【株式投資】バイオ関連銘柄の状況 〜2023年夏版〜

医薬品開発のバイオ株。値動きが大きくなる場合もあって、気になる人も多いと思います。どう考えたらいいのか、書いていきたいと思います。

【注意】個人的見解であって投資を推奨勧誘するものではありません。ご自身でよくご確認ください。

バイオ銘柄は一般的な株価とはまた評価の仕方が違います。将来的に獲得しうる市場、潜在的な売上に対してどの程度の価値があるかという観点で株価は変動しています。

また、業績を見て動く銘柄と臨床試験の進捗などの思惑で動く銘柄とあります。

(業績系)

すでに上市、販売されている医薬品等があって、業績で株価が変動しているバイオ銘柄。

4587 ぺプチドリーム↘️
(概要)創薬ベンチャー。特殊ペプチドを使った医薬品候補物質を大手と共同開発。

基盤技術PDPSで大手製薬会社と提携、黒字。今期は減益計画。

4565 そーせいグループ↗️
(概要)創薬ベンチャー。膜タンパクGPCR標的の創薬開発。神経、免疫、消化器などの領域。

COPD薬で黒字化、ヘプタレス買収後はヘプタレスが主力。5.12減収、赤字縮小。みずほ買い目標株価4200円。GLP1作動薬Phase2bをファイザーが実施中で年末にも結果がわかりそう。

4890 坪田ラボ↘️
(概要)慶大発バイオベンチャー。近視、ドライアイ、老眼や脳活性など医薬品の研究開発。

近視抑制効果を持つ点眼薬開発、黒字。マイルストーン収入が主軸。5.12今期70%減益計画。

4582 シンバイオ製薬↘️
(概要)がん、血液、ペインマネジメントの3分野に特化。他社の新薬候補の製品化も。

抗がん剤トレアキシンで黒字化 ジェネリックの影響で赤字に。4.27減収減益、今期最終赤字計画。

7777 スリーディーマトリックス↘️
(概要)バイオベンチャー。ペプチド技術を応用し、医療製品を開発。国内外に展開。

止血剤Purastatを主軸にグローバル展開、2月22日に下方修正発表で来期の黒字化も難しく。前期売上15億、今期売上23億の成長で来期は32億程度は見込めそうか?4月本決算銘柄。

4576 DWTIデ・ウエスタン・セラピテクス研究所↘️
(概要)三重大発創薬ベンチャー。プロテインキナーゼ阻害剤に着目。緑内障治療薬開発。

眼病治療薬上市品2、12月本決算において2023年業績期待もあったが赤字拡大見込み。

(材料思惑系)

まだ上市、販売されている医薬品がなく、開発中、臨床試験実施中のパイプラインが将来的に獲得できる売上や市場を期待して株価が変動する銘柄。

上場時に臨床試験1相を完了している、または大手と提携している形で上場してきているが、提携解消などあると株価が暴落することもあります。

「パイプライン」とは、医薬品候補が臨床試験のどの段階にあるか、状況を示す棒グラフのようなものです。医薬品は販売されるまでに、前臨床→1相→2相→3相と段階を踏んで、承認申請して承認されるまで長い年月がかかります。

「提携」は通常、小さいバイオベンチャー企業では資金的に承認まで持っていけないため大手に資金面、体制面でサポートしていただきます。提携で株価が大きく跳ねることがあります。

特に大手が株を持ってくれる資本業務提携では期待感も膨らみ、大きな反応があります。

【脳関連】

4599 ステムリム↗️
(概要)大阪大学発バイオベンチャー。自己組織再生を促進する「再生誘導医薬」開発。

塩野義製薬と資本提携、脳梗塞を対象に2相完了、今期黒字予想。株主に塩野義製薬、五味大輔氏。

4592 サンバイオ↘️
(概要)バイオベンチャー。再生細胞治療薬の開発。脳神経系疾患の治療薬に期待。

脳損傷を対象としたSB623で自社開発でこの分野のグローバルリーダーを目指しているが2022年3月に申請した先駆け審査制度での審査が遅延。2023年に国内承認可否が判明しそう。なお、副社長退任で思惑後退。

4891 ティムス↘️
(概要)東京農工大学発の創薬型バイオベンチャー。医薬品などの研究や開発を手掛ける。

米バイオジェンと提携、脳梗塞を対象に2相後半を2023年前半開始予定。Phase2bを実施する段階にあるが、提携先のバイオジェンが開発パイプラインを見直すという報道で暴落。不透明な状況。

【がん関連】

4575 キャンバス↗️
(概要)創薬ベンチャー。抗がん剤開発に特化。研究開発支援金が収入源。提携先模索。

免疫着火剤CBP501ですい臓がん2相完了。3相思惑で大きな上昇。現在提携先を模索中。3相完了から上市まで2025年までは時間を要する見込みで現在の株価は問題発生した場合にはリスクが高い。

4588 オンコリスバイオ➡️
(概要)創薬ベンチャー。希少がんや重症感染症などに主眼。独自のウイルス技術を活用。

OBP301テロメライシンは食道がん対象に2024年前半先駆け審査制度にて日本で承認申請予定。2023年夏以降データ開示予定。アメリカでは共同開発契約を模索中。

OBP601米トランスポゾン社実施中のPSP2相データ開示予定、ALSや前頭側頭型認知症対象においても組入実施中で2024年のデータ開示予定。

4598 デルタフライファーマ➡️
(概要)抗がん剤を開発するバイオベンチャー。研究開発から製造販売まで手掛ける。

モジュール創薬という独自コンセプトのがん治療 DFP10917米3相最終組入完了。24年3月期承認申請予定。組み入れの流れやワラントの経緯にはやや不自然さを感じている。

【その他】

4572 カルナバイオサイエンス↗️
(概要)キナーゼタンパク質の製販や解析受託など創薬支援事業が主力。創薬へも展開。

BTK阻害剤AS1763がB細胞性悪性腫瘍のブロックバスター候補として導出されることを期待。Phase1b準備段階。年間売上1000億を目論む?

4892 サイフューズ➡️
(概要)バイオ3Dプリンタを用いた、再生医療等製品の開発・製造・販売を手掛ける。

自社開発のバイオ3Dプリンタを利用し再生医療等製品を作成、提供する。成長可能性資料には将来の市場規模が2030年17兆円規模と記載あるものの具体性に欠けるか。

4978 リプロセル↗️
(概要)バイオベンチャー。iPS細胞関連の研究試薬など東大・京大と研究。受託加工も。

5月12日発表の本決算にて今期計画は売上30億、最終黒字化見込みとなっています。再生医療製品ステムカイマルの製品化期待も。

(バイオ株の要点)

バイオ株はperではなく、パイプラインの進捗を中心にバイオ銘柄の時価総額対比で売買されています。パイプライン価値を時価総額として見た時どうなのか、他の銘柄の時価総額と比較してどうなのかを確認してください。

なお、業績系や材料思惑系というのは個人的な呼び方です。株価の傾向が明確に違うのでそのように書いています。

業績系は決算が意識されます。材料思惑系の方が時期を意識したイベントドリブンが発生しやすい。ただし、イベントドリブンはその時期に急騰しやすいものの、結果が出る1週間も前には警戒され資金抜けしやすい。

結果がどうであれ、提携など契約に結びつかなければ急騰した株価は急落しやすくなります。

(用語)

パイプラインとは医薬品候補の進捗を示すもの、またはそのラインナップ。

臨床試験は前臨床、1相、2相、3相と行われ、米国では2a,2bのように前半後半が実施されている。1相では安全性や重大な副作用の確認を主な目的とし、2相ではその有効性を確認、3相では症例を増やす大人数での有効性を確認していく。

先駆け審査指定という制度が日本にはあり、現在主なものはサンバイオSB623とオンコリスOBP301が指定されている。2相までのデータが良ければ条件を設定して上市販売される。

オーファン・ドラッグ指定とは、研究開発のための助成金が交付されるほか、できるだけ速やかに患者さんに提供できるよう、優先して承認審査がおこなわれるなど、各種の措置が受けられる。

マイルストーンとは2相や3相等の結果がよく主要評価項目を達成した際に、当初提携契約に基づいて一定の金額が支払われるもの。

(バイオ株はリスクは高い)

急騰急落しやすいジャンルです。大きく利益をあげられるケースもあれば、逆に信用買いで大きな損失を出す場合もあります。

なんとなく買うと痛い目に逢いやすいセクターとなっています。資金や時期、目指すもの、よく理解して取引されることをおすすめします。投資を勧誘推奨するものではありません。ご自身でよくご確認ください。

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