株式市場に上場する企業は新株を発行して資金調達することがあります。
新株の発行は株数が増えることで一株利益の希薄化つまり純利益を発行株数で割ると株の価値が少し下がることが嫌気されたりします。
また新株が市場に出回ると需給がやや悪くなって上値が重くなったりします。
(資金調達の種類)
銀行借入→黒字経営で今後も成長性ある事業計画が銀行に説明できれば銀行から借入できます。
公募増資→株式市場で現在の株価に対して少し割り引いた価格で募集して株を売り出すことがあります。新規上場がIPOと表現されますが公募増資はPOと表現され、証券会社が募集します。
MSワラント→ファンドやVCが増資を引き受け、引き受け価格を低く設定することで市場売却で利益が出るように設計されます。Moving Strike priceと株価の市場動向に合わせて行使価格が下げられるようになっていることが多いため投資家に嫌気されます。
MSワラントの場合、日々の出来高に対して非常に多くの株が新規発行されることも多く、市場売却が可能なペースで行使されていきます。
そのため、数ヶ月から半年にわたって行使に時間がかかることがあります。その間は行使に伴う市場での売却が意識され、株価は上値が重くなりがちです。
発行予定株数の半数を過ぎたあたりから、下げた株価も反転しやすい傾向があります。
(バイオ企業のワラント)
バイオ企業は売上や利益が経営に対して大きくないことが多く、将来獲得しうる莫大な売上を名目にワラントを実施することが多いです。
一方で主力のパイプライン、つまり上場する時に名目となっていた医薬品候補などが臨床試験で評価項目を達成できなかったり、将来性が危惧されると行使も進まなくなっていく場合もあります。
その点で株価が回復できず、ワラントを繰り返す企業については投資をよく考える必要があります。
(需給面について)
ワラントの契約をよく確認する必要はありますが1日に行使できるのは出来高の3割程度で最大で新株予約権発行分の10分の1までです。
(まとめ)
一連の流れとして、ワラントを発表すると株価は新規発行の希薄化する割合程度、株価が下落する傾向があります。
月初に適時開示で行使状況の開示があります。未行使がどれくらいあって、どのくらい行使されたのか情報開示されます。
予定分、行使されれば行使完了が開示されます。ただ、行使完了はワラント引受先が行使をして新株予約権を株に変えただけです。
行使された株は市場で売却されるのが通常なので、売却自体が終わらないと本当の意味での株価正常化には戻りません。
どうしてMSワラントなのか、経営上有望ならば資本業務提携として提携先に出資してもらうことができます。
ワラントの目的や経営状況をよく見ていくことが重要です。ワラントを実施したからといって、その企業がすべて株価低迷するわけではありません。
ワラントを経て数字を伸ばせばまた株価が大きく上昇することもあります。よく分析していきたいですね。
コメント
いつもありがとうございます。
ワラントの疑問点が解決でき助かりました。