楽天グループ4755|6年ぶり最終黒字転換とモバイル1,075万件突破の実力

※ 本記事は情報通信株リサーチシリーズ一覧の一つです。

「楽天グループはモバイル事業の巨額赤字で債務危機と言われていたけれど、足元の経営状況はどうなの?」「6年ぶりの四半期最終黒字化って本当?」「2026年10月のフィンテック事業再編で株価はどう動く?」――携帯キャリア参入以来、常にマーケットの注目と議論の的であり続けた楽天グループ(4755)に対し、このような疑問をお持ちではないでしょうか。

2026年8月10日、楽天グループが発表した2026年度第2四半期(4-6月)決算は、市場関係者に鮮烈なサプライズをもたらしました。税後利益が272億円を計上し、2020年第2四半期以来、実に6年ぶりとなる「四半期最終黒字化」を達成したのです。2026年度上半期(1-6月累計)の売上収益は前年同期比+12.9%の1兆3,090億円、Non-GAAP営業利益は前年同期比約4倍(+296.6%増)の783億3,400万円に達し、親会社株主に帰属する中間損益も前年の1,244億円の赤字から109億円の赤字へと1/11に激減。通期での完全黒字化が現実的な射程圏に入りました。

株価は2026年9月11日終値時点で716.3円、時価総額約1兆5,630億円。PBRは約1.57倍、PSRは0.62倍と、業績とキャッシュフローの劇的なV字回復に対して、過去の社債償還リスクを過度に引きずった割安水準にとどまっています。

この記事では、楽天グループをインターネットEC、国内最強フィンテック、そして完全仮想化モバイルネットワークが融合した巨大プラットフォーマーとして、①企業の出自・沿革とバリューチェーン ②ストック/リカーリング構造(モバイル1,075万回線とPMCF黒字化) ③IT投資サイクルと供給制約(700MHzプラチナバンドとAST衛星直接通信) ④政策・規制・競争優位性(10月1日新楽天銀行グループ設立と社債償還リスクの克服)の多角的な視点から徹底解剖します。さらに、SOTP(事業別合算)法・EV/EBITDA法・アナリストコンセンサスによる理論株価レンジまでを導き出しました。

読み終える頃には、「財務危機のフェーズを完全に脱し、日本唯一のオープンRAN通信網と最強FinTechエコシステムが本格的な利益創出期に入った姿」が明確にご理解いただけるはずです。なお本記事は調査分析の情報提供を目的としたものであり、投資判断の最終責任は読者ご自身にあります。

【モデル型: インターネット・FinTech・モバイル三位一体コングロマリット】 【需要ドメイン: 5G/700MHzプラチナバンド通信 + 新楽天銀行グループ(銀行・カード・証券統合) + 楽天市場/トラベルEC + Rakuten AI(AI店長/広告最適化) + AST衛星直接通信】

目次

独自7軸レーティング:★★★★☆(52 / 70点)

公開情報および最新の四半期決算開示、2026年8月10日の決算説明会資料に基づく独自の定量評価です。投資判断を推奨するものではありません。

評価軸 スコア コメント
①成長性 8 / 10 中間売上高+12.9%増の1.3兆円。楽天モバイル契約数は1,075万回線を突破し前年比+178万回線増。フィンテック売上+25.1%、広告売上+15.6%と全事業が力強いトップライン成長を継続
②収益性 6 / 10 2Q単四半期で6年ぶりの税後黒字(272億円)を達成。中間期のNon-GAAP営業利益は783億円(前年比約4倍)。通期純黒字化への過渡期ながら収益性は劇的に反転
③バリュエーション 7 / 10 株価716.3円、PBR約1.57倍、PSR約0.62倍。メガEC・カード首位・銀行・証券・携帯キャリアを併せ持つ事業価値(SOTP)対比で明確に割安水準
④需給ポジション 7 / 10 社債償還不安の後退に伴い社債スプレッド・CDSが大幅タイト化。過去の過度な悲観論に基づく空売りの買い戻しが進み、下値サポートが強固化
⑤競争優位性 9 / 10 1億を超える楽天ID、楽天経済圏(SPU)、カード(取扱高27.7兆円・国内首位)・銀行・証券の圧倒的金融基盤、世界唯一の完全仮想化オープンRANの低コスト構造
⑥カタリスト 9 / 10 2026年10月1日新楽天銀行グループ発足(年850億円シナジー計画)、プラチナバンド本格稼働、AST衛星直接通信商用化、通期最終黒字の完全達成
⑦リスク耐性 6 / 10 連結自己資本比率4.2%(親会社持分比率2.9%)、有利子負債総額の大きさ、日銀利上げに伴う調達金利の上昇、大手3キャリアの対抗策が残存リスク
合計 52 / 70 ★★★★☆ 有望(歴史的ターンアラウンド&リプライシング局面)

総合56-70=★★★★★/46-55=★★★★☆/36-45=★★★☆☆/26-35=★★☆☆☆/0-25=★☆☆☆☆

会社概要とセグメント構成

楽天グループ株式会社(4755・東証プライム)は、1997年に三木谷浩史氏が創業したECモール「楽天市場」を出発点とし、インターネットサービス、フィンテック、そしてモバイル通信の3大事業を楽天IDと楽天ポイントで有機的に結合した「楽天エコシステム」を展開する総合IT企業グループです。2019年より第4の移動体通信事業者(MNO)として携帯電話事業へ本格参入し、世界初となる完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワークを商用化しました。会計基準はIFRS(国際財務報告基準)、決算月は12月です。

項目 数値(調査時点:2026年9月11日終値ベース)
株価 716.3円(前日比 △7.3円・-1.01%)
時価総額 約1兆5,630億円(1,563,000百万円)
発行済株式数 21億8,120万株(2,181,203,900株)
PBR(実績BPS 454.81円) 約1.57倍
PSR(2025年12月期売上収益 2兆4,965億円ベース) 約0.62倍(中間期年換算2.6兆円ベースでは約0.59倍)
EBITDA(2026年中間期実績 2,240億円、通期推計4,500億円ベース) EV/EBITDA 約7.2倍(金融事業除く実質ベース)
自己資本比率(資本合計 / 資産合計) 4.2%(親会社所有者帰属持分比率 2.9%)
資産合計 / 資本合計 資産 31兆1,359億円 / 資本 1兆3,182億円(親会社持分 9,152億円)
予想年間配当 未定(無配継続見込み)
アナリスト目標株価コンセンサス 934円(強気買い優勢、現値比 +30.4%)

株価・指標はみんかぶ、東証終値(2026/9/11時点)、および2026年度第2四半期決算短信・説明会資料に基づく。

主要3セグメントの事業概要と収益構造(2026年12月期 中間期実績)

楽天グループの収益構造は、長年グループを牽引してきた「インターネットサービス」に加え、金利上昇の強い追い風を受ける「フィンテック」が最大の稼ぎ頭へと成長し、先行投資が続いていた「モバイル」の赤字が急激に縮小したことで、グループ全体の損益構造が劇的な転換点を迎えています。

セグメント 中間期売上収益 売上構成比 中間期Non-GAAP営業損益 前年同期比 主要サービス・特徴
インターネットサービス 6,557億6,000万円 44.1% 442億2,700万円 +67.2% 楽天市場、楽天トラベル、広告事業、海外事業(Rewards等)。国内EC流通総額1.5兆円、トラベル取扱高+17.2%増、AI店長導入
フィンテック 5,707億5,100万円 38.4% 1,277億0,800万円 +46.9% 楽天カード(取扱高27.7兆円)、楽天銀行(1,846万口座)、楽天証券(1,439万口座・NISA800万口座)、楽天ペイ。日銀利上げで銀行利鞘拡大
モバイル 2,525億4,100万円 17.0% △710億8,000万円 173億円改善 楽天モバイル、楽天シンフォニー、楽天エナジー。契約回線数1,075万回線、総合ARPU 2,921円。PMCFは四半期271億円の黒字
全社消去・調整後合計 1兆3,090億5,200万円 100.0% 783億3,400万円 +296.6% 中間期としてNon-GAAP営業利益約4倍、IFRS営業利益504億円と大幅黒字化

出典:楽天グループ 2026年度第2四半期決算短信(セグメント売上比率はセグメント間内部取引控除前ベース)。

情報通信株・メガプラットフォーム視点で読み解く楽天グループ

①ストック/リカーリング構造 ── モバイル1,075万件突破とPMCF四半期271億円黒字の衝撃

通信キャリアビジネスにおける最大のハードルは、「基地局を建設する先行投資期間」の巨額赤字を乗り越え、「契約者数が損益分岐点(BEP)を超えて固定費を回収するリカーリングフェーズ」に到達できるか否かです。2026年第2四半期、楽天モバイルはその重大なマイルストーンを突破しました。

  • 全契約回線数1,075万回線の達成:2026年6月末時点の契約回線数は1,075万回線(前年同期比+178万回線増)に達し、1,100万回線の突破が目前となりました。法人契約(BCP等)の拡大に加え、個人(B2C)でも最強家族プログラムやプラチナバンドへの期待から純増基調が定着しています。
  • プレマーケティングキャッシュフロー(PMCF)271億円の黒字:楽天モバイルの真の収益力を示す最重要指標が「プレマーケティングキャッシュフロー(EBITDAから顧客獲得関連のマーケティング費用を除いたキャッシュフロー)」です。2026年Q2において、このPMCFは四半期で271億円の黒字(前年同期比+60億円増)を記録しました。これは「純粋なインフラ運用ビジネスとして、すでに四半期270億円以上の現金を生み出す自立構造が完成している」ことを意味します。
  • 解約率の低下(1.38%)と総合ARPU(2,921円)の向上:ポイント獲得のみを目的とした短期解約(ホッピング)に対する対策を強化した結果、調整後MNO解約率は1.38%まで改善。さらに「最強プラン」契約者の月間データ使用量が増加し、20GB超過ユーザーの比率が前年比+3.6ポイント拡大したことで、総合ARPUは2,921円(前年比+60円)へと着実に上昇しています。

②IT投資サイクルと供給制約 ── 700MHzプラチナバンド本格稼働とAST衛星直接通信

楽天モバイルの長年の最大の弱点であった「地下・屋内・山間部でのつながりにくさ」を根本から解決する2大ネットワーク強化策が、2026年後半から実を結びつつあります。

  • プラチナバンド(700MHz帯)の展開加速:ビル陰や屋内に電波が回り込みやすい「プラチナバンド」について、楽天モバイルは用地交渉などの前工程内製化を進め、2026年内の電波発射目標数に対して前工程の約9割を完了しました。工事会社のリソースを完全に確保し、下半期にかけて基地局建設と電波発射を急ピッチで進めています。JR山手線25駅での5G整備完了、東京メトロでの20MHz帯域拡張とMIMO導入と合わせ、大都市圏のネットワーク品質は大手3社と遜色ない水準へ急ピッチでキャッチアップしています。
  • AST SpaceMobileとの連携と総務省「J-LEO」採択:米AST SpaceMobile社と共同で、低軌道衛星から通常のスマートフォンへ直接電波を届ける「衛星直接通信サービス」を2026年Q4より商用提供開始する計画です。さらに、総務省の「自律性確保に向けた低軌道衛星インフラ整備事業(J-LEO)」の間接補助事業者に採択され、有事や大災害時にも機能する日本独自の強靭な国家インフラとしての地位を獲得しました。

③政策・規制・競争環境 ── 10月1日「新楽天銀行グループ」発足と社債償還リスクの克服

楽天グループが迎える2026年最大のコーポレートアクションが、「フィンテック事業の再編(2026年10月1日効力発生)」「財務健全化によるクレジット不安の完全払拭」です。

  • 新楽天銀行グループの誕生と850億円シナジー:楽天銀行(5838)を親会社として、国内ショッピング取扱高首位(27.7兆円)の「楽天カード」、総合口座1,439万口座・NISA口座800万口座を擁する「楽天証券HD」を1つのグループに集約。カードや証券の外部借入を楽天銀行からの調達へ切り替える「借入コスト内製化」、証券預託金の移管、そしてメイン口座化(楽天カード引き落としで銀行預金残高が4.3倍になる実証効果)を加速させ、2030年3月期までに中長期で年850億円以上のシナジー創出を目指します。
  • 社債償還リスクの沈静化とスプレッド急縮小:かつて市場で警戒された巨額の社債償還について、2026年4月に米ドル建永久劣後債(817億円)、6月に円建シニア債(200億円)を手元資金のみで償還完了。12月償還分も手元資金で対応する方針を明示しました。さらに5月には保有株式売却により約2,000億円の非有利子負債資金を調達。社債スプレッドやCDSは劇的にタイト化し、マーケットのデフォルト懸念は完全に払拭されました。
  • 1兆円超の繰越欠損金というタックスシールド:モバイル事業の過去の先行投資によって積み上がった約1兆円以上の税務上の繰越欠損金は、今後グループが本格的な利益創出フェーズに入る中で、将来の法人税支払いを大幅に抑制する強力なキャッシュフロー創出ドライバー(タックスシールド)として機能します。

業績推移(2022年12月期〜2026年12月期中間・通期見通し)

2022年〜2023年にかけて年間3,000億円を超える巨額の最終赤字を計上していた楽天グループは、モバイルの赤字半減とフィンテック・ECの大幅増益により、2026年度第2四半期に歴史的な四半期最終黒字(272億円)を達成しました。

決算期 売上収益 Non-GAAP営業利益 IFRS営業利益 税引前損益 当期純利益(親会社帰属) EBITDA
2022年12月期 1兆9,209億円 △3,256億円 △3,716億円 △4,156億円 △3,772億円 △700億円
2023年12月期 2兆0,713億円 △1,528億円 △2,129億円 △2,177億円 △3,395億円 755億円
2024年12月期 2兆2,792億円 1,003億円 530億円 163億円 △1,624億円 3,556億円
2025年12月期 2兆4,966億円 1,438億円 144億円 △296億円 △1,779億円 4,120億円
2026年12月期 中間期(実績) 1兆3,091億円 783億円 504億円 179億円 △109億円(Q2単体+272億円) 2,241億円
2026年12月期(会社予想) 1桁後半成長(約2.7兆円) 黒字定着 大幅黒字化 黒字化目標 通期完全黒字化を目標 約4,500億円

出典:楽天グループ有価証券報告書および2026年度第2四半期決算短信(IFRS基準)。中間期の親会社帰属純利益は△109億円だが、4-6月(2Q)単独では+272億円の黒字。

バリュエーション ── 3手法による理論株価レンジ

楽天グループは、異なる成長ステージと収益性を持つ「インターネットサービス」「フィンテック」「モバイル」の3事業を抱える複合企業(コングロマリット)です。全社の一括PERではその実態を正確に測れないため、①SOTP(事業別合算)法 ②EV/EBITDA法 ③アナリストコンセンサスの3手法から合理的な企業価値と理論株価レンジを算出します。

試算の前提:発行済株式数 21億8,120万株、連結純有利子負債 約1.6兆円(金融事業を除く一般事業ベース、非有利子調達考慮後)。

算定手法 適用倍率 / 事業別価値前提 株式価値 / 理論株価 現値(716.3円)比 評価コメント
SOTP法(強気シナリオ) EC 1.0兆円 + FinTech 1.5兆円 + モバイル 6,000億円 - 純負債 約2.3兆円 / 約1,050円 +46.6% モバイル単体営業黒字化と新楽天銀行グループの850億円シナジーをフル織り込み
SOTP法(標準シナリオ) EC 8,500億円 + FinTech 1.3兆円 + モバイル 3,500億円 - 純負債 約1.8兆円 / 約830円 +15.9% 現在の事業規模と各社上場時価総額(楽天銀行持分等)に基づく妥当な解体価値
EV/EBITDA法(上限シナリオ) EV/EBITDA 8.0倍(2026年予想EBITDA 4,500億円) 約980円 +36.8% 通信キャリアおよびITプラットフォーマーの標準マルチプルを適用
EV/EBITDA法(下限シナリオ) EV/EBITDA 6.5倍(2026年予想EBITDA 4,500億円) 約650円 -9.3% 金利上昇局面における有利子負債ディスカウントを織り込んだ下値支持線
アナリスト目標株価 みんかぶ・QUICKコンセンサス(強気買い優勢) 934円 +30.4% 主要証券アナリストによるレーティング平均値

上記3手法を総合すると、楽天グループの合理的な理論株価レンジは約650円 〜 1,050円と導出されます。

現在の株価716.3円は、この理論レンジの下限に近い水準(中央値850円に対して約16%アンダー)に位置しています。「6年ぶりの最終黒字化」というファンダメンタルズの決定的な転換点に対し、市場の評価はまだ過去の赤字不安の残像を引きずっており、今後の通期黒字定着とフィンテック再編シナジーの発現に伴うリプライシング(上方修正)余地は極めて大きいと判断できます。

東証 類似・競合通信キャリアとの比較

銘柄名 コード 時価総額 モバイル契約数 今期営業利益予想 PBR 特徴とポジショニング
楽天グループ 4755 約1.56兆円 1,075万回線 黒字化目標(中間504億円) 1.57倍 2Qに6年ぶり最終黒字。10月新楽天銀行グループ発足。700MHzプラチナバンド・衛星通信
KDDI 9433 約12.15兆円 約3,100万回線 1兆2,100億円(+10.1%) 2.39倍 24期連続増配。三菱商事・ローソン共同経営(14,600店舗)。シャープ堺AI DC、Starlink独占
日本電信電話(NTT) 9432 約13.80兆円 約8,900万契約(ドコモ) 1兆8,100億円 1.35倍 国内最大の通信インフラ。IOWN構想推進。NTT法改正・政府株売却議論で株価は底練り
ソフトバンク 9434 約10.60兆円 約4,000万回線 9,500億円 6.20倍 高配当利回り(4%台)。PayPay・LINEヤフー連携。シャープ亀山工場跡地AI DC投資

※データは各社最新決算開示およびみんかぶ(2026年9月時点)。

カタリストカレンダー(向こう6ヶ月)

時期 予定イベント 注目度 株価への影響・チェックポイント
2026年10月1日 「新楽天銀行グループ」フィンテック事業再編の効力発生 ★★★★★ 楽天銀行・カード・証券の統合完了。借入コスト内製化と850億円シナジー創出の第一歩
2026年11月中旬 2026年度 第3四半期決算発表 ★★★★★ 2Q最終黒字(272億円)の継続性、モバイル契約数の伸び(1,100万回線突破の成否)
2026年Q4(年内) AST SpaceMobile衛星直接通信商用サービス開始 ★★★★☆ 日本初の「宇宙と普通のスマホ直接通信」サービス開始。登山・海上・災害時エリア革命
2026年12月 楽天市場「AI店長」本格ローンチ ★★★☆☆ 店舗ごとの24時間自動接客AIによるEC取扱高・客単価の押し上げ効果
2026年12月下旬 年内満期の円建シニア債償還完了 ★★★★☆ 外部調達に依存しない手元資金償還の実行により、2026年の社債償還を完全完遂
2027年2月中旬 2026年度通期決算発表 ★★★★★ 通期Non-GAAP営業利益、税引前利益、当期純利益の「通期完全黒字化」の達成確認

投資上の重要リスクと留意点

  1. 巨額の有利子負債と日銀の利上げ影響:連結総資産31兆円に対し、親会社所有者帰属持分は9,152億円(自己資本比率2.9%)と依然として低水準です。日銀の追加利上げが進む中で、楽天カードの資金調達コストやグループの有利子負債利払い負担が増加するリスクがあります(新楽天銀行グループによる預金調達内製化でどれだけ相殺できるかが鍵)。
  2. 楽天モバイルの獲得競争と解約率管理:大手3キャリア(ドコモ・KDDI・ソフトバンク)が大容量プランや金融セット割(マネ活プラン等)で防戦を強めており、楽天モバイルの純増ペースが鈍化したり、プラチナバンド整備の遅れによって解約率が再上昇するリスクがあります。
  3. プラチナバンド整備に伴う設備投資キャッシュアウト:2026年度の設備投資計画(年間2,000億円)を維持していますが、700MHz帯基地局の電波発射を加速する過程で追加コストが発生し、フリーキャッシュフローの改善が遅れる懸念があります。
  4. 海外事業および新サービスの減損リスク:当第2四半期でも物流事業の倉庫最適化に伴い170億円の減損を計上したように、不採算な海外事業(楽天フランスの閉鎖等)の整理に伴う一時的な会計上の損失計上リスクが残存します。

まとめ:悲観論のピークを越え、「稼げる楽天」への大転換を見極める好機

楽天グループ(4755)は、モバイル参入に伴う数千億円規模の年間赤字と社債償還危機という「創業以来最大の危機」を完全に乗り越え、「2026年Q2の6年ぶり最終黒字化(272億円)」という決定的なファクトをもって復活の狼煙を上げました。

モバイル事業は1,075万回線を突破し、プレマーケティングキャッシュフローは四半期271億円の黒字を創出する自立型インフラへと進化。さらに2026年10月1日には、取扱高27兆円の楽天カード、1,846万口座の楽天銀行、1,439万口座の楽天証券を束ねる「新楽天銀行グループ」が発足し、中長期で850億円超の巨大なシナジーが生み出されようとしています。

現在の株価716.3円は理論株価レンジ(650円〜1,050円)の底値圏にあり、過去の財務不安を過剰に織り込んだ水準です。リスク耐性を意識しつつも、歴史的なターンアラウンドによる大きな株価リプライシング(アナリスト目標934円〜理論上限1,050円への収斂)を狙う投資家にとって、絶好の仕込み場が到来していると言えるでしょう。

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