される銘柄特性。中間決算での通期業績上方修正(3,100億円→3,300億円水準)や自社株買いの追加発表が焦点。上抜け素地は3/6
⑦リスク耐性 8 不良債権比率1.02%(2026年6月末)は2024年3月末1.34%→2025年3月末1.17%→2026年3月末1.05%から改善基調を維持。1Q与信費用はわずか▲13億円と極めて低位。自己資本比率(国内基準)は12.65%と健全水準。リスクは住宅ローン金利上昇時の家計負担増と返済延滞リスク、預金獲得競争激化による調達コスト急上昇
合計 52 ★★★★☆(46〜55の帯・リテール金融として高評価)

会社概要と業態・セグメント

会社名 株式会社りそなホールディングス(Resona Holdings, Inc.)
証券コード/市場 8308/東証プライム(EDINETコード E03628)
業態 都市銀行・信託併営持株会社。りそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらいフィナンシャルグループ(関西みらい銀行、みなと銀行)等を統括
決算期 3月期
取締役兼代表執行役社長 グループCEO 南 昌宏
株価(2026/9/11終値) 2,522円(前日比 +33.5円・+1.35%/年初来高値 2,601円)
時価総額/発行済株式数 5兆8,186億円/2,307,136,666株
予想PER 17.20倍(2,522円 ÷ 会社予想EPS 146.67円)
PBR 1.88倍(BPS 1,341.40円=2026年6月末純資産ベース)
予想配当利回り 1.47%(年間37.00円・前年30.0円から増配)
信用倍率 6.94倍(2026年9月4日時点・買残291.2万株/売残41.9万株)
52週高値/安値 2,601円(2026/9/3)/1,514円(2026/1/5)
単元株数 100株(最低購入代金 約25.2万円)

🔴 銀行持株会社には「売上高」「営業利益」が存在しません。本記事では業務粗利益・資金利益・役務取引等利益・実質業務純益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益という銀行固有のKPIで分析を行います。

2027年3月期 第1四半期(2026年4〜6月)決算の実態

項目(億円) 26年度1Q (2027/3期1Q) 前年同期比 26年度通期目標 進捗率
業務粗利益 2,178 +235(+12.1%)
 うち資金利益 1,631 +198(+13.8%)
 うち信託報酬 67 +5(+8.1%)
 うち役務取引等利益 548 +32(+6.2%)
 うちその他業務損益 ▲69 ▲0
営業経費 ▲1,219 ▲77(+6.7%)
経費率 (OHR) 55.9% △1.6pt改善
実質業務純益 959 +158(+19.7%)
株式等関係損益 (先物込) 206 +37(+21.9%)
与信関係費用 ▲13 ▲22 低位安定
その他損益等 11 +14
税金等調整前純利益 1,161 +187(+19.2%)
親会社株主に帰属する純利益 805 +99(+14.2%) 3,100 25.9%

出典:りそなホールディングス 2027年3月期第1四半期決算短信、決算ハイライト(2026年7月31日開示)。

決算の最重要ポイントは、「国内貸出利息と有価証券利息配当金の増加により、資金利益が四半期で1,631億円(前年比+198億円)へと力強く拡大したこと」です。日銀の利上げ(2026年6月に政策金利1.00%へ引き上げ)に伴い、貸出金利回りが着実に上昇する一方で、預金の多くを占める個人普通預金の調達コスト上昇は限定的であり、利鞘(スプレッド)の拡大が本業利益を押し上げる理想的な構図が確認されました。

金融株3視点①:金利感応度

個人預金比率62.6%がもたらす圧倒的な調達アドバンテージ

金利上昇局面において銀行の収益性を決定づけるのは、「貸出金利の上昇スピード」と「預金金利(調達コスト)の上昇スピード」のギャップです。

預金・貸出金構造(グループ銀行合算・2026年6月末) 残高(億円) 構成比 金利上昇時の特性
預金残高 合計 633,507 100.0% グループ全体での調達原資
うち 個人預金 396,573 62.6% 極めて粘着性が高く、金利引き上げ競争に巻き込まれにくい「低コスト預金」
うち 法人預金・その他 236,934 37.4% 市場金利への感応度が高いが大企業比率はメガバンクより低い
貸出金残高 合計 488,201 100.0% 前年同期比で約1兆円の増加基調
うち 住宅ローン 178,394 36.5% 国内銀行トップの残高。変動金利比率が高く、基準金利見直しで収益増
うち 中小企業・リテール貸出 約212,000 約43.4% 短期プライムレート連動貸出が多く利上げ効果が即座に発現
うち 大企業・公共法人等 約97,800 約20.1% スプレッド競争はあるが金利引き上げを順次反映

りそなの最大の特徴は、グループ貸出金の約80%が中小企業および個人向け(住宅ローン等)で占められる点です。大企業向け貸出は低マージンになりがちですが、中小企業貸出は短期プライムレート連動が多く、日銀の政策金利引き上げが即座に貸出金利へ転嫁されます。

金利感応度の試算

  • 政策金利+0.25%あたりの資金利益影響額:グループ銀行合算で年間+300億〜+400億円規模の押し上げ要因(満期到来に伴う利回り改善を含む)。
  • 預貸金利回差(スプレッド):2026年3月期の国内預貸金利回差は前年同期比で着実に反転拡大しており、1Qにおいてもその勢いが維持されています。

住宅ローン17.8兆円の光と影

りそなは国内最大の住宅ローン残高(17.8兆円)を誇ります。このポートフォリオは金利上昇の恩恵を受ける一方、固有の制度的留意点があります:

  1. 変動金利の金利見直し:日銀の利上げを受けて短期プライムレートを引き上げたことで、変動金利型住宅ローンの基準金利も引き上げられ、利息収入の増加要因となります。
  2. 「5年ルール・125%ルール」の影響:一般的な変動金利住宅ローンでは、金利が上昇しても5年間は毎月の返済額が変わらず、増額時も従来の1.25倍が上限となります。このため、利息負担が増えた分だけ毎月の返済額に占める元金充当分が減少し、銀行側としては「受取利息は増えるが元金回収が長期化する」というキャッシュフロー特性を持ちます。
  3. 家計負担増と信用リスク:物価高と住宅ローン金利上昇が重なることで、一部の限界的家計における返済余力低下が懸念されますが、りそなの住宅ローン審査基準と保証会社による保全により、現時点で不良債権化の兆候は見られません。

🔴 両論併記:金利シナリオ

シナリオ 想定 りそなHD(8308)への影響
利上げ継続シナリオ 日銀が2026年後半〜2027年に政策金利を1.25%〜1.50%へ引き上げ 資金利益は年間+600億円以上の追加押し上げ。個人預金比率の高さが最大の武器となり、ROEは11%台後半へ加速。一方で保有債券(円債)の含み損拡大と住宅着工減速が下押しリスク
据え置き・減速シナリオ 景気配慮から政策金利1.00%で長期間据え置き 現在の水準でも前期比大幅増益(通期純利益3,100億〜3,300億円)を十分達成可能。ただし利上げ加速を見込んだ市場の期待値剥落により、PBR1.8倍台からのマルチプル調整リスク

金融株3視点②:信用コスト・資産健全性

与信関係費用と不良債権比率の推移

期別 不良債権残高(億円) 不良債権比率 与信費用総額(億円) 備考
2022年3月期 5,382 1.32% ▲587 コロナ禍対応の予防的引当
2023年3月期 5,502 1.29% ▲159 低位安定推移
2024年3月期 5,911 1.34% ▲356 大口先再建支援等の個別要因
2025年3月期 5,380 1.17% ▲115 改善軌道へ
2026年3月期 5,162 1.05% ▲140 資産査定の厳格化と回収進展
2027年3月期 1Q 5,120 1.02% ▲13 不良債権比率は1.0%割れ目前、四半期与信費用はわずか13億円

りそなの資産健全性は過去最高水準にあります。2000年代初頭の公的資金注入(りそなショック)を経験した同社は、信用リスク管理の規律が極めて強固であり、中小企業向け融資が中心でありながら不良債権比率は1.02%まで低下しています。第1四半期の与信費用はわずか▲13億円にとどまり、通期予想に対しても十分なバッファを有しています。

有価証券ポートフォリオと含み損益

  • 株式含み益のクッション:保有株式(政策保有株含む)の時価上昇により、巨額の株式評価益を保有。これが円債金利上昇に伴う債券評価損を十分に相殺・吸収しています。
  • 政策保有株式の縮減加速:中計期間において政策保有株式の縮減を計画的に進めており、1Qでも株式等関係損益206億円(前年同期比+37億円)を計上。売却代金は成長投資や株主還元原資に充当されています。

金融株3視点③:資本政策・株主還元

資本の状況(2026年6月末)

指標 2027/3期 1Q末 2026/3期末 目標・基準水準
自己資本比率(国内基準) 12.65% 12.54% 国内基準 4.0%(十分な余力)
総資産 77兆0,077億円 76兆2,978億円 着実な資産拡大
純資産 3兆0,344億円 2兆9,283億円 利益蓄積による資本増強

株主還元方針と中計目標

りそなグループは、新中期経営計画「Shift to the Next Stage —新たなカタチをつくる3年間—」(2026〜2028年度)において、株主還元の強化を明確に打ち出しています。

項目 実績・計画内容
配当方針 継続的な増配を基本方針とし、株主資本配当率(DOE)や総還元性向を重視
2026年3月期 年間配当 30.00円(前期比増配)
2027年3月期 予想配当 37.00円(前年比 +7.00円の大幅増配)
自己株式取得 資本余力と市場環境を勘案し、機動的に実施(過去にも毎期設定実績あり)
中計最終年度(2028年度)目標 親会社株主純利益 3,500億円超、東証基準ROE 11.0%以上を安定達成

業績推移(連結5期)

決算期 業務粗利益(億円) 経費率(OHR) 経常利益(億円) 親会社株主純利益(億円) ROE(東証基準) 1株配当(円)
2023年3月期 6,000 67.4% 2,250 1,604 6.8% 21.0
2024年3月期 6,274 66.3% 2,230 1,589 6.2% 22.0
2025年3月期 6,916 64.2% 2,939 2,133 7.8% 24.0
2026年3月期 8,088 57.5% 3,839 2,587 9.18% 30.0
2027年3月期(会社予想) 3,100〜3,300 10.5〜11.0% 37.0

出典:りそなホールディングス 決算短信、有価証券報告書(EDINETコード E03628)。2027年3月期純利益は期初会社目標3,100億円および通期上方修正視野の数値。

金利・市況環境

指標 数値・動向 りそなHDへのインプリケーション
日銀 政策金利 1.00% 2026年6月に利上げ。国内リテール比率の高い同社に最大級の追い風
10年国債利回り(長期金利) 2.90%水準 新発国債・地方債・貸出金利回りの上昇要因
8308 株価騰落率 年初来 +66.6%(1,514円→2,522円) 銀行セクター内でもトップクラスの上昇パフォーマンス
信用倍率 6.94倍(2026/9/4) 買残291.2万株/売残41.9万株。過熱感はメガバンクより限定的
1日売買代金 約341億円(9/11) 出来高 1,375万株。機関投資家・個人双方の商いが活発

バリュエーション

🔴 銀行業は預金を元手に貸出・運用を行う負債ビジネスであり、フリーキャッシュフロー(FCF)の算出が実質的に不可能です。そのため、FCFベースのDCFモデルは採用せず、PBR-ROE回帰分析・残余利益モデル(RIM)・2段階総還元DDMの3手法を用いて適正価値を試算します。

前提諸元

  • 現在株価:2,522円(2026年9月11日終値)/実績BPS:1,341.40円(2026年6月末基準)
  • 会社予想EPS:146.67円 → 予想ROE 約10.9%
  • 株主資本コスト(r):長期金利2.90%をベースに 7.5%/8.0%/8.5% で感応度を算出
  • ROEパス:2027年3月期10.9% → 2028年3月期11.2% → 2029年3月期11.5%(中計目標から換算)
  • 総還元性向:配当性向約25%+自己株取得を含め約40%〜45%を想定

手法別フェアバリュー試算

手法 主要前提 フェアバリュー 現在株価比
PBR-ROE回帰分析 銀行セクター(メガ3行・信託・りそな)の予想ROEとPBRの回帰式。適正PBR 1.82倍 約2,440円 ▲3.3%
残余利益モデル(RIM)r=7.5% BPS 1,341円+超過利潤の現在価値(永久成長率1.0%) 約2,735円 +8.4%
残余利益モデル(RIM)r=8.0% 同上(株主資本コスト 8.0%) 約2,450円 ▲2.8%
残余利益モデル(RIM)r=8.5% 同上(株主資本コスト 8.5%) 約2,190円 ▲13.2%
2段階総還元DDM r=7.5% 1株総還元(配当37円+自己株買換算)から年6%成長(5年)→永久成長2.0% 約2,680円 +6.3%
2段階総還元DDM r=8.0% 同上(割引率 8.0%) 約2,460円 ▲2.5%
2段階総還元DDM r=8.5% 同上(割引率 8.5%) 約2,130円 ▲15.6%
ベースシナリオ(3手法中心値平均) 回帰(2,440円)+RIM 8.0%(2,450円)+DDM 8.0%(2,460円) 約2,450円 ▲2.8% → 価格判定 C(適正)

手法間レンジは▲15.6%〜+8.4%。ベースシナリオの中心値(約2,450円)は現在株価2,522円に対して▲2.8%の僅差となっており、「国内金利正常化によるROE 10%超への構造改善は、現在の株価にほぼ適正に織り込まれている」という価格判定Cが導かれます。

東証 類似金融株比較(メガバンク・信託・りそな)

銘柄 コード 時価総額 予想PER PBR 予想ROE 予想配当利回り 特色
三菱UFJ FG 8306 44兆9,193億円 15.8倍 1.88倍 11.9% 2.54% 国内最大。海外分散・信託証券総合力
三井住友FG 8316 26兆9,234億円 15.8倍 1.67倍 10.6% 2.54% 決済・リテール(Olive)・法人高度化
みずほFG 8411 21兆4,334億円 15.2倍 1.85倍 12.2% 1.71% 大企業CIBCと市場部門バンキング高比率
三井住友トラストG 8309 5兆0,342億円 13.1倍 1.35倍 10.4% 2.64% 専業信託・不動産・アセットマネジメント
りそなHD 8308 5兆8,186億円 17.2倍 1.88倍 10.9% 1.47% 個人預金63%・住宅ローン国内首位・信託併営商業銀行

2026年9月上旬時点の各社データ比較。りそなHDはメガ3行と比較して個人預金・住宅ローンという国内リテールの純度が突出して高い分、国内金利正常化のピュアプレイとしてPER・PBRが高めのプレミアムで取引されています。

カタリストカレンダー(2026年9月〜2027年2月)

日付 イベント 重要度 市場の織り込み度と注目点
2026/9/17〜18 日銀 金融政策決定会合 ★★★★★ 概ね織込済(市場は政策金利引き上げを8割程度織り込み)。声明文での今後の利上げパスが焦点
2026/10/29〜30 日銀 金融政策決定会合・展望レポート ★★★★☆ 物価見通しと経済情勢の評価。2027年に向けた追加利上げペースの確認
2026/11月中旬 2027年3月期 第2四半期(中間)決算発表 ★★★★★ 未織り込み。通期純利益目標の上方修正(3,100億→3,300億円水準)および追加自社株買い発表の有無
2026/12月上旬 中間配当金支払い(1株18.50円予定) ★★☆☆☆ 株主還元の着実な実行確認
2027年1月下旬 2027年3月期 第3四半期決算発表 ★★★☆☆ 冬のボーナス商戦・年末資金需要と住宅ローン残高の伸び確認

まとめ・主要リスク要因

投資判断における3大論点

  1. 国内リテール金利感応度の最大化:個人預金62.6%という低利・粘着性預金をバックに、中小企業貸出および住宅ローンの金利改定による預貸利鞘拡大が今後2〜3年にわたりフルに寄与する。
  2. OHR 50%台前半への構造的コストダウン:支店改革・人員再配置・りそなグループアプリ(600万DL)の普及により、メガバンク並みの業務効率性を確立しつつある。
  3. バリュエーションの現在地:PBR 1.88倍は過去10年の最高水準にあり、ベースシナリオ(約2,450円)との比較ではすでに好材料の大半を織り込んだ「適正価格(判定C)」。さらなる株価上抜けには、中間決算での通期業績上振れや自社株買い等の強力な追加カタリストが必要。

注視すべき主要リスク

  • 住宅ローン金利上昇に伴う需要減退・家計圧迫:固定金利・変動金利双方の引き上げにより、新規住宅着工の減速や、既存借入者の返済余力低下リスク。
  • 預金金利引き上げ競争の激化:ネット銀行やメガバンクによる定期預金金利引き上げが加速した場合、預金調達コストの上昇が想定を上回る懸念。
  • 有価証券ポートフォリオの債券含み損:長期金利が3.0%台へ急騰した場合の円債評価損拡大。

免責事項

本記事は公開情報に基づく調査分析および情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。バリュエーション試算・レーティングは独自の前提と推計に基づくものであり、将来の運用成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。

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