バイオ株は上がり出すと大きく上昇することがあります。カタリストと言われたりしますがバイオ株が上がる要因は何かについて考えてみましょう。
バイオ株は一部を除いて基本的に赤字です。黒字になるには、ライセンス契約やそのマイルストーン達成による収入か上市して医薬品販売の売上やロイヤリティ収入によるものです。
ライセンス契約とはあるバイオベンチャーが開発中の医薬品候補を導出して、大手製薬会社がそれを導入、製薬会社側が開発して上市、販売していくものになります。
この時にバイオベンチャー側は進捗段階によるマイルストーン収入と販売開始以降に売上の5%〜10%程度のロイヤリティを契約内容に盛り込みます。
マイルストーンはPhase2達成しました、Phase3達成しました、承認申請提出しましたという段階に応じて導入側の製薬会社が導出元に支払うものです。
導出型のタイプは開発と合わせてパイプラインの数も必要になってきます。一般にライセンス契約はPhase2の状況から交渉することが多くなります。臨床試験をやっていないのにライセンス契約まではなかなか進まないのが現状です。
一方で自社開発、自社販売の場合はPhase3の大規模治験費用や製造工程等がネックになる一方で販売開始以降は粗利率も高くなります。時価総額が比較的高い銘柄に自社タイプが多い傾向です。
では、バイオベンチャーの情報開示のパターンを確認しておきます。
【開示パターン 特許査定】眺めておくのが無難です。株価は元に戻ることが多いです。
【開示パターン 論文発表】多くの場合はこれまでに発表されていて、大きな影響はありません。過去にない情報の場合は株価に影響することがあります。
【開示パターン 学会発表】新しい情報の発表が予定されている場合を除き、ほぼ反応ありません。
【開示パターン オプション行使】オプション行使とは治験開発を進める権利を得るもので、内容にもよりますがシーズ(種)を導入するものです。
【開示パターン Phase2で主要評価項目の達成、未達成】自社型か導出型かで株価も変わりますが、この要素が株価変動が大きくなります。期待感で発表までのイベントドリブンが発生しやすく、発表後は達成しても出尽くし、未達成ならストップ安することが多いので発表日を確認して発表日を跨がない方がいいです。
【開示パターン ライセンス契約】特に大手企業とのライセンス契約は株価が大幅上昇するケースが過去に多数あります。契約金額によってもインパクトが変わります。また大手製薬企業と資本提携に至ることもあります。
【開示パターン 承認申請】そのバイオベンチャーにとって主力パイプラインが承認申請を提出した時は大きく上昇します。ただし、一旦上昇するも承認まで半年程度かかるため株価は元に戻るケースも多いです。
【開示パターン 承認認可】その医薬品が大きく収益に貢献するものかどうかで株価変動が変わります。この頃には販売開始時期や黒字化がいつ頃になるかの思惑による株価変動になります。
バイオ株の場合は決算発表は赤字のため、決算発表での株価上昇は普通ないので決算は株価に影響はほとんどありません。ただ、決算前に買われた場合は発表で下がります。
【株価下落リスク ワラント】新株予約権の発行です。どのくらいの株数を発行されるかに寄りますが、開示前の株価に希薄化率を考慮した株価になりがちです。
ワラントは引受先が低い株価で買う形になり、かつその株を市場内売却することになります。毎月行使状況が月初に開示され、行使完了で売り圧がなくなると考えられてますが、行使完了してからも引受先が市場内で売却することが多いです。
つまり、新株予約権は権利であって、行使は株に変えること。その株は市場内で売却されることになります。
【株価下落リスク 提携の解消】パイプライン進捗が一歩後退するため、株価も提携前に戻るかまたはそれ以下になる場合もあります。
【株価下落リスク 開発中止】そのパイプラインがなくなった場合、他にパイプラインがあるのか、または他から導入するのか、いずれの場合も厳しい下落になります。
株価変動も大きくなるためギャンブル性も高いです。投資勧誘をするものではなく、知識としてご活用いただければと思います。