ペルセウスプロテオミクス

ペルセウス社はAI創薬ベンチャーとして認識されつつあります。そんなわけでAIで分析してみました。

PPMX-T002

PPMX-T002は、ペルセウスプロテオミクスが開発している放射性同位体標識抗体で、カドヘリン3(CDH3)を標的としています。これは、頭頸部がん、卵巣がん、膵臓がん、肺がんなどの固形がんにおいて高い発現が見られる抗体です。PPMX-T002は、放射線免疫療法(RIT)に使用され、抗体ががん細胞表面に結合して体内から放射線を照射し、がんを攻撃する仕組みです。

この抗体は、従来のベータ線標識抗体よりも高い抗腫瘍効果が期待されるアルファ線標識抗体として注目されています。特に、アルファ線放射性同位体アクチニウム225(225Ac)で標識したPPMX-T002は、ベータ線放射性同位体イットリウム90(90Y)で標識したものと比較して顕著な腫瘍縮小効果を示しました。現在、この製品は非臨床試験段階にあり、今後の臨床試験に向けた準備が進められています。

PPMX-T002の開発には、以下の技術が使用されています。

放射性同位体標識技術

  • PPMX-T002は、カドヘリン3(CDH3)を標的とするモノクローナル抗体に放射性同位体を結合したもので、がん細胞表面に結合し、放射線を放出して細胞を攻撃します。

アルファ線放射性同位体

  • 従来のベータ線放射性同位体イットリウム90(90Y)から、より高い抗腫瘍効果が期待されるアルファ線放射性同位体アクチニウム225(225Ac)への変更が進められています。

独自の抗体取得技術

  • ペルセウスプロテオミクスは、独自の技術で機能性の高い抗体を作製し、これに放射性同位体を標識して治療薬として開発しています。

これらの技術により、PPMX-T002は固形がん治療における新たな選択肢として期待されています。

PPMX-T002の第1相臨床試験では、進行性固形がん患者を対象にした試験が行われました。この試験では、PPMX-T002ががん組織に集積することが確認され、安全性が確認された用量で一部の症例において腫瘍の縮小が見られました。この結果は、PPMX-T002が固形がん治療における新たな選択肢となる可能性を示唆しています。

PPMX-T003

PPMX-T003は、ペルセウスプロテオミクスによって開発された完全ヒト抗体で、トランスフェリン受容体1(TfR1)を標的としています。TfR1は鉄を細胞内に取り込むために必要で、多くのがん細胞で高発現しています。PPMX-T003は、この鉄の取り込みを阻害することで、がん細胞内の鉄を枯渇させ、がん細胞を死滅させる効果があります。

現在、PPMX-T003はアグレッシブNK細胞白血病(ANKL)に対する治験が進行中です。研究では、PPMX-T003の治療効果がアミノ酸トランスポーターLAT1を介してアミノ酸を取り込む必要があることが示されており、このメカニズムの解明が進められています。また、LAT1の発現量がPPMX-T003の治療効果を予測するためのマーカーとして期待されています。

この抗体医薬品は、真性多血症に対する治験も行われており、2024年6月に第1相試験が終了しました。現在はANKL患者を対象とした医師主導治験が行われており、その効果と安全性が評価されています。

PPMX-T003の効果が発揮されるメカニズムは、主に2つの要素に基づいています。

まず、PPMX-T003はトランスフェリン受容体1(TfR1)を標的とし、がん細胞への鉄の取り込みを阻害します。TfR1は鉄を結合したトランスフェリンを細胞内に取り込むために必要であり、がん細胞ではこの受容体が高発現しています。PPMX-T003がTfR1に結合することで、鉄の取り込みを阻害し、がん細胞内の鉄を枯渇させることで細胞死を誘導します。

さらに、PPMX-T003の効果にはアミノ酸トランスポーターLAT1が関与しています。研究によれば、PPMX-T003が効果を発揮するためには、細胞外からLAT1を介してアミノ酸を取り込む必要があります。特に肝臓ではアミノ酸が豊富であるため、LAT1によるアミノ酸取り込みが活発であり、これがPPMX-T003の治療効果を強化します。

PPMX-T003の真性多血症(PV)に対する第I相試験の結果は以下の通りです。

この試験では、PPMX-T003の安全性と体内薬物動態、さらには治療効果が評価されました。試験は6名のPV患者を対象に行われ、5名が試験を完了しました。残る1名については用量を増やした投与が行われましたが、安全性に関する重篤な有害事象は報告されていません。

治療効果としては、PPMX-T003の投与により赤血球関連の数値(ヘマトクリットとヘモグロビン)が低下し、患者は12週間にわたり瀉血が不要となるなど、期待された治療効果が確認されました。

情報源

パイプライン|研究開発 – 株式会社 ペルセウスプロテオミクス https://www.ppmx.com/rd/pipeline/
血液学会PV治験中間発表について |ペルセウス通信 https://www.ppmx.com/newsletter/tabid113.html?dispmid=563&itemid=19
[PDF] PPMX-T003:真性多血症(PV)第 I 相試験終了のお知らせ https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20240628/20240628540684.pdf
PPMX-T003: PV患者さん治験の再延長:7月末終了について https://www.ppmx.com/newsletter/tabid113.html?dispmid=563&itemid=49
PV治験終了の経緯について|ペルセウス通信 https://www.ppmx.com/newsletter/tabid113.html?dispmid=563&itemid=58
Only One PPMX – 株式会社 ペルセウスプロテオミクス https://www.ppmx.com/glance/
ペルセウスプロテオミクスの学会発表の予定 – ペプチドリーム https://www.peptidream.com/ir/blog/000431.html
新規上場申請のための有価証券報告書 https://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/nlsgeu000005jxoj-att/06PerseusProteomics-1s.pdf
[PDF] 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部) – JPX https://www.jpx.co.jp/listing/stocks/new/nlsgeu000005jxoj-att/06PerseusProteomics-1s.pdf
事業内容 – 訂正有価証券届出書(新規公開時)(2021/06/03 11:00提出) https://irbank.net/E35510/business?f=S100LGJ2
ペルセウスプロテオミクス、独自の抗体取得技術や抗体ライブラリ … https://minkabu.jp/news/3990104
ペルセウスプロテオミクス、欧州核医学会でPPMX-T002 … https://jp.investing.com/news/stock-market-news/article-812938
4882 ペルセウスプロテオミクス | 事業内容 https://irbank.net/E35510/business?f=S100LGJ2
アグレッシブNK細胞白血病の抗体薬PPMX-T003の 治療効果発現に必要な因子を発見 https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2024/20240628_1
新薬候補の「大型導出」迫るペルセウス、何がすごいのか|会社四季報 … https://shikiho.toyokeizai.net/news/0/745384
ペルセウスプロテオミクス、PPMX-T002導出覚書締結 – note https://note.com/pharmawalker/n/n1f7b635a6a83
EANM(欧州核医学会)’24 年次総会におけるPPMX-T002研究成果 … https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/20240719551685/
ペルセウスプロテオミクス、独自の抗体取得技術や抗体ライブラリを … https://minkabu.jp/news/3990104
ペルセウスプロテオミクス、PPMX-T002導出覚書締結-PDRファーマと|Pharmawalker・Note出張所 https://note.com/pharmawalker/n/n1f7b635a6a83
臨床研究等提出・公開システム – jRCT https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2061230008
アグレッシブNK細胞白血病(ANKL)患者を対象にPPMX-T003反復 … https://rctportal.niph.go.jp/detail/jr?trial_id=jRCT2061230008
アグレッシブNK細胞白血病の抗体薬PPMX-T003の 治療効果発現に … https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2024/20240628_1
PPMX-T003:ANKL(アグレッシブNK細胞白血病)治療薬の開発 … https://www.ppmx.com/newsletter/tabid113.html?dispmid=563&itemid=64

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